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涙【短編小説】

家戸が音を立てて開いた。
顔を覗かせたのは小柄な老人。
「だれだ?」
引き締まっていた顔がほころぶ。
「あぁ、やっと来てくれたのか」
客は茶の準備をする老人を眺めいていた。
「ちょっと待ってくれ。最後に一杯飲もう」
茶には見向きもしなかったが、
老人が湯呑みから茶を飲み干すと客は立ち上がった。
次の瞬間、風が宙を切り、老人の目から光は消えていた。
仕事を終えた『死神』の目には涙が浮かんでいた。


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