校庭を掘ったら〇〇が・・・
「よいしょ、よいしょ」
必死に穴を掘つづけている。
「ねえ、もうやめない?」
あさこちゃんが聞いてくる。疲れたみたいだ。
「葉と松の枝を集めてきてくれる?」
「うん。でも、私木に登れないんだけど……」
「それぐらい自分でなんとかしろよ、メガ!」
全く、神崎くんはらんぼうなんだから。
あさこちゃんはメガネちゃんを略してメガというあだ名をつけられている。
それぐらい頭がいいのだ。体力は皆無に近いが。
あ、ちなみに僕はまさお。3人組の大人し担当。よろしく!
なぜ僕たちが穴を掘っているのか気になる人もいる思う。
僕らは落とし穴を掘っているんだ。誰にも見つからないように。
この学校では夕方、遊具の点検で遊具が使えないから校庭には誰もいないってわけ。
「ね、のっぽ。手伝ってよ」
ふりむくとメガが松の枝を抱えている。
さすが天才。やり方を見つけたらしい。
「のっぽの身長が穴にちょうどいいから松をしいといて」
そういうと穴を隠す硬い土を作り始めた。
僕は背が高いのでノッポと言われる。
「よいしょっと」
あれ、なんか光ってるぞ。それは箱だった。
「どうしたの」とメガ。
「これ、なんだろう?」
「タイムカプセルじゃないの?」
と神崎くんは適当にあしらう。
僕は勝手に開けることにした。
箱の中には犬の人形が入っていて、首輪には〇〇と書いてある。
突然、犬が喋り出した。
『ここ、何年ファン?』
「23XX年だけど」とメガ。
『合ってる!落とした時ファン!』
犬ならファンじゃなくてワンじゃないのかよ、と突っ込もうとして辞める。
「なんだよ、落とし物って」
『名前ファン。書いていないファンよ?』
よく見ると〇〇の部分はくり抜かれていた。
「要するに、名前探しの旅ってこと?ファン」
『何ファン?その呼び方』
「ファンファンいってるからファン。いいだろ?」
僕的にはかなりいいネーミングだと思うんだけど。
「名前はどうでもいいけど、手伝ってあげましょう」
メガは天才だけど毒舌家だ。
「うん」「そうだな」
『やったファン!』
「あのー」
ぎくっとして振り返ると後ろに女の子が立っていた。
同じクラスでお向かいさんの大向かなみさん。
すごく不思議そうな顔をしてる。
まあ、そりゃそうだ。無人の校庭で3人組が落とし穴を掘っていて、
しかも隣には喋る犬がいるというシュチュエーション。
驚かないわけがない。
「かなちゃん、ストップ!」
突然、メガが声を上げた。
「その丸い髪飾り……」
ん?髪飾りがどうしたんだろう。丸い?
まさか、、、ファンの名前の一部なんじゃ!
「この前、校庭で拾った紙よ。綺麗だったからラミネートしたの」
「それ、貸してくれない」
「え?いいけど……」
かなみさんは納得していない様子。
僕は急いで神崎くんに耳打ち。
「そういうことかよ!」
「もう!声大きすぎだって!」
僕と神崎くんは身振り手振りでかなみさんに説明した。
「そういうことならいいよ。私、ワンちゃん好きだから」
(((良かったー)))
メガはラミネートをはがすと首輪についた〇〇の片方に紙をはめた。
すると、ピッタリ!
「『てい』だってよ!よし、この調子で二つ目も探そうぜ!」
「「「おーっ!」」」
かなみさんも加わったにも関わらず、なかなかうまくいかない。
僕は悲しそうにファンが泣くのを見て、四葉のクローバーを中に入れた紙のお守りを握りしめた。
『ファンファンファンファン!』
「な、なんだよ!」
「どうしたの、ファンちゃん⁉️」
「のっぽ!それ出してよ」
「え?お守りのこと?」
僕がおそるおそるお守りを出すとファンがそれをひっくり返した。
「何か書いてるじゃん!『えん』?もしかして……」
神崎くんがお守りのクローバーの葉を一枚ちぎり、ファンの首輪に当てた。ピカっ
はまった。その瞬間目が眩むような光がはしって箱もファンも消えていた。
「『庭園』かぁ。おしゃれな名前。ここは300年後にはガーデンハウスにでもなるのかな」
「「いやいや、学校のままでしょ!タイムカプセルあるんだし」」
僕と神崎くんがメガに反論する声が見事に重なってかなみさんが吹き出す。
「夢じゃないといいな」
「「「夢じゃないよ。ほら、三つ葉のクローバーが」」」
「もう、また揃ったじゃん!」
メガが頬を膨らまして、僕たちは笑い合った。
その通りだ。
三つ葉のクローバーがある。
オワリ
あとがき
これまた、私の3年生の頃の日記から掘り出してきました!
改めて読み返してみると、字も汚いし、文章もおかしいしで、
もうこのまま世に出すのは恥ずかしすぎる!
というわけなので、結構アレンジしました。
でも、話の筋はできるだけ変えないようにしました。
3年生の文章と5年生の時のものを比べてみてほしいです!
自分的には結構上手になった思っているのですが、どうでしょう?
いよいよ(という表現はまだ早いかな?)雨虹発動6日前。
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