配属ガチャのお話
こんにちは、チベスナです。
今日は大手企業あるある、
「配属ガチャ」問題
についてお話しさせていただこうと思います。
弊社でも先日辞令が発出されまして、希望通りの配属が決まった人、予想外の配属に戸惑う人、先延ばしにされた人など様々でした。
そもそも「配属ガチャ」というワードは、入社後の配属先や勤務地がどうなるのかわからない様を、何に当たるのかかわからない「ガチャ」に喩えたワードです。基本的にネガティブな意味で使われることが多いですよね。
何故今の時期に配属ガチャについて話をしているのかと言うと、多くの就活生が、「行きたい会社=やりたい仕事ができる環境」だと勘違いしているからです。
配属ガチャに巻き込まれて、自身のキャリアプランを歪めない為に何を意識しておくべきかを中心にお話しをさせていただきます。
(注 重ねてになりますが、私自身は採用担当や労務担当の経験はありません。採用面接段階から配属までの流れについて内定者目線で解説したのち、担当人事から聞いた配属プロセスについてお話しさせていただきます。例の如く勤務先特定に繋がる情報は一切開示致しません。)
1.配属ガチャの根源(適性検査編)
突然ですがみなさん、
性格検査ってどれくらい真面目にやりましたか?
そして、自分の性格傾向ってどこまで把握してますか?
性格検査とは、SPI等のウェブテストに付随する性格診断の部分を指しています。
就活生の大半は能力検査(言語や非言語のテスト)に対策の時間を多くとりますが、意外とこの性格検査に意識を持ってきている人って少ないんじゃ無いかなと思います。
実はこの「無意識が出る」性格検査こそが、配属ガチャが生まれる第一の要因なのです。
少し話は逸れますが、「ジョハリの窓」って言葉はご存知でしょうか?
ジョハリの窓とは、心理学者ジョセフ・ルフト氏とハリー・インガム氏 が提唱した、対人関係のパターンを表したモデルです。下記の図のように、客観的な視点と主観的な視点を軸とした4象限からなっています。
これ新入社員研修でめちゃ出てくるんですよね。
(引っ張ってきた画像に誤植がありますね。まぁ気にしないでください。)
というのも、行動や成果に直結するマインドの部分において、ジョハリの窓における開放の窓の領域をフィードバックなどを通して広げていくことで、他人からの親近感や信頼を勝ち得ることが出来ると信じられているからです。
さて、ここで意識して欲しいのは4象限の右側。特に盲点の窓です。
適性検査の性格検査に入力された回答内容は回答者であるあなた自身の、ある一定の性格傾向を示します。
少なくとも性格検査に入力されて統合された性格傾向のデータについて、採用担当や配属担当は「知っている」わけです。
問題は前述の通り、回答者自身が自分自身の性格傾向について「知らなかった」場合です。それこそ、このジョハリの窓における「盲点の窓」に該当する情報にあたる訳です。
考えてみて下さい。多くの企業では、内定までの面接回数は3-4回、すべての面接時間を足し合わせたとしても3時間に届くことはおそらく無いでしょう。
逆に考えると、あなたは初めて会った人の性格や傾向、趣味嗜好、能力を3時間で全て把握できるでしょうか。おそらく相当難しいですよね。
そうした採用シーンにおける人物把握のハードルを下げる為に活用されるのが性格検査と言うわけです。もちろんこのデータは配属にも活用される為、自らの性格をよく知らない、分からない人は、配属発表時に
「あれ?自分の性格的に、この部署は向いてないと思うんだけどなぁ…」
となるわけです。
とは言え、SPIやウェブテストにおける性格診断のデータを学生個人がチェックすることは難しいので、まずは自らの性格、傾向についてストレングスファインダーや就活サイトの性格診断等を活用し、自身でチェックすることをお勧めします。
他人から評価される自分の強みと、自分が思う強みをシンクロさせる事。ここが大きなポイントです。
実際、マーケティング部の同期の性格傾向を見ると割と近接した部分が多いので、その点もしっかり見ているのだなと思っています。
2.配属ガチャの根源(花形部署編)
突然ですが皆さん(2度目)質問です。
あなたは完成車メーカーから内定を貰い、広報部を希望しているとします。次の3つの仕事から1つを選んで担当できるとすればどれを選びますか?
①ブランド全体の広報(CMやメディア露出も多く、大手広告代理店とも繋がりが生まれる)
②商用車の広報(販促物の作成や展示会の準備)
③クレーム対応(クレームの取りまとめ、全社共有)
おそらく多くの人が①,②を選びますよね。
しかしキラキラ感のある広報宣伝から地道なクレーム対応まで、この①②③すべての業務が同じ「広報部」の業務になっている場合があります。
例え、願い叶って広報部への配属が決まったとしても、業務内容が自身が希望していたものと異なればそれもまた配属ガチャの失敗と呼べる訳です。
一方で、就活生はどうでしょう? 花形部署やキラキラ業務こそが、他社との差別化が行いやすい部分でもあるが故に、入社し、その場所に配属となれば即その業務ができると思い込んでいる節があります。
花形部署の裏には地道な職種や領域もあり、自分自身がそこに配属となるリスクもあると言う覚悟は決めておいた方が良いのではないかと思います。特にこれは職種別採用で採用された人にも言えることです。
3.配属ガチャの根源(人事の傾向)
これは非常にシンプルな理由です。
会社や人事によって、新入社員の希望をどこまで汲むのか、そして会社の人的配置によってどこまで新入社員の希望を黙殺するのか。というところに大きな差があります。
友人が勤める某大手機械メーカーでは産休や育休、退職者の兼ね合いで一時的に人事部が減り、その対策として他職種を希望する新入社員の一部(適性ありと認めた者)に対し人事部配属の打診を行っていたそうです。
そうした、企業としてのマンパワーの配分と、新入社員・内定者の希望をいかにして帳尻合わせていくかは各社、各部署によるとしか言えないのが正直なところです。
そうしたところの雰囲気を理解する為にもOB訪問などを通して希望がどの程度叶えられたかをリサーチする必要はあるかと思います。
ただ、全体的に言えることとしては企業規模が大きければ大きいほど、無茶な配置は行われにくい傾向にはあるようです。あくまで傾向ですが…
4.配属ガチャの根源(同期の動向)
これは私としては理解し難い話ですが、同期の中には
「内定者面談で提示された勤務地が不満だったから拒否した。」
であるとか、
「職種や場所は問わず東京で働きたい!」
とゴリ押しする方々も居ました。
結果的に見ると、弊社ではこうした希望が割と通っているようで、ゴネ得的な状況が生まれるわけです。
ですが一方で、このゴネる内定者や新入社員の希望を通す為にある意味割を食う内定者や新入社員もいる訳ですよね。内定者面談後に別枠で僻地勤務を内示された友人もいましたし、そうした帳尻合わせ的人事も確かに存在するのだと思います。
その点は自分のどうしても譲れない希望はしっかりと伝える事。これが何よりも大事なのだと思います。何でも良いであるとか、どこでも働きますというのはもちろん配属的にはありがたいですが、こういうシーンで割りを食うこともあるということを理解しておくと良いと思います。
5.さいごに
ここまで少しネガティブな話を進めてきましたが、少しだけポジティブな話をさせていただきます。
それは希望していない配属になったとしても、人事はあなたを貶めようとしてその職場に配属するわけではないということです。
実際、適性や耐性を評価してその能力を最大化できるであろう職場、もしくは人が足りていない職場、そうしたところに配属されていく訳ですから、「こいつはここに配属するけど絶対活躍できないだろうな…」という配属は基本的には無いと思います。
そうした前提を理解した上で、後はどこで折り合いをつけるかです。希望職種じゃないから転職を検討するのか、その職場で頑張ってみるのか、社内で異動願いを出すのか、はたまた独立しちゃうのか…
おそらく順風満帆に就活を終えた人ほど、配属ガチャで向き合うことになる理不尽さは耐え難いものがあるかと思います。実際周囲にも愚痴をこぼす同期は何人もいました。
ですが、そこでの経験を将来的にどう活かせるかというものが結果的には大事になってくる訳です。
有名なスピーチですが、スティーブ・ジョブズの点と点のスピーチ、"Connecting the dots"をご紹介させていただきます。
その瞬間、何の実利も感じないものであっても、いつか過去の自分の経験としてそれらを繋げられる日が来るのだ、だからその瞬間の経験を大事にしていこうというお話です。
自分が能動的に触る点というのはあくまで自分の世界の中にある点です。その中で配属ガチャの末路とは言え、人から触ることを強いられる点とは、自分の世界から非常に隔絶した場所にある点でしょう。自分の世界の中にある点だけを繋いで生まれた図形と、自分の世界とそこから離れた世界の点を繋いで生まれた図形、どちらが大きいのかは明らかですよね。
それもまた経験、と割り切るのもよし。
これは自分には向いてないと割り切るのもよし。
こうした世界が意外と内定という一見ゴールに見える所の先にあることを少しでも意識した上で、配属ガチャに立ち向かってくだされば幸いです。
チベスナ