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【実用書ほか】感想まとめ 24/11/08更新

読んだ本(小説以外)の概要と感想をまとめました。
忘れないように、あと暇なとき読み返したい本を探せるように。
随時追加していきます。

小説版、映画版はこちら。今のところ映画版の方が充実してます。



高橋源一郎 / 「書く」って、どんなこと?

NHK出版「学びのきほん」シリーズの一つ。
「書く」ことを生業とする作家・高橋源一郎は、これを『誰にだってできる』としながら、同時に『とんでもなくややこしくもめんどうくさく、そして、びっくりするくらいおもしろいこと』だという。
「書く」とは一体何なのか?「書く」とき実際には何が起こっていて、私たちはどうやって「書いて」いるのか? やさしい語り口で掘り下げていく。

 とっても読みやすい一般教養書。本書の中で「夜」と表現された概念に思い当たるものがあった。ときどき、謎のテンションで謎の連続ツイートをしてしまうあの時間(大抵後悔する。ツイ消しする場合もある)か、と。
 それと、もうひとりの「わたし」。ダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」で定義されているシステム1とシステム2に似た雰囲気を感じた。全く同じではないけど。私が知っている自分は氷山の一角なんだろう、ということを、最近ようやく自認できるようになってきたと思う。


Werner Heisenberg (山崎和夫 訳) /
部分と全体

著者の自伝。当時の物理学の様相およびそれに関する仲間との深い対話を中心に、彼の思考を辿っていく。対話には哲学的な要素を含むものも多く、プラトンに惹かれた彼の思想家としての一面も見ることができる。

 専門的な対話の理解には苦労したが、自然科学の捉え方に関するとても興味深い文が複数登場する一冊だった。一番大きな発見は「哲学と自然科学って意外と近いな?」ということ。科学も哲学もやるなんてすごいや、と思っていたが、科学を本気で理解しようとすると必ず哲学的な問題に当たるのかもしれない。
 それと、こんなにレベルが高くて哲学的側面の強い対話をシラフでできる仲間がいるのがとても羨ましい。私だったら最初の語りかけで「え?」つって終わってしまう。
 「自然法則なんてものは、自然と交際するときの単なる一つの実用的な処方だ」という意の文章がすとんと腑に落ちた。他にも好きな文が多すぎるので後日買うだろう。


【詩集】俵万智 / サラダ記念日

作者が20~24歳の間に書いた短歌が収録されている。恋、家族、仕事、日常……様々なテーマに基づいた詩は口語的で読みやすく、どこかさっぱりとした女性の心情を思わせる。

これを読んでびっくりした。自分がだらだらツイートしているようなことが、五・七・五・七・七にぴたりとはまっていたからだ。つい笑ってしまう作品もあった。他人のツイートをまとめて見た気分だ。短歌は、表現に縛りを設けたTwitterと同じような存在になり得るんじゃないかと思った。ほら、たまに構文ツイートとか流行るし、ね。少なくとも私にとって短歌がより親しみやすいものになった。


【詩集】谷川俊太郎 / 定義

いろいろな物を、いろいろな言葉で表現する実験的な詩集。詩によって、それは科学的な記述であったり、どこまでも主観的であったりする。

 借りて読んだんだけど買う。好きなのは、「そのものの名を呼ばぬことに関する記述」「水遊びの観察」「灰についての私見」あたり。
 かなり哲学的な詩もあって面白かった。言葉は万能じゃない、そしてそれを扱う人間の認識も全然信用はできないなあということを読み進めていくうちにじんわりと感じた。

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