夜になろうとしている
駅と小田急線
歩いて歩いて
一体ここはどこ
線路が遠くに見える
でも見える程度には近い
もっと離れたいけど
離れたらもとの場所に
戻れそうにない
知らない家の
知らない三輪車
オートロックのマンションの
戸口に佇めば
ガラスに映る自分
お腹が空いて
良い匂いのする方向へ
目を向ければ
知らない灯りと
取り忘れた洗濯物
さあ暗くなった
誰にも知られずに
姿を現して
ただ歩こう
耳元に鈴の音
しゃんしゃんしゃんしゃん
しゃんしゃんしゃんしゃん
振り向くと
大きな
月
雨の降る夜
知らない誰かの部屋を
ノックしたい
鈴が鳴るから
帰ろう
花を
買って
初出 現代詩フォーラム 20040405
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