IJN Kongo Class 1941 日本海軍戦艦 金剛型制作記 #5 (Fujimi 1/700 waterline kit)
6.武装及び装備類
6-1.主砲
各艦の36cm連装砲塔のパーツを比較してみました。上段左から、金剛(A)、比叡(B)、霧島(C)と伊勢(D)ピットロード日本海軍艦船装備セット(E、F)です。金剛は英国ヴィッカース社製、比叡はその設計図通りなので砲塔側面が角張っていますが、霧島は榛名と同様、国内製造されたので側面が丸みを帯びています。榛名の制作では(F)を用いましたが、特シリーズのほうが、コンパクトなものとなっています。砲塔上面の標準塔等のモールドも各キットで異なっていますが、これは実艦による違いもあるのでしょうが、キットの開発時期による違いかもしれません。
また、砲身パーツの接着部分が、金剛と比叡では差し込むだけなのに対し、後から作られた霧島は伊勢と同様砲身を可動式にできる(G)ようになっています。さらに、霧島のみ砲身の付け根の下側のキャンバスガード(H)が表現されています。この部分は厚みがありすぎるので、エッチングパーツに置き換えることにしました。他の2艦はエッチングパーツを参考にプラペーパーで作成しました。その他にエッチングパーツを使用したのは、側面と前盾のラッタル、砲塔上部の手すりとなります。
砲身は金属製を使用せずキットのままですが、金剛のみ砲身が開口していないので、0.5㎜のピンバイスで開口しました。
各艦の第四砲塔にはアンテナ塔(空中線支柱)がありますが、形状が異なります。金剛と霧島は三脚構造で一脚の下部が「さすまた」のように分岐しています(A)が、金剛と霧島でその向きが違います。一方、比叡は四脚構造となっています。
霧島はエッチングパーツを使用しましたが、金剛と比叡は、伸ばしランナーと金属線で作成しました。この支柱の取り付け位置に注意が必要でした。砲塔が回転しても空中線が捩れてしまわないよう回転軸にTOPの支柱が来るようにしないといけないからです。
また、金剛と霧島には第三砲塔上にも一回り小さい四脚の空中線支柱を設置しました。
6-2.その他の武装
副砲は制作記 #1で説明したように、砲郭や砲塔を改造し、金属パイプの砲身を取り付けました。高角砲と機銃類はすべてキットのパーツをそのまま使用しました。
また、制作記 #3で言及しましたが、霧島の第一煙突横の機関銃座(A)を取り外し、金剛と同様の位置に移動させました(B)(C)。なお、比叡はキットのままで機銃設置位置の変更はありません。
6-3.艦載機用クレーン
艦載機を収容するためのクレーンは、航行中は甲板上の台の上に収納されていたものと思われます。特シリーズの金剛型の各艦キットには、それぞれ形状が異なりますが、その台が第四砲塔左舷にモールドされています(A)。
キットのパーツ(B)はそのままでは使用せず、支柱(C)のみ残して、エッチングパーツ(D)に一直線になるようはめ込み、台上に寝かせました。
6-4.艦載艇
艦載艇は図面や年代で異なるようですが、写真をもとに次のような配備としました。
金剛:17m内火艇(A)2、11m内火艇(C)2、12m内火ランチ(D)2、9mカッター(E)2
比叡:17m内火艇(A)1、15m内火艇(B)1、12m内火ランチ(D)2、9mカッター(E)2 (D+E:キャンバスカバー(幌)のない内火ランチの上にカッターが重ねてあります)
霧島:17m内火艇(A)2、11m内火艇(C)1、12m内火ランチ(D)2、9mカッター(E)3、6m通船(F)1
カッター類はデリックで吊るさず、すべて甲板上に収納した状態としました。なお、艦によっては、艦載機甲板の下に収納していたケースもあったようです。
6-5.艦載機
金剛型は1939年(昭和14年)から順次九十五式水上偵察機を3機を搭載し、ミッドウェー開戦後の1942年(昭和17年)7月14日の改編で零式水上観測機2機と零式三座水上偵察機1機の搭載に改められました。このため、開戦前のこの時期は九十五式水偵3機搭載としました。
7.おわりに
英国ヴィッカース社で建造され1913年8月16日に竣工した金剛、その技術を導入し横須賀海軍工廠者で建造され 1914年8月4日に竣工した比叡、民間企業初の主力艦として神戸川崎造船所で建造され1915年4月19日に竣工した榛名、続いて三菱合資会社三菱造船所(現・三菱重工長崎造船所)で建造され榛名と同日に竣工した霧島の金剛型四艦の制作紹介は以上となります。
学生時代に金剛のスクラッチを断念して以来、40数年を経て、ここにようやく四艦を揃えることができ、一首詠んでみました。
大洋(わだつみ)に
浮べる山ぞ頼みなる
金剛 榛名
比叡 霧島
建造順でいうと金剛、比叡、榛名、霧島(起工が榛名のほうが2日早かったのです)となりますが、開戦当時は、金剛型で第三戦隊が編成され、金剛と榛名、比叡と霧島がペアを組んでいたので、どうしてもこの順番で覚えてしまっています。軍艦マーチだと「浮かべる城ぞ頼みなる」ですが、巡洋戦艦として誕生した金剛型はすべて山の名前が付けられていたので、敢えてこのように詠みました。
上記写真は、 昭和17年インド洋に向かう前にスマトラ沖の演習中にで撮影された有名な写真を模して、大戦前に似たような演習風景があったのなら…というつもりの簡易情景です。寝室のカーペットの上に四艦並べて、ベビーパウダーを振り撒いて航跡を表現してみました。もちろん家人のいない間に撮って、パウダーは後でしっかりと掃除機で吸い取って証拠隠滅しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
且聴下巻分解!
制作2023年1月-2023年11月
スケールモデル祭り2023にエントリーしました(エントリー№29)
8.参考文献
潮書房, 隔月刊「丸」スペシャル 日本海軍艦艇シリーズ 第11号 戦艦金剛, 1976
隔月刊「丸」スペシャル 日本海軍艦艇シリーズ 第15号 戦艦比叡 1977モデルアート社, モデルアート 5月号臨時増刊 No.182 WLスペシャルNo.4 金剛 榛名 比叡 霧島, 1981
潮書房, 丸1月増刊号 軍艦メカ 日本の戦艦, 1986
潮書房, 月刊「丸」スペシャル 日本海軍艦艇発達史 第112号 巡洋戦艦金剛型 1986
モデルアート社, モデルアート 10月号臨時増刊 No.340 艦船模型テクニック講座Vol.6 日本海軍艦艇図面集, 1989
タミヤニュース編集室, 森 恒英「軍艦雑記帳」上巻・下巻, 1990
グランプリ出版, 森 恒英 軍艦メカ図鑑 日本の巡洋艦, 1993
モデルアート社, 艦船模型スペシャルNo.26 WINTER ウォーターラインモデリングガイドブック 日本海軍戦艦編, 2007
海人社, 世界の艦船 2007年10月号増刊 第681集(増刊第79集)日本戦艦史, 2007
大日本絵画社, 月刊モデルグラフィックス 300号 エンサイクロペディア・オブ・金剛, 2009
モデルアート社, モデルアート 1月号臨時増刊 艦艇模型データベース番外編Ⅴ 帝国海軍 戦艦 総ざらい, 2015
モデルアート社, モデルアート 12月号臨時増刊 上級テクを極める! 1/700 艦艇模型の製作術 総ざらい3, 2016
大日本絵画社, 水谷清高図面集 日本海軍戦艦スタイルブック 艦橋・上部構造物, 2018
モデルアート社, モデルアート 3月号臨時増刊 艦船モデラーのための 帝国海軍 搭載機 総ざらい②, 2019
モデルアート社, モデルアート 艦船模型スペシャルNo.73 AUTUMN 太平洋戦争開戦時の日本海軍戦艦, 2019
モデルアート社, 艦船模型スペシャルNo.78 WINTER 第三次ソロモン海戦1942, 2020
光人社NF文庫, 日本の水上機, 野原 茂, 2021
モデルアート社, モデルアート 3月号臨時増刊 帝国海軍艦艇 真・総ざらい4 金剛型戦艦編, 2023
大日本絵画社, アーマーモデリング3月号 別冊ネービーヤード vol.52 戦艦、重巡の航空甲板っておもしろい!!! 2023
海人社, 世界の艦船 2023年8月号増刊 第1000集(増刊第208集)日本軍艦史, 2023
© 2023 Thyme Craft All Rights Reserved.