小川麻衣子先生最新作『波のしじまのホリゾント』第一話感想【速報版】
というわけで、ゲッサン2021年8月号にて不定期連載が開始された、小川麻衣子先生の最新作『波のしじまのホリゾント』の感想です。時間が無いのでざっくりした感想をとりあえずは。
……い、いいね……。
まず、おねショタである。小川麻衣子先生がおねショタを!!!
いや、今までもその片鱗がなかった訳ではないが……ここまで明確なおねショタとは……!!
主人公の陸(リっくん)なんてもう、ヒロイン(依織)のおもちゃにされるために生まれてきたかのような完璧なやられ役ショタやんけ! 笑うわこんなもん!
そして『魚の見る夢』を彷彿とさせるインモラル具合! なんてったってヒロインが兄の元カノ!
今までのヒロインと比べて顔付きが……緩い……どう見ても「隙だらけです」って顔に書いてあるとしか読解のしようがねぇ……!!!
で、依織って高校生でしょ?ということは年上の彼氏と付き合っておきながら、その弟でおねショタしてるわけだ。うわー。
リっくん宅の母に出会ったフリをするシーンも「あの、怒らないでください」っていうのが絶妙にいいチョイス! 息子の元カノが人の家に勝手に上がり込んでスカート洗濯してるなんて阿鼻叫喚だろうからそりゃあそういう言葉使いにもなろうという話だが、それでもなお家に上がり込むことを止められないというのであれば、これは結構業が深い……というか欲深いぞ! リっくん母の状況を確認していた辺り家の様子を知っていたわけでもないだろうし、それで勝手に上がり込んで洗濯機を借りちゃう辺りもうなんか、ひどい。
リっくんの立ち位置というか、依織に対する反応もいい! 冒頭の友達とのサッカー話で兄のことを慕っていることを仄めかすような会話をさせておいて、その元カノが自分に襲いかかる! 子供であるが故にマトモには受け止めきれない生理的な違和感、それはそれとしてニヤける顔を抑えられず、しかも自分に迫る理由が兄が居ないことの代替行為なのではないかと薄々気づいてしまっている居心地の悪さ! うん! お腹いっぱいだなぁ!
というか、依織がリっくん兄との行為を何かしら嫌がるかのような表情をしている回想シーンなんかも加味すると……これ、『魚の見る夢』の高柳と御影のアレコレが思い出されるヤツでは? 求めていたものと求められたもののズレというか……そういうの……それをよりによっておねショタでやるんだ……こわー。
そしてこれ、どう着地させるんだろう。すげー楽しみなんだか。
『てのひら創世記』の場合は恐らく調和することがポイントなのでそういう収まりの良い話になりそうだが、こっちはもう絶対そうならないじゃん。だっておねショタなんだもん。元から決定的にズレてる。
二人が同じ人物を求めていながらその内実が全く異なっているんですよね。リっくんはあくまでも慕っている兄を求めていて、依織は年上の彼氏(あるいはそこから得られていた何か)を求めている。同一人物でありながら違う側面を求め、その空白にお互いが入り込んできて絶妙に噛み合わないおねショタが完成する。うん。ひどい。
しかし理由もなくまっすぐおねショタ、としない辺りはやっぱり小川麻衣子先生ですね。常にオリジナルの百合作品に百合に対する批判意識を持ち込まずにはいられなかった方らしいと思います。
いやぁーーー、これと『てのひら創世記』を交互に読めるなんてゲッサンは罪深い雑誌だよ……。
早く続きが読みたいです。どう収めるつもりなんだろう……すげぇーーー気になる……。
雑な感想は以上ですが、他に何か思いついたことを書き足して完全版を書きたい気持ちもあります。まぁ、あくまで書けたらということで。
ではでは。