青ひげ【グリム童話】
出会い
エリザベスは美しい村娘で、親友のアンナと共に楽しい日々を過ごしていた。ある日、村に裕福で謎めいた男、青ひげが現れた。彼の名前はその独特の青いひげから来ていた。
「エリザベス、あの人見たことある?ちょっと怖いけど、どこか魅力的ね」とアンナはささやいた。
「確かに不思議な雰囲気のある人だわ。でも、何か気になるわね」とエリザベスは答えた。
数日後、青ひげはエリザベスに近づき、彼の城に招待した。
「エリザベス、君の美しさと知恵に惹かれた。私と結婚して、共に暮らさないか?」と青ひげは提案した。
エリザベスは彼の言葉に心を動かされ、結婚を決意した。
謎の城
エリザベスは青ひげの城に引っ越し、豪華な生活を始めた。しかし、青ひげには一つの奇妙な条件があった。
「エリザベス、城中の部屋は自由に使って良いが、ただ一つだけ開けてはならない部屋がある。その部屋には決して入ってはいけない」と青ひげは警告した。
エリザベスはその条件を受け入れたが、心の中に疑問が残った。
「なぜその部屋だけは開けてはいけないのかしら?」とエリザベスは自問した。
禁断の扉
ある日、青ひげは長い旅に出かけることになり、エリザベスに鍵束を渡した。
「エリザベス、私が留守の間、城の全てを管理してほしい。しかし、例の部屋だけは決して開けてはならない」と青ひげは再び警告した。
エリザベスは鍵束を手に取り、好奇心に駆られた。
「何があの部屋に隠されているのかしら?」と彼女は思いながら、鍵束の中の小さな鍵を見つめた。
数日後、好奇心に負けたエリザベスはついに禁断の部屋の扉を開けることを決意した。
恐ろしい発見
エリザベスは小さな鍵を使い、禁断の部屋の扉を開けた。中に入ると、そこには青ひげの過去の妻たちの遺体が並んでいた。
「なんて恐ろしい…!」エリザベスは震え上がった。
彼女は急いで部屋を閉め、何事もなかったかのように振る舞った。しかし、鍵に血痕がついてしまい、どうしても消えなかった。
青ひげの帰還
数日後、青ひげが帰ってきた。彼はエリザベスの様子に不審を抱き、鍵束を確認した。
「エリザベス、この鍵に何があったのだ?」と青ひげは問い詰めた。
エリザベスは恐怖に震えながらも真実を告白した。「私は禁断の部屋を開けてしまいました…」
青ひげの顔は怒りで真っ赤になり、「お前は私の命令に背いた。罰を受けることになる」と宣言した。
救いの手
エリザベスは青ひげの怒りから逃れるため、急いで親友のアンナに助けを求めた。
「アンナ、助けて!青ひげが私を…!」エリザベスは泣きながら叫んだ。
アンナはすぐにエリザベスの兄弟たちに知らせ、彼らは急いで城へ向かった。
「妹を救うために、急げ!」兄弟たちは叫びながら城に突入した。
決闘と勝利
兄弟たちは城に到着し、青ひげと対峙した。激しい戦いの末、兄弟たちは青ひげを倒し、エリザベスを救い出した。
「エリザベス、もう大丈夫だ」と兄弟たちは彼女を抱きしめた。
エリザベスは涙を流しながら感謝の言葉を述べた。「ありがとう、兄さんたち。命の恩人です」
新たな始まり
青ひげの城から解放されたエリザベスは、新たな生活を始めた。彼女は兄弟たちと共に幸せに暮らし、過去の恐ろしい出来事を忘れることに努めた。
「私たちはこれからも力を合わせて生きていくわ」とエリザベスは決意を新たにした。
こうして、エリザベスの勇気と知恵が未来永劫語り継がれることとなり、彼女の物語は多くの人々に希望と勇気を与え続けた。