六羽の白鳥【グリム童話】
呪いの始まり
ある日、美しい王国に住む王は、新しい王妃を迎えました。しかし、この新しい王妃は邪悪な魔女であり、王の七人の子供たちを嫌っていました。
「この子たちをどうにかしなければならないわ…」と魔女は計画を立てました。そして、六人の王子たちを白鳥に変える呪いをかけました。
「助けてくれ!」王子たちは叫びましたが、白鳥に変えられてしまいました。末っ子のエリサだけがその場にいませんでした。
エリサの決意
エリサは兄たちが白鳥に変えられたことを知り、深い悲しみに包まれました。
「私が何としてでも兄たちを救わなければ…」エリサは決意しました。
彼女は兄たちを探すために旅に出ました。白鳥たちは夜になると人間に戻ることができました。
「エリサ、私たちを救うためには、六年間話さずに一心にシャツを編まなければならない」と兄たちはエリサに教えました。
試練の始まり
エリサは兄たちを救うために、言葉を一切発さずにシャツを編み始めました。彼女はひとり孤独な森の中で暮らしながら、黙々とシャツを編み続けました。
ある日、隣国の若き王が狩りをしている最中、エリサを見つけました。
「あなたは誰ですか?なぜこんなところで…」と王は尋ねましたが、エリサは答えることができませんでした。
愛と疑惑
若き王はエリサを助け、自分の城に連れ帰りました。王はエリサに心を惹かれ、彼女と結婚しました。
しかし、城の中にはエリサに対する疑いの声もありました。「あの女は何か隠しているに違いない…」と囁かれました。
エリサは兄たちを救うために黙々とシャツを編み続け、言葉を発することはなかった。
最後の試練
エリサの黙々とした行動に対して、城の中で疑惑が深まりました。最終的に、彼女は魔女として裁かれることになってしまいました。
「彼女は魔女だ!火刑に処すべきだ!」と群衆は叫びました。
しかし、エリサはその場でも黙々とシャツを編み続けました。ついに火刑の日が来てしまいました。
奇跡の解放
エリサが火刑に処される寸前、六羽の白鳥が現れました。エリサは編み終えたシャツを白鳥たちに投げかけました。
「兄さんたち、これで呪いは解ける!」エリサは心の中で叫びました。
シャツが白鳥に触れると、白鳥たちは再び人間の姿に戻りました。しかし、最後のシャツはまだ完成していなかったため、末っ子の兄の片腕は白鳥の翼のままでした。
新たな始まり
王と群衆は驚きと感動に包まれました。「エリサは魔女ではなく、勇敢で心優しい王女だ」と皆が認めました。
若き王はエリサを抱きしめ、「あなたの勇気と愛に感謝します。これからも共に生きていきましょう」と誓いました。
エリサと兄たちは再び家族として一緒に暮らし、王国に平和と幸福をもたらしました。
こうして、エリサの勇気と愛の物語は未来永劫語り継がれることとなりました。