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よたばなし:税金払っても神様にはなれない

日本には義務教育があるので、小学校・中学校は公立の学校制度として全ての国民に対し準備されている。幼稚園は義務教育ではないけれども、義務教育に繋がる教育の基礎を作るものとして、こちらも公立の施設として組み込まれ整備されている。

公共の設備である以上、その原資は税金によるものだ。その種類が所得税であろうと住民税であろうと酒税であろうとタバコ税であろうと、国民が労働して稼いだ金銭の中から、それは国や自治体に対して納めている。
こうした税金が集められることによって、国民はさまざまな種類の公共のサービスを安価で受けられるのである。
役所の運営も、水道も、道路整備も、ごみの収集もそうだ。

とすると、金銭の話だけで言えば、小中学校(+幼稚園)の子供たちは大人たちの税金のおかげで勉強ができている、と言っても確かにそれは間違いではない。校舎も税金によって建てられているだろうし、公立学校の教員も公務員である以上、その給料も税金から出ているものであろう。

ところで、島根県安来市の資料によると、小学校1校あたりの1年間の学校管理費や教育振興費を計算すると、だいたい1086万円ほどになるそうだ。
実際は市区町村によっても多少バラつきがあるだろうが、単純な計算をすると、安来市の総人口3.6万人のうち納税義務者が1万6千人ほどなので、
10860000円÷160000=678.75円
となる。
納税者1人につき貴重な678.75円をいただいて学校は運営されているというわけだ。

そんな学校だが、夏休みなどの長期休暇が明ける時期にはどうしても「行きたくない」という気持ちになったりするだろう。子供だけでなく、大人でも月曜日に仕事へ行くのが嫌な人はたくさんいるくらいなので、そういう気持ちが起こるのはごく自然なことだ。
そういう時に、大人の中には「俺だって嫌でも行ったんだからお前も行け」と言ってくる人がいるかもしれない。けれど、それは学校に行けた人の意見であって、行けなかった人の意見ではないのだ。

「なんとなくサボりたい」という気持ちと「行かなきゃいけないと分かっているのに行けない」という人の気持ちは、実際のところ本人の中ではそれほど距離はなかったりするし、それが本人の不可抗力かどうかは本人にも周りの人間にも判断は難しいだろう。
なので、「どうしても行きたくないな」「行けないな」という気持ちでいっぱいになったり、自暴自棄になったり、取り返しのつかないことをしそうになるのであれば、思い切って学校をサボってしまうのもアリではある。

もちろん、その日に学校に行かなかったことで逃してしまう機会もあるかもしれない。授業で重要なことを聞ける時間を1回分失うかもしれないし、大事な友達と話すチャンスを逃してしまうかもしれない。しかし、それ自体も「ビリー・アイリッシュに会えなかった」級の大損失でないなら、あとからいくらでも取り返せるはずだ。大して気にすることもないだろう。

「学校をサボって俺の払ってる税金を無駄にするのか!」と怒る人があるかもしれない。
もし、学校をサボってしまってそういう言葉に心を痛めることがあれば、その時はおとなしく1日につき 678.75円÷365=1.85958904円の貴重な税金を無駄にしてしまったんだなと思うことにしよう。
そして、いつの日か1.85958904円分のお返しができるよう精一杯生きようと思っていれば、きっとその納税者も満足してくれるだろう。

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