「The Word is the Special 異色の女王と不思議な力」爆誕!
The Word is the Special
異色の女王と不思議な力
グランテル大陸の大国「ジャナプ」と「バンリット」は13年もの間戦争を続けた。
その後、何もなくなったバンリットの真ん中に立つことになったのは、ジャナプ生まれジャナプ育ちの「キンバリー・ヨーク」だった!
推しの、歌って踊れるアーティスト「M&H」復活のため、バンリットの復興に励むキンバリーだったが、バンリットに降り続く長雨が「M&H」によるものかもしれないと知らされて…。
三田兄貴の「言葉」と「平和」の物語、ついに爆誕!
M&Hとの出逢い
私は心臓の病気になった。
わずか7歳で、生命を維持する部分が
壊れてしまったんだ。
同じ年ぐらいの子は、友達と遊び、学び、
あたたかい家で美味しいごはんを食べて、眠る。
それが私にはできない。
あたたかさとは無縁の無機質なところで、
何も変わらない日々を繰り返すだけだ。
ある日、1か月ぶりに少しお菓子を食べていい許可が出て、売店で何にするか悩んでいた時、
少し離れたロビーの方で母と主治医らしき人が小さな声で話をしているのが見えた。
よく耳をすましてみると、手術を受けるかどうかの話をしているみたいだった。
「手術をしても、正直なところ
生きられる確率は…40%ぐらいです。」
なんとなくそんな感じのことを言っているのはわかった。
母はしばらく黙っていて、その後
「手術しないと生きられる可能性は0%ってことね。…それじゃもう、娘を信じるしかないか。」
と力強く言った。
母は手術をすることを決めたんだ。
でも、もし手術が失敗したら…死んでしまうんだ。
…そんな怖いこと、他にないよ!
手術前日のお昼、母に手押し車を押してもらって病院の庭を回った。
いつもと変わらない些細な話をしながら、
自分の背丈と同じぐらいの植木の間をゆっくり進んでいく。
しばらく進むと、真ん中に大きな噴水がある広場に出る。
この広場は普段、私と同じように散歩を楽しむ患者と、ランチで行き来する看護師さんぐらいしか通らない静かな場所なのに、
珍しくたくさんの人が集まっていた。
「せっかくだから」と母は人だかりをかき分けながら一番前まで移動してくれた。
木箱を集めて作られた小さな舞台の上に、
二人人がいるみたいだった。
一人は踊っている。
女の人だけど、背が高くて手足も長くて綺麗。
それをめいっぱい動かして飛んだりバク転したりして、カッコいい。
もう一人は歌っている。
男の人だけど、髪が長くてすごく綺麗。
それにとても高くて澄んだ声でふぁーーーって伸ばした声が、カッコいい。
二人の口から出る言葉の意味は全然わからない。
でも、今まで感じたことがないワクワク感が、
ボロボロな心臓にドッと押し寄せてくるのがわかる。
…こんな楽しいこと、他にないよ!
その後、成功率40%と言われた難しい手術は無事に終わった。
術後しばらくは入院が必要でもどかしかったけど、もしかすると、といつも様子を見に来てくれる看護師さんに二人のことを聞いてみた。
そうしたら看護師さんは凄いファンなのか、
楽しそうに教えてくれた。
彼らは、隣国バンリットを代表する
歌って踊れるアーティスト「M&H」。
踊っているのが「Mio」。
歌っているのが「H・sound」。
二人揃って、「M&H」!
M&Hは…私に生きる力と希望をくれた。
それからは何度も何度も二人のライブに行った。
もちろん、バンリットに。
バンリットは二人の故郷。
そして、私の第二の故郷になった。
…のだけど…。
ジャナプとバンリットは、使節団が失礼な態度を取ったとかなんだかの些細な衝突の後、戦争状態になった。
ライブに行くたびになんとなく感じていた
「ジャナプの人を侮蔑する思想」。
多分、根本にはそれがあったんだと思う。
私はジャナプから離れたファーナクという国に疎開して難を逃れたが、
二つの故郷がただ破壊を続けることに、悲しみを越えて虚無になっていた。
無力な私にできることなど、何もなかった。
その後、バンリットの王族の不祥事とかなんだかで、13年もの間続いた戦争は突然の終焉を迎えた。
戦争は、二つの国の人も建物も土地も文化も遺産も全てを破壊した。
残ったのはそこら中を埋め尽くす瓦礫と、
おそらく人であっただろう骸の山だけだった。
何もなくなったジャナプに帰ることができたのはそれから2年後。
ジャナプに着いてすぐに母の知り合いという人に会うことができて、
母がいるところに連れて行ってくれた。
そこは…
お墓だった。
終戦の1年半前ぐらいに、広場の火災で亡くなった。とだけ聞いた。
「焼け跡からはこれだけが見つかった。」
そう言われて、いつも付けていた「ラサク」の花が描かれたかんざしを渡してくれた。
全然信じられなかった。
なんなら「なんちゃって!ビックリした?」とか言ってお墓の後ろから出てくるんじゃないかと思っていた。
でも、いくら待っていてもそうはならなかった。
私はただ、かんざしを握りしめて丘を下るしかなかった。
母がこの世界にいないことを受け入れられないまま、
ぐちゃぐちゃで何もないジャナプと同じような心で、茫然と大通り…私の家があった道を理由もなく歩いた。
ここは人だけでなく荷車も行き交う道だけあって、瓦礫はほとんど除かれている。
しばらく歩いていると、向こう側から規則正しい足音と共に大勢の人が縦横キチッと並んで歩いてきた。
全員背が高くてどうみてもジャナプの人じゃない雰囲気だったから、とっさに近くの大きな瓦礫の後ろに隠れたのだけど、
よほど目が良いのか察しが良いのか、
集団の中の二人が私に気付いて迫ってきた。
「こいつかな。ちっちぇし、あごのトコにほくろあるし。」
一人は長髪の女性。猫みたいな大きな目でなめるように上から下までジーッと見てくる。怖い…。
「顔も似ている気がしますし、そうかもしれないですね。ひとまず連れていきましょう。」
もう一人は栗色の短髪で褐色の男性。
ん?ちょっと待って連れて行くってどういうこ
私が何かを言おうとした時には既に両手を掴まれていて、すぐに集団の中に取り込まれてしまった。
そしてこの規則正しい集団が「バンリット騎士団」だということはすぐにわかった。
なぜかというと、この集団の紋章とM&Hのライブ初日に騎士団の偉い人と一緒に出てくる紋章が同じ絵だったからだ。
最初は拉致なのかと思ったけど、白昼堂々動きを隠す様子もなく、かつ妙に乗り心地の良い馬車に乗せられたのでそうではなさそうだ。
悪いようにはしないのだろうけど、心だけでなく頭もからっぽなせいで、それ以上の思考は何も働かなかった。
そこからはボーっとしていてどれくらい走ったのかはわからなかったけど、
今まで「カタン…カタン…」と間隔に幅のあった音が「トトトト…」という細かい乾いた音になったところで、ジャナプとバンリットの国境…スプリダン川にかかっている橋を渡り始めたことに気が付いた。
そこで右側に座っている、私を一団に取り込んだ褐色の男性が声をかけてきた。
「ここを渡るとバンリットはすぐだよ。君にはしばらくバンリットで働いてもらうことになる。
…もちろん、君が『本物の王族』であればね。」
妙に聞き心地の良い声だけど、言葉の隅っこになんか引っかかるものがあるな…。
そう思って彼の方を向くと、沈痛な面持ちの横顔が視界に入る。
疎開地のファーナクでは当たり前に見かけた褐色の肌。
多分彼も私と同じで、バンリットでは変な目で見られているはずだ。
それでも「バンリット騎士団」にいるのは、
きっと「何かを変えるため」なんだろうな。
そんな私の考えを読み取ったかのように、彼はこちらを見て少し微笑んだ。
「褐色の肌はそんなに珍しいかな。それとも、ファーナク出身の私が騎士団『長』なのが不思議なのかな。」
その言葉を聞いてひっくり返りそうになった。
ちょっと待って。
騎士団…の「長」って、一番偉い人でしょ?
下働き止まりなファーナクの人がバンリットの重要組織の長だなんて、
何か間違ってるんじゃないの?
…そうか。
バンリットの思想に違和感を持っていた私の心の隅にも
「ファーナクの人は学がないから下働きしかできない」という考えがあるんだ。
そう気付いた瞬間、座っていることも難しくなるほどの衝撃が体中を駆け巡って、
急に…体が傾いて…
落ち ―――――――
執務室にて
ぼとっ
「クッソ。またこれか。ほんと、M&Hのところまででいいっての。」
寝覚めの悪さを吹き飛ばそうと、
大きな窓のカーテンをバーっと開けた。
外は雨。
かれこれ1週間、止むことなく降り続いている。
空は分厚い雲で埋め尽くされ、時々光ったかと思うとゴロゴロと唸りを上げる。
「あんなことは1回こっきりで十分だわまったく…。それにしてもほんとうんこなレベルで雨だな。」
窓を半分ふさぐほど積み上がっている瓦礫の隙間から少し様子を見てみるが、ひっきりなしに右方向…南に動く人たちと、
おそらく喧嘩であろう怒鳴り声が聞こえるだけだった。
せっかく開けたカーテンだけど、
正直閉めている方が鬱々としなくて良さそうだ。
カーテンを閉めて、半ばあきれたようにどかっと椅子に座る。
「ほんっとムカつく。1週間以上こんな雨嵐とか頭おかしいわ。バンリット語はクソ分からんし…あいあむあぺん。でぃすいずキンバリー。」
蛇がのたうちまわったような文字とにらめっこし始めてすぐ、正面の扉をノックする音がした。
それにだるさ半分で「うぃーっす」と答えると、
扉が開いてノックした人物が入ってくる。
「女王、このところ続く悪天候の原因について進捗がありましたので、報告に上がりました。」
仰々しい格好に仰々しいセリフと共に分厚い紙の束を持って現れたのは、騎士団長のアキ。
本当はなんかオフトンみたいな名前なんだけど、覚えられないから、アキ。
そう。さっき夢の中に出てきた「褐色の騎士団長」はこの人だ。
「おう。アキはジャナプ語が分かるから助かるよ。で、何が原因だったんだ?」
ジャナプ語っていうのは、私が話している言葉。ここじゃ話せるのは私とアキぐらいかな。
アキは分厚い紙の束…表紙に「なんとか報告書」とか書いてあるやつをめくりながら、
私にわかるレベルに落として話をしてくれた。
「それが、第一城壁跡…一番外側の城壁があった所の地下に怪しい祭壇が作られていて、そこで昼夜関係なしに祈祷が行われているようなのです。」
この一言だけで、もうめんどくさい気配しかしない。
「祈祷…まためんどくさそうな…で、そのせいで雨嵐が続いていると。」
「おそらくそうなのではないかと思われます。それから、中の様子も確認しに行ったのですが…その…。」
そこまで滑らかだったアキの言葉がつっかえる。
中は言いにくい状況だったのか。とすると…。
「何で歯切れ悪いんだ?裸のおねぇちゃんでも踊ってたか?」
祈祷と言えば、裸で踊る。きっとそれだ。
しかしアキの眉間のシワが倍増したので、違うみたいだ。
「…何ですかその発想…。そうではないんですが、女王に報告するには少し…。」
私に報告しにくい。となると…。
「あ、もしかして裸のおにぃちゃんが…」
「違います。どれだけ裸にこだわるんですか…。」
秒で跳ね返された。
それじゃあ…。そう言おうとしたら、先にアキが続きを話し始めた。
「その…女王は、M&Hの二人がバンリットに戻ってきてほしいから、女王になることを決意してくれたのですよね。」
「ん?そうだけど…?」
めんどくささMAXだったところから突然推しの話になって、大変困惑気味なのだが。
「…え?二人と祈祷と何の関係が?」
「それが、しばらく中の様子を見ていたら突然聞き覚えのある歌が聞こえてきまして。M&Hの歌じゃないかなぁと。」
マジか…。流行に超鈍感なアキすら知っているとは。さすがM&H。神だな。
「確証を得たかったのですが、祈祷所の奥に行こうとすると凄い風が吹いてそれ以上進めなくなってしまって…。」
「でも、本当にM&Hなのかな。だってsoundさんはバンリットの人だし、Mioちゃんだってバンリットとジャナプのハーフでずっとバンリットに住んでるって情報誌に書かれてたし。
自分たちの国に悪いことをするようには思えないんだよなぁ。」
アキはゆっくりとうなずく。
「そうですよね。私の聞き違いであればいいのですが、soundさんのあの高音域は普通の人ではなかなか出せないと思って…。」
「お。アキもsoundさんの声は気に入っているとみた。
うーん、まさか祈祷しながら『soundごっこ』してるとも思えないし、とりあえずあれかな。私も確かめに行きますかね。」
どっこいしょ。と椅子から立ち上がる。
「はい。…って、え…いやいやいや!危ないですよ!
もし祈祷者がその二人だとしても、見ず知らずの人と女王が直接合うだなんて認められないです!」
アキがなんやかんや言っているのを聞きながら、机の横に準備しておいた「これを一式装備すれば女王として申し分ないだろうセット」を上から順に身に着けていく。
「心配してくれるのは超絶嬉しいんだけど、もし二人だったら、見てるし知ってるから見ず知らずではないぜ!それに…」
「凄い暴論…。それに?」
「サインもらわなくちゃ!!」
そう言った途端、どんがらがっしゃんといわんばかりに派手にずっこける音がした。
城塞都市「バンリット」
「僕らはこのまま言いなりになるしかないのだろうか。」
「仕方ない。彼女を取られたままじゃ、下手に逆らえないし。」
二人はバンリット語で話をしているようだ。
そして、1つ小さく長いため息が聞こえた後、
1つ大きく短い怒号が聞こえた。
「こんなことは絶対に間違ってる。これ以上バンリットが滅茶苦茶になるのはゴメンだ。
…けど、僕にはどうにもできない。この力は誰かを傷付けるためにあるんじゃないはずだ…。」
「そうなんだろうけど、『バンリットのやつらを全員追い出せ』なんて言われたら、こういう力が必要なんだろうな。偉いやつの考えることなんてわかんないけど。」
「だね。バンリットのやつらを全員…か。
みんないなくなったら、僕らも追い出されるのかな。」
また小さくため息が聞こえた。
「まぁ、そうだろうな。」
城塞都市と言われたら、どういった景色が思い浮かぶだろうか。
おそらくは、年輪のような二重三重の城壁、高い塔、美しく整った街並み、石やレンガ造りの建物などだろう。
しかし、「グランテル随一の城塞都市」と名高い「バンリット」はその景色とはかけ離れていた。
長きに渡った戦争とその後の国民の暴徒化により、美しい城壁や塔のほぼ全てが壊され瓦礫と化し、整った街並みもそのほとんどが原型を留めていなかった。
そこに追い打ちをかけるように続く長雨と嵐。
人々が次々と逃げるように国外に出ていくのは必然だった。
その中で、国外と繋がる南門側ではなく、西側に移動する一団があった。
その先頭にいる二人のうち、小さい方が隣の大きい方に話しかけた。
「ねぇアキ。」
「何でしょうか、女王。」
アキと呼ばれた大きい方は、小さい方を女王と呼んだ。
「戦争終わってから、どれだけ人いなくなったのかな。」
「戦後から…と考えると、国民全体の3割…というところでしょうか。さすがにこれ以上の流出は国の存亡に関わります。」
アキは深刻な面持ちで現状を素直に語る。
人の流出は戦後の復興を減退させ、それがさらなる流出を生む。
「3割ってだいぶ多いな。やっぱ国に関わるやつが騎士団以外いないのはダメだな。」
「そうかもしれないですね…。戦後すぐに我々が仮設の住宅を作ったり食料需給をしたりしたのでこれでも残ってくれていると思うのですが、仮住まいにこの悪天候は厳しいでしょう…。」
そう言ったアキの見る方向に、仮設住宅の列が見えてくる。
雨風をしのぐために丈夫に作られているように見えるが、あまり厚みがなさそうな外壁に、風で勢いが付いた雨がひっきりなしにバタバタと叩きつける様子を見る限り、
夜はろくに眠れないだろうとすぐに予想ができる。
「だからこそ、このクソみたいな雨を何とかしようってわけだよな。」
「そうですね。そんなことしかできないのは悔しいですが、これでも現状できることは全てやっているつもりです。」
仮設住宅が終わるところから、徐々に問題の第一城壁跡が見えてくる。
本来であればここに分厚く高い城壁があって、山から吹く冷たい風や周辺に多数ある川の氾濫からバンリットを守ってくれる。
それが、今では最下層のレンガ数段を残して崩れ去っている。
崩れた瓦礫は一か所にまとめて置かれて、時々大工らしい人が荷車に乗せて移動させている。
再利用できるものはそこから使うみたいだ。
「にしても。」
「どうかしましたか?」
女王がいつになく真面目な顔で話を切り出したせいか、アキの眉間のシワが少し増える。
「戦争でジャナプ側の城壁が全滅してるのはわかるけど、関係ない西側の城壁まで全滅してるのはどうも違和感があるんだよな。人が暴れたぐらいでこんなハチャメチャになるかな。それに、自分たちが住んでるところ壊してどうするつもりなんだ?」
女王は「解せない」という顔のまま歩き続ける。
「そうですね…さすがにこれだけ壊されていると、人の力によるものだけではないかもしれません。ファーナクにはドラゴンがいますし、ジャナプには自然を自在に操る人がいるというのも聞いていますので…あ、ジャナプのことは女王の方が詳しいですよね。」
「まぁ…そうだな。自然を自在に…っていうのは合ってるような合ってないような感じだけどな。」
しかめっ面になる女王に対し何か言おうと思ったアキだったが、かける言葉を探している間に祈祷所のある場所に到着してしまった。
「おっと、到着しました。ここの地面にこうして地下へ行く扉があるのですよ。」
扉を開けて梯子を指差すアキ。
女王は一瞬ボーっとしていたが、そこがM&Hに繋がっているかもしれない入口だと思った途端、アキより先に梯子を下りていってしまった。
「ちょっ…待っ…!せめて私が入ってからにしてください…!って、もう全然聞いてないっ!」
アキは呆れ半分と若干の焦りを抱えながら、梯子を下りていった。
祈祷所にて
女王と騎士団の面々は、時折吹く強い風に足を止められながらも、中へと進んでいく。
「案外手薄というか…式神的なのとか怪しい霊っぽいのとかいないんだな。」
祈祷所をなんだと思っているのか。そんな風に思ったアキだったが、式神はともかく怪しい霊っぽいのは出てきそうな雰囲気でもあったため、
静かにため息を付くだけにした。
奥に進むにつれて、吹いてくる風が強くなっていく。
やがて、いくつかの道が交差する大きな空間にたどり着いた。
「うお、なんだここ。めっちゃ広い!」
「女王…もう少し緊張感を持ってください…それと、護衛する我々の心中も察していただきた」
アキは今までため込んでいた苦情を言ってみたものの、そこで急に今までにない強い風が吹いて、かき消された。
「どあーっ!?なにこれ!?クソ強い風!見えねぇ!」
「女王!危ないっ!」
アキはとっさに女王の腕を引いてマントで覆い、飛んでくる小石を防ぎ止める。
強い風はそれから数秒続いたが、次第に収まっていった。
辺りがすっかり元の静寂に包まれた時、マントの中から
「アキの胸の中うへへへ…」
と全く緊張感のないだらしない声が聞こえてきた。
「ほんと…心配させないでください。」
と、ホッとしたのもつかの間、静かな空間に足音が共鳴し始めた。
少しすると、交差している道の真ん中から一つの影が現れる。
その影は徐々に大きくなりつつ、
「誰だ。儀式の邪魔をするのは。」
凛とした声を放った。
その姿がはっきりと見えた途端、女王の目がキラリと光った。
「お…わ…?え…あれ…やっぱり…もしかしてもしかしなくても…Mioちゃーんっ!!サインくださ」
そして今まで以上に本気の全速力で突進していくも、猪突猛進すぎて明らかに大きな石があるのに気付かず、盛大にずっこける。
「…なんだ…!?私の名を知っているとはどういうことだ…?」
そんな女王の姿と、不意に名前を呼ばれたことに驚いたMioと思われる女性は一歩後ろに身を引いた。
「いってぇーっ…誰だこんなとこにデカい石置いたやつ!」
と、思い切り石を蹴とばす女王。そして相手がドン引き状態になっているのもお構いなしに、
「…じゃなくて、Mioちゃんジャナプの衣装超似合ってる!ヤバい!惚れる!」
などと言ってMioの両手をガシッと掴む始末。
Mioは登場からものの数十秒で儀式の邪魔をする不法侵入者から手を握られてしまったのだった。
「待て。なんだお前は。失礼なやつだな!」
夢中になる女王と困惑するMioを、アキが慌てて引き離す。
「申し訳ございません。こちらの者はM&Hを心底敬愛しておりまして、ご本人を見て狂乱しているようです。」
アキが冷静に言葉を選んで答えると、
「M&H、か…。もう戻れないんだろうな…。」
Mioはハッとした顔をしてから目を閉じて呟く。
その様子を全く気にすることなく、女王はアキの腕の隙間から顔を出してまた調子の良いことを言う。
「Mioちゃんがいるってことは、soundさんもいるってことだよね!?」
Mioは女王に対して警戒心100%で身構えているのだが、
soundの名前が出たことでさらに緊張を強めていく。
「soun…鞍馬は儀式中だ。会わせる訳には」
もちろん、お構いなしの女王は
「soundさーんっ!聞こえますかーっ!?」
この通りであった。
「大声を出しても無駄だ。彼は集中して」
それに負けないように応戦するMioだったが
「実は、Mioちゃんはsoundさんのことが大好きなんですよーっ!!」
「…っ!?なっ…バカ…!!やめろ…っ!!」
急に全く想像していなかった言葉が飛び出てきたのでそれ以上の言葉を出すことができなくなってしまった。
「おっと、ガチなやつだったのか…うへへへ。それじゃ、soundさんに会わせてもらえますかねぇ?」
「…うっ…。まずは静かにしろ…。」
完全にこちらのペースとニヤつく女王の顔は、もはや悪役のそれだった。
しかし、ふと何かに気付いたMioは冷静になる。
「…と思ったが、鞍馬はそういうジャナプ語は知らないだろうな。叫んでも意味は通じないだろう。」
「うっ…。バンリット語じゃなきゃダメなのか…。
クッ、こういう時のためにもっと勉強しておけば良かった…!アキちょっとなんとかならないの…!?」
女王はアキを小突くが、眉間のシワが増えただけで何も答えなかった。
すっかり形勢逆転したMioは、懐から珠をようなもの取り出し不敵な笑みを浮かべる。
「残念だったな。お帰り願おうか。」
そして小さな声で呪文のようなことをつぶやくと、
洞窟全体が少し鳴るように揺れ、強い風が吹き始める。
どうやら洞窟内に吹いていた風の原因は彼女のしわざのようだ。
風は徐々に強さを増し、いよいよ立っているのも難しくなってきた時、
「美音?何か妙に騒がしいけど…おや?」
Mioのことを心配するようなやわらかなバンリット語と共に、
長いブロンドの髪を持った背の高い男性が現れた。
Mioはびっくりして彼の方を向く。
すると強風はみるみるうちに収まっていった。
しかし、風が収まるか収まらないかのうちに、
「女王」という強風が巻き起こるのだった。
「うっはーっ!生soundさんだわぁーっ!でっかーいっ!しかもまさかの上裸じゃないですかーっ!拝ませてーっ!あとそれからサインくださ…あれ?何かさっき見た気がする石が…。」
怒涛のごとく放たれるジャナプ語が、soundと思われる男性に襲い掛かる。
彼はジャナプ語には詳しくないため、Mioが9割の不信感と共に
「さっき見た気がする石」についてのみ翻訳した。
soundと思われる男性は持っていた石を女王の前に差し出し、
「これが横をかすめていったんだけど、君の石かな?」と確認する。
Mioは「こんな変な通訳するの初めてなんだけど…」と言わんばかりの呆れ顔で女王に説明する。
「いやいやまさか。偶然つまずいて蹴飛ばしたらそんなことに…お怪我なくて良かったです!あ、そうだせっかくだからこの石にサインしてもらってもいいですかね!?」
相変わらず嵐のように話す女王だが、Mioがなんとも言えない顔になっているのを察したのか察しなかったのか、思いついたようにバッグから真っ白なペンを取り出し、彼の持つ石に対して文字を書くような動きをする。
それを見たsoundはニコッと笑顔になってペンを借りると、
石にサラサラとサインを書いてみせる。
そして石が女王の手元に収まると、歓喜の声が洞窟中に響き渡った。
ここまで女王の横暴を見守っていたアキは「ほんと調子のいい人だ…」と呆れを通り越しかけていたが、
二人と話す女王がいつになく楽しそうな顔をしているのを見てホッとしてもいた。
…いや、彼女はいつも楽しそうか。
でも、こんなに楽しそうにしているのは初めて見るかもしれない。
そしてそこで一呼吸すると、Mioとsoundに向けて話をする。
「すみません。お二人に聞きたいことが3つほどあるのですが、お聞きしてもよろしいでしょうか。
…ありがとうございます。
1つ目は『M&H』のお二人がなぜこのようなところにいるのか。2つ目はバンリットの悪天候の原因について何かご存じなことはないか。そして3つ目は…これは単純に私の興味なのですが、なぜお二人は那装…ジャナプの服を着ているのでしょうか。」
Mioは「話の分かる人がいてくれて良かった」と思いながら、ゆっくりと言葉をかみ砕くように答える。
「話すと長くなるのだが…大丈夫だろうか。」
アキは黙ってうなずいた。
それを見た女王はとぼけた顔をした。
ここに来た目的など、すっかり忘れている顔だった。
交わされる約束
まずは一つ目。
『M&H』の私たちがどうしてこんなところにいるのか、だな。
ちゃんと話すと戦争が始まったところから説明しないといけなくなるけど、
私たちがこうして元気だってことで、戦時中は安全なところにいたのはわかるかな。
…あぁ。女王の言う通り、ファーナクに疎開してたんだ。
問題はその後で。
戦後、バンリットに戻れる機会ができたから、
soundとプロデューサーと私で揃って戻ったんだ。
…え?「横領したやつまだいんのか!?」?
いやいや、その後新しいプロデューサーに変わったから、
今は上手くやってるよ。
それで、戻ることはできたんだけど、矢先に暴徒が襲ってきて。
あいつらほんと見境なくて。お金持ってるように見えたんだろうな。
そこからはもう逃げるしかなくて。
仮設住宅の隅とか城壁の残骸とかに上手く隠れながら巻こうとしたんだけど、しつこいのなんの。
多分バンリットにいる限りずっと追いかけて来るんだろうと思って、近かったスプリダンの橋を渡ることにしたんだ。
ジャナプに逃げ込んだら、さすがに追いかけては来なかったよ。
だけど。
ほんと「泣きっ面に蜂」とはよく言ったもんだけど、そのあと急に雨が降ってきて。
ジャナプの城下町に入ったら雨はしのげるだろうけど、代わりにジャナプの暴徒に襲われるんだろうなと。
それじゃ逃げてきた意味がないし、かといってもう一度橋を渡ってバンリット経由でファーナクに戻るには遠すぎる。
そう思ってたら、プロデューサーが「サンモントのふもとに小屋があったはず。そこで雨宿りしよう。」と機転を効かせてくれて。
そこならそんなに遠くないし、私も行ったことあるから迷わなかったな。
…あ。多分女王も行ったことあるんじゃないかな。
そうそう。神社の中にある小屋だ。
で、そこで雨が止むのをとにかく待ったんだ。
けど、止む気配どころかどんどん強くなっていくし、辺りは暗くなってくるしで。
ここで一晩過ごすことになるんじゃないかと思ったところで、
もうほんと「二度あることは三度ある」なのかさすがに勘弁してほしかったんだけど…
雷が落ちたんだ。
そのあとのことは全然覚えてなくて。
気が付いたらジャナプの城の中にいて、soundと私はなんかこんな格好だし、プロデューサーはいないし。
…あ。だから3つ目の質問の「那装なのはなぜか?」っていうのは
「わからない」ってことになるな。申し訳ない。
ただ、いなくなったプロデューサーに関してはそのあと消息がわかって。
…ジャナプ王の妾にされてたんだ。
いや、ほんと何でだとしか言いようがないし、女王がとてつもなく変な顔するのもわかるんだけど、ほんとに妾になってた。
それで私もsoundもすぐに「返してくれ」と頼んだんだけど、王は全く聞いてくれなくて。
横に座らされていたプロデューサーが泣きながら必死に「嫌です!」って言ったら、ようやく条件付きで解放してやると言ってきて。
それが2つ目の質問の答えに繋がるんだ。
その王の条件っていうのが「バンリットのやつらを全員追い出せ」でね。
「お前たちの力…どこかに持っているだろう。そう。その珠には、そういう力がある。
風は『風雨』、雷は『雷雨』でとにかくやつらを追い出してしまえ。」
と言われた。
さっき見たと思うけど、私のが風。そして鞍馬のが雷だ。
それでバンリットはこのところ1週間、悪天候に見舞われているというわけだ。
でも、条件通り全員追い出したところでプロデューサーを返してくれるかはわからない。
…あぁ。返してくれる可能性はほぼないだろうな。
だけど、従わなければプロデューサーも私たちも永遠に解放されることはないだろうと思って。
望み薄でも王の気まぐれでも何でもすがるしかないな…と。
「…ということがあって、こんな姿で祈祷をしている。」
「質問に合わせてご説明いただき、ありがとうございます。状況は大体わかりました。」
「さて。私たちの話はしたから、今度はそちらだ。
まず、女王。お前は何者だ。」
急に話を振られた女王は一瞬びっくりするが、風でひっくり返り気味になっていた服の裾を整えてから少し真面目な顔になって答える。
「えーっと、わかりやすいジャナプ語にしないと訳しづらいよね。
んーと、私はキンバリー・ヨーク。1週間ちょっと前ぐらいから、バンリットの女王としてここに住まわせてもらってる。」
「バンリットの女王」と聞いた時、Mioの眉間にシワが寄る。
「ん。ちょっと待て。『女王』っていうのはその者に言わせてるんじゃなくて本当に『女王』なのか?」
女王はうなずく。
アキは視線を壁の方にそらしながら「確かにこの横暴ぶりだと、女王様ごっこしてるようにしか見えないかもな…。」などと思っている。
Mioは半信半疑のままsoundに伝える。
するとsoundは一瞬で驚いた顔になり、思わず女王にそのまま言葉をかけてしまう。
「バンリットの女王!?あの一件で王族は皆いなくなったのではなかったのかい!?」
Mioは慌てて二人の間に入って通訳をする。
女王は驚くsoundを落ち着かせるように、やわらかな表情をしながら言葉を選んだ。
「それが、私はジャナプ生まれのジャナプ育ちで、遠い遠い遠いご先祖がバンリットの王族だったってだけで女王にされちゃいまして。
…あ。されちゃったって言ったらこのお兄さんに失礼かな。」
アキは「そうだな。とても失礼だぞ。」と女王を小突く。
そんな二人の様子を見たsoundは、女王の懐の深さ…もといテキトーさに少し安心したようだった。
「そうなんだ。でも、女王になってすぐ、こうして国を案じて動いてくれている。…とても素敵だ。」
Mioは翻訳の後に「まぁ、最初は無茶苦茶でほんと何だお前って思ったけどな。」と付け加えた。
女王は推しが褒めてくれたことに少し頬を赤くしながら、元々全く隠していない本心を伝える。
「ありがとうございます。実は、二人が復興したバンリットで歌って踊ってくれたら最高だなって思ってて。…それだけがここで頑張ろうと思った理由なんです。」
Mioが通訳する前に驚いて大きな声を出す。
「…!!それだけで…?それだけでバンリットの女王になろうと思ったの?」
「はい。M&Hが大好きなので!
だから、バンリットを復活させるから、M&Hも復活させてください!」
女王も負けじと大きな声で答える。
それを聞いたMioは目を閉じ、翻訳ではなく自分の気持ちをsoundに伝える。
「…鞍馬。よく聞いてほしい。これはきっと助け舟だ。私は彼女に望みを託そうと思う。
このままジャナプ王に従っていてもきっと、貴方もプロデューサーも私も…そしてバンリットも…救われない。そうは思わない?」
「美音…!?でも、確かにそうだね。このままでは何も解決しないだろうな…。彼女に付いていくことを伝えてくれるかな。」
Mioは頷いて、女王に向き直る。
「…えーっと、キンバリー。私と鞍馬は貴方に従うことにする。半ば諦めていたけど、M&Hの復活も考えることにするよ。
その代わり、必ずバンリットを復興させてほしい。約束してもらえるか?」
女王は力強く頷づいた後、いやちょっと待てよ。と冷静になる。
「そのためにはまず私がバンリット語を話せるようにならないと…。この調子だと、演説1つする前に寿命を迎えそう。」
頭を抱えてしまった女王を前に、Mioは明るく語り掛ける。
「それなら私たちが教えてあげられるから大丈夫だ。な、鞍馬。」
「そうだね。僕はジャナプ語については分からないけど、美音が翻訳してくれるから大丈夫だね。」
二人が笑顔になったのを確認した女王は、よし!と言ってから、横で様子を見ているアキを平手でバシバシする。
「そんなにしなくてもわかっていますよ。…皆、前と後ろに分かれて護衛の陣を。」
アキが号令をかけると、騎士団はすぐに二つのかたまりに分かれてM&Hの二人と女王を挟む。
護衛の姿勢が整うと、騎士団は元来た道を戻り始める。
風のない炭鉱内からバンリットの地上に出るまでは、数分もかからなかった。
道中、女王はふと気になったことを聞いてみた。
「そういえば。Mioちゃんはsoundさんのこと『鞍馬』って呼んでたけど、いつの間にジャナプに帰化したの?」
Mioは「あー、それか。」と少し渋い顔をした後、懐から緑の珠を取り出して説明を始めた。
「この珠の力を使うために決めた名前…って言ったらいいかな。
soundは、バンリットのアーティスト『M&H』の『H・sound』のままでバンリットの人たちを傷つけるのは嫌だから、せめてこの力を使う時だけでも『M&H』とは違う存在になれないかな。
もちろんそれで許されることはないし、完全に自己満足なんだけど。…と、そう言ってた。」
女王は申し訳ないことを聞いてしまったと思ったが、バンリットのことを想って「鞍馬」になったsoundの覚悟を心に刻み込んだ。
そして、Mioの持つ珠を見ながら浮かんだ気持ちをそのまま聞いてみた。
「ということは、Mioちゃんも今の姿の時は『Mio』ではないんだよね…?」
「そうだな。私の場合は『美音』…美しいに音って書いて『美音』ってことにしたんだ。聞いた限りでは一緒だけど、それは…私が『Mio』を捨てきれないからなんだと思う。
もちろん、鞍馬だって『H・sound』を捨てたわけじゃないはずだ。」
美音はそこで一度言葉を切り、女王の方を向いて苦笑いをする。
「だから、女王の『バンリットを復活させるから、M&Hも復活させてほしい』には面食らったよ。そんなこと言われるなんて思わなかったし、そんなふうに言ってくれる人も初めてだったから。
あぁ、M&Hはまだ終わってないんだ…って思えたんだ。…ありがとう。」
女王はまた推しに褒められて頬を赤くするが、
それ以上に想うことがあった。
その想いは、得意の口を動かす前に手を動かした。
「ん?これが気になるのか?」
女王は、美音が持つ緑の珠をそっと持った。
これが風を使える珠…多分、お母さんが持っていた赤いのと同じやつだ…。
最初は「自然を自在に操る」なんてすごく便利なものだと思っていたけど、戦争中はジャナプの兵器でしかなかったし、戦争が終わってもまだこうやって人を傷付ける道具になっているんだ…。
珠の力を使うことになったMioちゃんとsoundさんはもちろんだけど、
この珠自身も「誰かを傷付けたい」なんて1つも思ってないだろうな。
女王は感極まって珠を握りしめる。
その想いをくみ取ったのか、
たまたま差し込んだ光がそうさせたのかはわからないが、
珠はキラリと光ったように見えた。
あとがき
ということで、「note創作大賞」を機に、2019年から温めていた作品
「The Word is the Special 異色の女王と不思議な力」
を世に送り出しました!(と言っても、1話のみですが…)
これは、ハチャメチャな主人公「キンバリー」が「偏見」と正面から向き合っていく物語なのですが、
キンバリーもまた、夢の中でアキが騎士団長であることに対して「ファーナクの人は学がないから下働きしかできない」と偏見を持っている人物の一人だったりします。
「偏見」は誰しもが持っている人間の負の部分で、
物語の中にはこれからもたくさん「偏見」を持つ人たちが登場します。
そこに、歯に衣着せぬキンバリーが関わっていくことで考えを変えていく…。
しかし、最後に「偏見」を打ち砕くのはキンバリーではなく、本人自身。
個々が自分で考えることを始めて、世界が少しずつ良い方向になっていく。
そして、たくさんの人がムーブメントを起こす。
そんなお話(になる予定)です。
さて。
第2話では、キンバリーとアキが3つ目の国「ファーナク」に向かいます。
そこで出会う謎のロングコートの男。
長いブロンドの髪を持つ彼はバンリット人のようだけど…。
ファーナクにいる目的は?女王とどのように関わってくるのか?
…とそれっぽく書いているのですが、既に構想ができている第3話の間に入る話になるため、まだ企画段階です。
この「The Word is the Special」は、私の代表作にすべく全身全霊で執筆を続けておりますので、気長にお待ちいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
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