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小説 高校生戦隊ヒーローズ 1. 帝都へ

僕は滝川行人(たきがわ ゆきと)。
今日、15歳になった。
3月末の生まれなので、来週にはもう高校生だ。

今日、地元を離れて帝都にある国立帝都第一士官学校の朱雀寮に入寮する。兄の自動車で、駅まで送ってもらった。改札口の前に立って振り返った僕を見て、兄はほうっとため息をつく。

「この前までよちよち歩いていたと思ったのに・・・」

「いったいいつの話?」

「いつの間にか、こんなかっこいい制服着るようになっちゃって・・・」

確かに士官学校の制服はかっこいい。入学年によって色が異なるがデザインは同じだ。僕の年は青なので、青いスーツ、銀色のベルト、青いマント、白い手袋に白いブーツ。鞄には貴重品と入学、入寮に必要な書類、母が持たせてくれた弁当が入っている。

「ふふん、大人っぽいでしょ。」

「うんうん、かわいい。」

「あ、そうすか・・・。」

不満げな表情をしていたのだろう、兄が慌てる。

「え、何か間違ってた?」

「かわいい、つまり子供っぽいという風に聞こえる。そこは『うんうん、かっこいい』とかそのまま『うんうん、大人っぽい』とか言うところでしょ。」

「はっ!そうかあ、しまったあ~。」

「兄さんのそういうバカ正直なところ、いいと思うけどさ。」

「ば、ばかしょうじき・・・。」

「だって父さんみたいに始終にこにこしていると、逆に腹の中で何考えているのか読めなくて怖い。」

「ああ・・・。」

笑ったり焦ったりところころ表情を変えていた兄が突然無表情になって遠い目をしている・・・何か、僕が知らない嫌な思い出がありそうだ。

「ともかく、送ってくれて、ありがとう。行ってきます!」

そう言って気をつけの姿勢を取り、右手を額の上に掲げて敬礼して見せる。すると兄は目をうるうるさせた後、抱きついてきた。

「うわー、そうするとすっごくかっこいいじゃん~!」

「せっかくびしっと決めてみせたのに、台無し。」

そう言うと「それもそうだねえ。」と僕を開放する。

「身体に気をつけて。行ってらっしゃい。」

「はい!行ってきます。」

そうして改札を通り抜け、プラットフォームに続く階段の手前まで進む。振り返ると兄が両腕を上げてぶんぶん振っている。それに片手を上げて応えてから、階段を上る。
帝都に向かう高速鉄道の発車時刻まで、あと5分。

今日から、帝都第一士官学校、朱雀寮での寮生活が始まる。



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