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小説 高校生戦隊ヒーローズ 5. 初めての授業

4月3日、月曜日。今日から授業開始だ。
始業は7時50分。10分のホームルームの後、8時から1時限目の授業が始まる。授業は50分。1日のタイムスケジュールはこんな感じだ。

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\begin{array}{|c|l|} \hline
8:00~8:50 & 1時限目 \\ \hline
9:00~9:50 & 2時限目 \\ \hline
10:00~10:50 & 3時限目 \\ \hline
11:00~11:50 & 4時限目 \\ \hline
11:50~13:00 & 昼休み \\ \hline
13:00~13:50 & 5時限目 \\ \hline
14:00~14:50 & 6時限目 \\ \hline
15:00~15:50 & 7時限目(土曜日はなし) \\ \hline
16:00~18:00 & 部活動または校外実習 \\ \hline
\end{array}
$$

土曜日はお休みで、水曜日もだいたい午前中で終了していた中学校のスケジュールに比べるとかなりの過密スケジュールだ。しかもだいたい午前と午後の両方に武術教練(体育)がある。また、校外実習の日は終了時刻が19時を過ぎることもある。かなりの体力勝負になりそうだ。

校外実習は週に1回。1年生は帝国軍や警察の職場体験だ。受け入れ側の都合もあるため決まった曜日ではないが、火曜日~木曜日が多い。
上級生になると警備や警護などをするようになり、時々負傷することもあると聞く。比較的安全な仕事を選んで割り当てられるとは言え、帝国軍や警察の職務の一部を担うことになるので、上級生の校外実習では既定の給与とは別に手当が出るそうだ。アルバイトなどをせずとも学業に集中できるのはありがたい。


僕のクラス、1年1組の時間割はこうなっている。

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\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
& 月 & 火 & 水 & 木 & 金 & 土 \\ \hline
1 & 武術 & 英語 & 化学 & 国語 & 武術 & 数学 \\ \hline
2 & 数学 & 武術 & 兵站 & 数学 & 化学 & 武術 \\ \hline
3 & 化学 & 物理 & 武術 & 政経 & 英語 & 英語 \\ \hline
4 & 国語 & 芸術 & 英語 & 武術 & 調理実 & 国語 \\ \hline
5 & 武術 & 戦術学 & 実戦技 & 物理 & 武術 & 物理 \\ \hline
6 & 歴史 & 武術 & 数学 & 英語 & 数学 & 武術 \\ \hline
7 & 英語 & 数学 & 武術 & 歴史 & HR &    \\ \hline
\end{array}
$$

武術教練は一般的な高校で言えば体育になるだろう。剣道、柔道、弓道、馬術が多めの体育といったイメージだろうか。上級生になるとバイクの授業もある。軍学校だけあり、武術教練の授業数はとても多い。

一般的な高校で見慣れない科目は、戦術学、実戦技術、兵站、だろう。
戦術学は軍事作戦の立案と実行、実戦技術は応急手当やサバイバル技術、兵站は物資の調達、輸送、管理を学ぶ。1年生は週に1回ずつだが、上級生になると時限数が増える。

また週に一度とはいえ芸術の授業があるのは意外だったが、芸術の授業があるのは1年生だけで、しかもこの1時限で音楽、美術、工芸を全部やるらしい。


ホームルームの後、すぐにグラウンドに向かう。服装は制服のままだ。試したことはないが、この制服は刃物も防ぐし、銃弾も弾くらしい。制服が戦闘服でもあるのだから、武術教練も制服のまま行うのは道理である。

今日の武術教練の担当教官は、土屋先生。クラス全員が整列したところで礼をする。

「1年1組の諸君、武術と戦術学を担当する土屋だ。よろしく頼む。
 さっそくだが授業に入ろうと思う。今日の課題は、歩く、だ。」

それを聞いてクラス全員が頭の上に疑問符を浮かべたと思う。僕もだ。小学校の運動会前の体育の授業でやったような、行進の練習だろうか?そうだとしたらずいぶんと簡単だ。だがそんな僕の予想はあっさり裏切られる。

「歩くといっても甘くはないぞ。いつでも使えるように武器を構えた状態で一糸乱れぬ行進。武器はあれだ。」

先生が僕らの後ろの方を指さすので振り返ると、おじさんが2人・・・確か1人は武器庫の管理人さんだったと思う・・・がライフルの入った箱を乗せた台車を運んできていた。

「弾は入っていないが本物だ。これを構えて行進を行う。」

僕の脳裏に、テレビで見た帝都守備隊がライフルを持って脚を高く上げて行進している場面がよぎった。あれをやるとしたら確かに甘くない。ふだん歩く時にあんなに脚は上げない。

「では全員武器を取れ!持ち方はこうだ。」

僕らは先生を真似てライフルを持つ。先生はそれを1人1人確認していく。僕を含め数人が持ち方を直された。

「よし!2列に並べ!隊列を保ったまま、音楽に合わせて行進する。では進め!」

行進曲が流れ始め、僕らは行進を開始する。先生は僕らの行進を見ながら時々「銃身が下がっているぞ!」とか「足をひきずるな!もっと脚をあげろ!」と注意する。5分もすれば要領をつかんで先生の注意する声は飛ばなくなったが、それも長くは続かなかった。ふだん使わない筋肉を使っているためどうしても疲労がたまってくる。重い荷物を抱えて長時間歩いている時のように、筋肉は痛くなるし、持っているライフルは手汗で滑りそうだ。持ち方を変えたくなるが、少しでも持ち方を変えようとするとすぐさま先生の注意が飛ぶ。これはきつい。この行進が、授業終了の5分前まで続いたのだった。



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