人工知能の登場、第4次産業革命

人工知能アルファ碁VSイ・セドル

グーグル(Google)のディープマインド(DeepMind)社が開発した人工知能アルファ碁(AlphaGo)が囲碁の高段者イ・セドル九段に勝利した。この対決は人間の創造性と直感を最高に発揮できる囲碁というゲームに機械が挑戦するものであったため、対局が決まった時から、大きな話題になった。

しかし、予想とは違って対決で人工知能が勝利すると、人々は多くの衝撃を受けたが、これと共に人工知能に対する関心も大きく増大した。人工知能の革命、第4次産業革命といっても過言ではないほど人類は新たなパラダイムの転換期を迎えているようだ。

18世紀の蒸気機関の発明によって英国の繊維工業が発展し、石炭をエネルギーとする鉄道インフラが世界的に拡散した第1次産業革命、19世紀後半から20世紀初頭にかけて電気エネルギーの活用によって大量生産産業生態系が展開した第2次産業革命、20世紀後半のコンピュータとインターネットに触発された知識情報革命である第3次産業革命に続いて、第4次産業革命は、モノのインターネット(IOT)、CPS(Cyber Physical System)、ビッグデータ、人工知能、知能ロボットで代弁される。

加速している第4次産業革命

このような第4次産業革命を主導する企業たちは、名前だけ聞いても分かる世界的なIT企業である。2013年、Googleが人工神経回路網研究の第一人者であるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)トロント大学教授を迎え入れると同時に、人工知能会社のディープマインド(DeepMind)を買収し、Facebookはディープラーニングの大家であるヤン・レクン( Yann LeCun)ニューヨーク大学教授を迎え入れて人工知能の研究グループを発足させた。

中国の百度(バイドゥ)も機械学習の権威であるアンドリュー・ング(Andrew Ng)スタンフォード大学教授を迎え入れて2014年に人工知能センターを設置した。音声認識と自動応答サービス「シリ(Siri)」を提供するアップルも、2015年10月には英国のAI音声認識スタートアップ「ボーカルIQ」を買収するなど、Google、アップル、フェイスブック、IBMなどのデジタル巨人たちが人工知能とディープランニングを巡って熾烈な主導権争いを繰り広げている。

しかし問題は、このような第4次産業革命の速度があまりにも速いということにある。1876年にベル(Bell)が発明した実用電話機の普及率が10%から90%に到達するのにかかった期間は73年であった。ところが、1990年初めに商用化されたインターネットが拡散・普及するのにかかった期間は20年に過ぎず、携帯電話の場合は14年しかかからなかった。これは、ネットワークの普及に伴い、新たな製品が市場に拡散する速度が一層加速していることを物語っている。

人工知能、人間の敵か味方か?

1988年、米国ゼロックス(Xerox)のマーク・ワイザー(Mark Weiser)博士は、将来、人々がいつでも、どこでも、誰でも、ネットワークに接続して自由自在にコンピュータを活用することができる時代の到来を予測し、ユビキタスコンピューティング(Ubiquitous Computing)という概念を提案した。当時だけ見ても、インターネットやモバイルという人類の汎用的な情報技術が普及していなかったので、このような概念は夢だった。しかし、わずか20年後の2007年、AppleのiPhoneが発売され、その概念が現実のものとなった。

今日の世界は、IT専門家かつアナリストであるメアリー・ミーカー(Mary Meeker)が語ったように、デジタルで浸食される時代であるようだ。インターネット使用人口だけを見ても、1995年に全世界人口の0.6%に過ぎなかったが、2014年には全世界人口の39%である28億人に増えた。

人工知能の登場はこのような世界的な流れの延長線上にあるのである。人類の文明というものが人間の生活をより便利にするためのプロセスだったからである。良く見ると、人間の生活は人工知能のおかげで、より便利になり、豊かにもなりうる。しかし、人工知能の発展速度が速すぎる上に、人工知能の能力が人間の能力を大幅にリードしているのに従って、人工知能が人間の雇用を代替するのではという懸念が提起されている。

国連、ダボスフォーラム、オックスフォード研究所、マッキンゼー、ピュー・リサーチなどの主要展望機関は、人工知能によって現在の雇用が少なくとも50%から80%程度なくなると予想している。ダボスフォーラムは、現在、初等教育を始めた年齢の約65%は、まだ存在していない職業で働くことになるだろうとし、英国のオックスフォード研究所は、米国の雇用の47%が代替されるだろうと展望した。

このような時代の流れの中で、人工知能が人間にとって代わることができない部分がどういう部分なのか?今一度深く考察してみる必要がある。

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