フワパン派？硬パン派？？

ずっとふわふわ柔らかなパンが好きじゃなかった。いつも、わたし歯があるしとか思って。

ドイツでは硬いパンに出会った。あのずっしりしたパン。悪くない。

そしてパレスチナで出会った。

平面のパン

思い浮かべやすいのはピタパンかしら？ポッケがない平たいパンもあるんです。

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親友フサンがわたしを連れまわす。エルサレムのあらゆる飲食店に。そしてこの子、日本人なんだけどパレスチナ人なんだよ。と言って飲食店の人たちの目が？？となるのを面白がっているのだ。

エルサレムの飲食店で必ずパンが出てくるだろ？あれ、どこで作ってるか知ってる？

知らない。全部同じところから出荷されてるの？

そうだよ。旧市街の中のパン屋さん。行ってみる？手伝わせて貰えば？新しい発見があるかもよ。

路地を抜けて抜けてまた抜けて石造りのパン屋さんに釣れられてきた。知った顔がいる。そうだ、このパン屋さんは旧市街のレストランに卸してるんだから配達の時に見たことあって当然だ。

君の好きな、アラファトにだって卸してるんだぜ。

アハラン！ようこそ。君のこと知ってるよ。見たことある。見学して行くかい？

違うんだ、彼女は修行したいんだよ。手伝わせてやってよ。ほぼパレスチナ人だから。笑

わたしが言葉も関係なく、あっという間にわたしがお手伝いすることが決まった。アラビア語、挨拶程度しかわかりませんけど。彼ら英語そんなに話しませんけど。

フサンもついて来てくれるんでしょ？修行。

え？俺は忙しいからね。朝早いのも苦手だし。まあ、君なら大丈夫だよ。ハートでやれるさ。

フサンはいたずらっ子のように笑った。

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翌朝

おはようございます！よろしく！！

アハラン、さあ、手伝ってくれ。君の持ち場はここだ。見てて。

丸まったパン生地がくる。タイミングよく機械に乗せる。生地が機械を通ってぺったんこになる。ベルトに乗せるそして焼ける。

わたしの仕事は機械に乗せる。ただそれだけのこと。

だけど、わたしの手に触れたパンが機械に乗って工程を経て、わたしの大好きなレストランに運ばれて美味しいお料理と一緒に出されるの！
この単純作業だけど関われれる喜び！

と思ったのも束の間。

単純ではあるが、テンポよく機械に乗せるのが難しい。タイミングを外すと機械に手が引き込まれそうになるし、丸い生地は列をなす。

ほら、アヅサ速く！急いで！！

怒号ではないが、檄を飛ばされる。

みんな汗だくで生地をこねる。オープンに運ぶ。焼けたパンを並べる。それぞれがそれぞれの持ち場で仕事をする。

昼前に山場を超えた。

行って来ますー！

若手が肩にパンの山を担いで配達に向かう。わたしの作ったパン（正確にはわたしが生地を機械に乗せたパン）がレストランに向かう。アラファトにも向かう。

疲れただろ？大丈夫か？

うん。楽しかった。でも足手まといだったでしょ？ありがとう。

君は即戦力だよ！いつでも手伝いに来てくれ！ずっとエルサレムにいるならここに就職すればいいさ。笑。さあ、焼きたてのパンを食べよう。ザータルは好きか？

ザータルは大好きよ。

長老はまん丸の平べったいパン生地にたっぷりのオリーブオイル、そしてザータルをふりかけてオーブンに入れた。平べったいパンはぷっくりと膨らんだりしぼんだりしながらあっという間に焼けた。

熱々のパン。オリーブオイルもグツグツしている。甘い紅茶。暑い工場。わたしの顔は粉だらけ。なんてない時間だけど思い出す、とても愛おしい時間。パン生地の感触、粉のしっとり加減、日常にこそわたしの知りたいは溢れている。エルサレムの毎日の光景に平べったいパンがあります。

日時：7月18日 土曜日 お昼１２時〜１２時３０分
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twitter： https://twitter.com/granat140
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