聖地から望む入植地
黄色いエリアCの目印をいつの間にか越えていたが、何も変わらないが時よりメノーラー(ユダヤ教の燭台)がモチーフになった絵があったりやはりエリアAとの違いを目にする場面もあった。
エリアBからCに入ってほんの5分の上り坂を進むと次第に眺めが開けてくる。仰々しく重い鉄の門というか柵で閉ざされた聖地。緑の上に小さな黄色い花のコントラストが映える。
ハロー、ゲリジム山だよね?
いかにも!な長髪でドレッドっぽい髪型、よれたタンクトップにハーフパンツのバックパッカー男子に声をかけられた。
そうよ、あの門にインターフォンがあってピンポンすると門を開けてくれるのよ。
この山には何があるんだろう?
ここはサマリヤ人の聖地よ。それに入場料がいるのよ!知ってた?
ああ、知ってるよ。でも買ってないんだよね。一回入ってつまんなそうだったらそのまま下りるし、面白そうだったら山の事務所かなんかでチケット買うよ。
インターフォンを押し門を開けてもらう。元は白いペンキで塗られていたであろうこの門も今は錆びて老朽化している。山の少し下には羊の群れがいたりゴミが落ちていたいり、聖地というよりも普通の山のような気もするが・・。
周りはフェンスで囲まれたこの聖なる山をぐるり大回りして事務所に向かう。
事務所に着く前に彼は決断した。
やっぱりいいや。ここからの光景が見れたからもういいかな。君は?行くの?
うん。わたしはしばらく山にいようかな。ほら見て!あそこ。
わたしは事務所を背にして指をさした。
入植地よ。この山が聖地だとしても、ここから見える眺めは入植地なんだね。全然聖地感がないし、聖的な部分が損なわれるわ。
これが現実ってことだね。
そうね。
聖なる山に登って見えたもの、それは国際法上違法とされる入植地だった。
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