子どもの頃に知った谷川俊太郎氏の『朝のリレー』という詩がある。
カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき ローマの少年は 柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から経度へと そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
この時カムチャッカという場所を知り、ただカムチャッカには行ってないけど、ロシアには行った。ロシアの冬の遅い朝も経験した。
今日は夕日が綺麗だった。
みんなが夕日の写真をSNSにあげていた。本当に綺麗だった。
私の空にはミサイルはない。私の空には殺人ドローンは飛んでいない。
彼の空にはミサイルが飛来し、頭上にはドローンがある。
2023年のこと、パレスチナにて。
私たちは仕事の後、山へ行った。ほぼ毎日行った。私は毎日空が夕日で茜色に染まると、ほら、マジックアワーだよ、って言った。
星だと思ったら、偵察ドローンだった。私は運良く殺人ドローンに狙われなかったけど、ある人は狙われたし、あの人はまだ狙われていないみたい。
そして今。
同じ空なのに、どうしてこんなに違うの。
子どもの頃、『朝のリレー』を読んだ時、世界は繋がってるんだって明るい気持ちになった。実際に世界を巡るようになって世界が繋がってることを実感しているのに、まだガザでの虐殺、西岸地区での軍事侵攻を止められない。同じ空を見ているのに、私たちは同じ空の下にいるのに。
今日、空を見てどうして世界の民衆全員が立ち上がらないの?と憤りを感じた。
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