ファラフェル修行開始
朝起きると今日も日差しが強そうな白っぽい太陽がわたしの寝床を照らしていた。眠たさと今日も楽しいという確信が入り混じりつつバルコニーで太陽を拝む。眼下にはオリーブの樹やイチヂクの樹、なんてない風景なのだが何度見ても飽きることがない。
昨日約束していたファラフェル修行。楽しみすぎる。早速身支度をし民家のファラフェル屋さんを目指す。昨日の記憶をたどりつつ道を歩く。この壁が見たな、右だっけ左だっけ。同じような色の道、そして光。今までも直感で生きてきたからと思い左を選択する。砂埃の道をずんずん進むと小さな売店があったり、デリショップがあったり見覚えない気もしてきた。喉も渇いて水を買うことにする。
ハイ!ボトルのお水ください。
はいはい。あなたは見かけないけど、どこの人?
日本から来たの。あ、そうだ。この人のお店行きたいんだけど。知ってる?
そう言って昨日ファラフェルを揚げている姿を動画撮影していたのでiPhoneにあるそれを見せる。
あー、知ってるよ。歩いて行ってるの?暑いからお父さんに送って行ってもらいな。おとーーさーーん。
奥の家からおじさんが出てきた。
女店主はこのお父さんにアラビア語でなんだか説明をしている様子。お父さんは頷き店のドアを開け外に出た。
さあ、お父さんに説明しといたから送ってもらいな。英語はあんまりできないけどね。
OKありがとう。
わたしはそう告げてお父さんを追いかける。白いセダンだけどどこか懐かしい子供の頃に乗っていたようなカクカクした車に乗り込みファラフェル屋に向かう。
お父さんは片言の英語で話しかけてくれるがお互い意思疎通に苦労しながらそれがおかしくて二人で笑い合う。数分でファラフェル屋に到着する。車から降りると店が閉まっている。シャッターが降りている。愕然とする。呆然としているわたしを横目に向かいの家に向かって歩くお父さん。チャイムを鳴らし、アラビア語で何か言っている。そしてわたしに向かって笑顔でOKOKとだけ言う。そのまま再び車に乗り込みお父さんは行ってしまった。
と同時に店のむかいの家からファラフェル屋のお兄ちゃんが出ていた。よかった。
よく来たね。じゃあ、仕込みを始めようか。ここが家なんだよ。と店の向かいを指差した。
びっくりした、閉まってるんだもん。とわたしは笑って言った。
店の厨房には浸水させてひよこ豆、イタリアンパセリ、ミックスしたスパイスが並んでいた。