一粒の涙より一滴の希望を
パレスチナに滞在して約3週間が過ぎて大きの時間をエルサレムで過ごしていたが今はヘブロンにいる。ヨルダン川西岸地区の中でも入植地が激しく狂信的なユダヤ人入植者とその人たちを守るイスラエル兵がたくさんいる場所。なぜヘブロン?一体ヘブロンってどこ?エルサレムだけじゃないの?
エルサレムから南へ。ベツレヘムでバスを乗り換えてヘブロンに行きます。
ヘブロンはアブラハムさんがいるのですよ。お墓があるんです。アブラハムさんはユダヤ人の祖と言われています。そしてアラブ人の祖でもあるのですよ。じゃあ、ユダヤ人とアラブ人って親戚?そうでしょうよ。
あなたの子どもたちが帰ってきましたよー!っていうのがユダヤ人帰還のうたい文句の1つでもあり、そのユダヤ人の大父であるアブラハムさんのお墓のあるヘブロン。そこヘブロンがパレスチナの世界遺産としてユネスコに登録されてイスラエル激おこ!
そんな場所なので入植者もパレスチナ人もピリピリ。
今現地時間22時、外では威嚇射撃なのか威嚇弾なのかダンダンダンと明らかに攻撃の音が鳴り響いている。ホームステイさせてもらっている先のママは苦笑い、いつも通りよ、と。この場所はH2と呼ばれていてこのエリアは入植地があり入植地があるということは入植者を守るイスラエル兵たちも同じ数だけいるということ。
ここんとこ、毎日イスラエル軍が学校を攻撃してるのよ。威嚇射撃だったり、催涙弾だったり。子供達も学校を怖がっているのよ。でも学校よ。子供が何するっていうの。
彼女はズレイハさん。わたしのお料理の先生が幼い頃通っていた学校の先生をしている。偶然知り合って1年ほど。彼女の家の壁に分離壁が出来てしまった。壁の向こうは入植地。以前は商店街だった。
うちの屋上、覚えてる?上がったことあるでしょ?この前大学生たちが上がってたのよ、20人くらいで。そしてらイスラエル兵がGO HOMEって言って威嚇してきたの。
今まで入植者の暴力とか訴えてきた。でも何もならなかった。今更なにができるっていうの?パレスチナ人ってだけでどんな思想でもどんな宗教でも支持政党がハマスだろうとファタハだろうと無支持だろうとパレスチナ人ってだけで毎日殺されるかもって思って生活しなきゃならないのよ。
Nothing changedもSomething changedも言えないわ。
でも何ができるって言うの? インシャアッラー事態がよくなるかもしれないから待つしかないの。
17歳の青年が銃殺されたデヘイシェを思い出した。彼が撃たれたのは何かの誤解でもなく、何かをしようとしたでもなく、理由はパレスチナ人というだけ。
21世紀よ、今。理由なく殺される現代って何?わたしが17歳の時、何してたって学校サボって映画館行って、夜はクラブに行って歳をごまかして夜遊びしてた。健全じゃない健全さよ。なのにここって。悔しくて悲しくて泣きそうだった。
泣かないで。泣かずにあなたが出会ったパレスチナ人の友達から話を聞いてそして心を寄せて。それは世界が注目することと等しいのよ。一人と一人の関係性だけど一人だけの世界じゃない、無視されていないこと、誰かがあなたを思っているということを伝えてあげて。それは小さな希望だけど無じゃないのよ。一滴の希望が生きる力になるんだから。
皮肉にも点滴灌漑はイスラエルで発明された画期的な農業技術だ。それと同じように個々が放つ一滴ずつの思いやりは荒野の希望の芽を育てるはずだ。そう信じてパレスチナ料理を作り続ける。
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