マクルーバ、その歴史と十字軍の戦い
パレスチナを旅してマクルーバを見かけないことは絶対にない!と言っても過言ではないだろう。
パレスチナ料理屋さん、アラブ・中東料理屋さんでも必ずメニューにはあるマクルーバ。それは単なる炊き込みご飯ではなかった。
マクルーバというのはアラビア語でひっくり返す(up side down)の意味だ。文字どうり、鍋で調理しその鍋をお皿にひっくり返したものを給仕する。これ以外にも中東の料理は素材や調理方法がそのまま名前になったものが多い。
アラブ世界というよりもイスラム世界では重要な季節、ラマダン。ラマダン中にも最も人気の料理はマクルーバだ。日中の空腹、イフタールとともに水とデーツで癒し、大勢の家族親戚、または友人と囲むマクルーバは幸せを与えてくれる。
パレスチナの料理人たちはこう言及している。
マクルーバは様々なフレイバーで構成され、レバント地方やトルコでも知られているが、この料理はこれぞパレスチナ!という、特別な形と風味が際立っています。
また
ナスは通常ラムと一緒にして、他の材料は加えない
そう言及するのは有名パレスチナ人シェフだ。
マクルーバは何年もかかってこの風味の特性が個性として確立された、特に秋から冬にかけて作られることが多いとも言っている。
マクルーバは歴史深い料理
本当のマクルーバはチキンとカリフラワー、または素揚げのナスと肉、それにヨーグルトを添えて、野菜サラダと一緒にいただきます。
シェフのマゼンアルジュラニはヘブロンで最も人気のレストランの1つであるアンクルサレレストランでマネージャーを務めている。
彼が言うにはマクルーバはヘブロン行政区でも引っ張りだこなメニュー。
お一人様向けのファストフードとしても売れています。特にチキンが添えられたカリフラワーのマクルーバはビジュアル的にも魅力的です。
彼はこうも言及している。
僕たちはレストランで何十ものメニューを提供していますが、マクルーバをお願いされる率が高いですね、ヘブロンとマクルーバという食べ物の間には愛情の籠った関係性があるんですよ。
ヘブロン、ドゥラ市のパレスチナ人研究者のモハンマドザイブアブサレはこう断言している。
マクルーバはサラディーン時代にバジンジャニアと呼ばれ登場していました、その理由は素揚げのナスにあります。ナスがこの料理の基本的な素材として使われていたからです。
十字軍に侵略されたエルサレムがムザファル サラフディン・アル=アイユビによって取り戻された時、彼は兵士たちと共に街に入るとエルサレムの人たちにおもてなしを受け歓迎された、そして女性たちは競ってバジンジャニアをサーブした、素揚げのナスとチキンで調理したもので、それと特別にサラフディンと彼の兵士たちのために料理をした。
そして、女性たちはバジンジャニアを持って行き、逆さまにひっくりかえし、料理の底の部分が上になった。
アブサレが言うには
サラフディンが一口食べると、その味と香りを楽しみました。そしてこう言ったんです、これは何という料理だ?すると人々はこれはバジンジャニアです、と答えます、そして彼は、いや違う、これはアップサイドダウンひっくり返す!(マクルーバ)だ!
こういう会話がなされたんです。
簡単調理で素晴らしい味に!
毎日家事に従事する人なら簡単で美味しいは何より大切なことというのは国を違わず同じ気持ちだと思います。
パレスチナ女性たちはマクルーバを馬鹿な女の料理と呼びます。馬鹿というよりも誰にでもできるという意味だと思うのですけど。
1時間もあればマクルーバを作り、お客さんや家族に出すことができるでしょう、そうシェフは言います。
鍋をひっくり返したそのままの形がお皿の上に盛られ、まるでケーキのように見える炊き込みご飯。
その見た目も辺りに漂うスパイスの香りも食欲をそそります。
参考記事:ALHOURRIAH
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