経営者だけにはならない
先日参加していたCybozu Days の最中に妻からLINEが送られてきた。
「スピーカー!!!」
あのBALMUDAがスピーカーを作った、とのことだった。
たったそれだけの言葉だったけれど、とても驚いた。
BALMUDAというと、シンプルでカッコ良くそれでいて機能美を備えた白物家電をデザインしている、というイメージがある。
ボクが一番初めに目にしたのは加湿器だった。
花瓶のような佇まいでありながら、スマホとBluetoothで繋げることができる。
そして、本物の花瓶のように加湿用の水は上からやかんで水を足せば良い。
なんとも機能美を備えた上に洗練されていて温故知新。
もちろん価格はそれなりだけれども、それでも欲しくなる要素は満載。
その後もオーブンレンジ、空気清浄機、サーキュレーター、ライト、etc...
同じコンセプトで様々な製品が出ている。
でもまさかスピーカーを作るとは思わなかった。
オーディオ機器だけは作らない
どんなスピーカーなのかとサイトを覗いてみれば、まるで真空管をランタンにしたかのような佇まい。
小ぶりではあるけれども、円柱形で360°に広がる音が楽しめるそうだ。
確かにシンプルで洗練されている。
でも、それだけではスピーカーにそこまで拘りの無いボクからすれば、現在使っているSONYのポータブルスピーカーで十分。
そんな中そのままサイトを進んでいくと、バルミューダ代表「寺尾 玄」さんが開発ストーリーを紹介していた。
寺尾さんは昔、バンドを組まれていたようで、
「自ら演奏していたからこそ、の思いですが、録音された音源は生の素晴らしい演奏には、絶対にかないません。だから私は、オーディオ機器だけは作らないと決めていました。」
と思われていたらしい。
それでもスピーカーを作ろうと思ったのは、デザイナーさんたちが持ち込んできたコンセプトモデル。
まるでステージのようなデザイン。
そして、音に合わせて光量が変わったりミラーボールが回ったりする。
その体験は本当に素晴らしかったそうです。
こういった想いが寺尾さんに届き、さらには寺尾さんが音楽という高度な科学技術を過去に体験していて、録音で表現するのは難しいと思っていたからこそ「生演奏の味わえるものを作ろう!」と考えたのではないでしょうか。
これはかなり欲しい・・・
経営者だけにはならない
話は変わるけれど、ボクのこの考えも少し似たようなところからの発想。
以前、工作機械メーカーで営業をしていた時、対峙する方々はほとんどが経営者。
最初は新入社員のボクにとって経営者はとても遠い存在で、お客さまの考えや思想も分からずに学べることをひたすらに学ばせてもらいました。
少しずつ皆さんの話していることが分かるようになっていき、自分でも学んぶことによって、話の中では少しついていけるようになっていた。
どんなに好調であっても世の中の情勢に影響を受け、一気にピンチとなるケースがあったり、逆に情勢が悪い中でも強く業績を伸ばす企業もある。
自分で体験、経験しているわけではないけれども、『経営』というものがどれだけ大変でどれだけ難しいかということをとても痛感していた。
だから知れば知るほど
経営者だけにはならない
と思うようになった。
というか、「経営者だけにはなれない」と言った方がいいのかもしれない。
お金のこと、人のこと、仕事のこと、取引先のこと、家族のこと、社会のこと、世の中のこと…すべてのことをある程度理解していないといけないのかなと感じていた。
だから経営者だけにはなれない、とそう思った。
ボクには明らかに知識も経験値も足りない。
それ以上に、そういった状況に耐えられるわけがないと思っていた。
ボクが大小関係なく会社を運営していくことなんてできないと。
ただ、これはボクだけの感覚なのかなとも思った。
周りには経営者の方が沢山いるわけだし、そう思わない人も沢山いるのだろうと。
でも、色んな人に同じような話をすると共感する人が大半だった。
そして一番親しくて人生の先輩として尊敬している父もその一人だった。
なぜ法人化したのか
そんな風に考えていたボクがなぜ法人化することになったのか。
それはやはり転職が転機となったに違いない。
㈱リトルコンシェルへの転職。
マネジメントの経験がない友人が旅行会社を立ち上げ、同じ想いを持った人たちが苦しみながらも前に進んでいる。
そんな姿を見たら、やはりそこに参画してみたくなる。
それだけでは足りず、マネジメントに近いところの仕事もしてみたくなる。
BALMUDAのスピーカーと同じように、同じ想いを持った人たちが集まりそこに向かって頑張っている姿を見ると、その想いを実現したくなるものだ。
それには、今まで経験もしてこなったような数字や言葉、仕組みなども知らなければならない。
有り難いことにボクの周りには多くの経営者の方がいる。
その方々に様々な方法でお話しを伺い、自分の知識としていった。
旅行業だけでなく、他方面の方にも本当にお世話になった。
結局、あれこれ考えず「やってみた方が早い」という結論に達した。
社会はある程度仕組み化されている中で回っているはずなのに、その仕組を他の人に任せていた(と言うよりも自動的に任せるような仕組みになっている)ために、どうなっているかも知らずに過ごしている。
そういった、「お金」という便利な信用・信頼・感謝の代替品を中心に回っている貨幣経済という仕組みの中で、自分はどうしていくべきでどうしていきたいのかを知るためにも法人化すべきだと考えた。
ボクがやっていることはまだまだ経営者とはほど遠い。
フルタイムで働いているような従業員もいないし、マネジメントなんて言えたものではない。
でも、ボクが現段階で学びたいと思っているものはあるし、それに自分がどうしていくべきなのかは見えてきた気がする。
そしてそれに共感する人も少しずつ増え、社会もちょっとだけそれに近くなってきた。
今は、いくつかの経営者の方の近くで仕事をさせてもらっている。
それも従業員という形でなく、どちらかというとビジネスパートナーという格好。
もちろんその方々からの仕事が無くなれば、ボクの会社は回らなくなる。
でもそれはどこの会社でも同じこと。
だからこそ、形に拘る必要はない。
どんな形であっても、その人たちと一緒に仕事がしたい、学びを共有したい、成長していきたいという想いがあれば良い。
「多様な選択ができる社会を作る!」と考えているからこそ、形に拘るつもりはまったく無い。
ちなみにこれをみたら「BALMUDA The Speaker」が欲しくなるはず。
ストーリーって大切♪
GOING MY WAY.