夜通し踊り明かす!ダンスのオール練の思い出


私は大学生の頃ダンスサークルに所属していたが、そこでオール練というものを経験した。大学生ならではの、大学時代にしかできない、面白い経験だった。ダンスサークルのオール練は、今でも青春の思い出として印象に残っている。

オール練とは、夜中の12時に集まって始発までスタジオでダンスの練習をすることだ。なぜ夜中に練習をするのかというと、夜はみんな空いているはずなので、みんなで集まって、全員で練習できるからだ。ダンスはどうしても長時間の練習が必要であり、忙しい大学生は昼間は授業やバイトの予定で合わせるのが大変なのだが、夜であれば固まった練習時間が確保できる。スケジュール的にも、他の事とも両立できる方法なのだ。

オール練の日は、夜遅い時間に支度をして出かける。終電に乗ってスタジオまで向かうのだ。普通に眠いのだが、暗くて人の少ない電車はなんだか新鮮で不思議な感覚があり、大人になった気分が味わえるのだった。

ダンスの練習をするスタジオは、ネオン街で、いわゆる夜のお店が立ち並ぶ治安の悪い通りにある。なんでこんな場所にあるのかと思うが、たぶんスタジオの場所代が安いのだと思う。通りには逆引きや、酔っ払いのおじさんとかもいて、夜遅い時間だし女子大生だし結構怖かった。チームメンバーと待ち合わせをして、列を作ってみんなで早足で通り過ぎる。スタジオまでたどり着くのが冒険だった。チームの結束感は強くなった。

夜のスタジオは静かで空気が冷たい。スタジオ内に音楽が響き渡ると神聖な雰囲気になり、妙に集中できる。夜中の薄暗いスタジオで音楽が鳴り、眠い体を存分に動かして踊るのだ。普段とは時間の流れが変わり、ダンスのテーマの世界観に浸っていた。とても幻想的な特別感のある非日常がそこにはある。本番のステージでのパフォーマンスをしているときと似ている感覚だ。しばらく練習を続けていると、眠いというよりも足下がふらついてきて、意識が飛びそうになってくる。休憩時間に座って少し仮眠をとって、また何度も練習を繰り返す。

休憩時間にはみんなでお茶を買ったりお菓子を買ったりしにコンビニへ行くのだが、みんなで夜のコンビニへ行くのは、それだけで楽しかった。大きなサークルだったので、公演前の期間は他のチームの子たちが、同じスタジオの違うフロアにいたり、コンビニでばったり会ったりする。同じ時間帯に活動しているのである。

本番前のリハーサルもオールリハと呼ばれ、夜中に行われることもあった。全チームが集まって、衣装に着替えて、ダンスの見せ合いをする。声援を送ったりヤジを飛ばしたりして盛り上がるのだ。他のチームのパフォーマンスが見れるのは楽しい。みんなが寝ている時間に楽しむという優越感があった。そして終わったらみんなで始発で帰る。

練習後、汗をかいた体に朝の冷たい空気が触れる。外は薄明るくて、まだ人通りが少ない。スタジオを出たときには目が冴えているが、電車に乗って座ると一気に眠くなる。寝過ごさないように互いに降りる駅を教えて起こし合う。帰りの電車で日の出が見えると達成感があった。お腹が空いたら友達と牛丼屋さんやマックでモーニングすることもあり、それもまた楽しい。始発の乗り換えに時間が開くと、誰もいない駅のホームのベンチで待ち時間の寒さしのぎに、コンビニでおでんを買う。具は少なめで汁多めで温まるのだった。

家に帰ってシャワーを浴びて、数時間の仮眠を取る。そしてまた授業やらバイトやらに出かけていくのだ。若くて体力のある大学生だからできた生活である。オール練での経験は、今でも深く思い出に残っている。

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