明日、とどかない

心では忘れたつもりで
秋の風がおまえを求めている

美人じゃないけど可愛らしいお前が
10cm下から見上げて悪戯っぽく微笑ってた
「髪を伸ばすのは面倒だから」
それでも切らないでいてくれた

いつ終わるだろうと思うような儚い恋だった
みんなから離れ遠い街でふたり内緒のキスをした

ああ こんなに好き
 こんなにも好き

抱き寄せた肩の感触はいまでも腕に残っている
明日とどかなくなってしまうお前の すべてが俺は好きだった


頭では忘れたつもりでも
キンモクセイがおまえを探している

衿を立てて歩けば秘密めいていたふたり
だれにもバレてやしなかったはず
あやしいと噂されることはなかったけど
こちらから先手「妹さ」

今度会うときは違う名前で呼ぶんだね
考えたくないけど考えられない

ああ こんなに好き
 こんなにも好き

シーツに広がるお前の髪からいつも甘い香りがしていた
明日永遠の愛を誓うお前の すべてを抱き締めていたかった


「ごめんね わたしがいけないんですね
中途半端な態度をとるから...」
背の高い優しい彼を裏切らせた俺の負けさ

もうすぐ風がもっと冷たくなる
もっともっと冷たくなって そして...


ああ こんなに好き
 こんなにも好き

ダスティン・ホフマンにはなるつもりはないから
明日とどかなくなるお前が 本当に倖せならいいけど

俺のために伸ばした髪からいつも甘い香りがしていた
明日永遠の愛を誓うお前の すべてを抱き締めていたかった

1994,XX,XX 21:35

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?