見出し画像

新型コロナで変化した、時間と空間の使い方について考えてみる。

新型コロナ対応で、というとやや大袈裟かもしれません。
具体的には、リモートワークやオンラインイベント、オンライン飲み会など、「オンライン」世界が圧倒的なスピードと量で生活・仕事に入り込んできたことによる変化、ということです。

ともあれ、このオンライン化の進展による、時間と空間の使い方の変化、および、その中で気になることについて書いてみます。
(筆者自身の、時間と空間の使い方の変化をベースにしているので、どこまで一般化できることなのか、分からない面はありますが)

目次
■時間の使い方
・自宅での時間の使い方
・フレキシビリティの向上
■空間の使い方
・自宅の使い方
・オフィスの使い方
・都市・街としての変化

時間の使い方

リモートワークによる変化として、通勤時間がなくなったことの利点や、逆に集中し過ぎることによる過重労働、また自律的な時間管理の必要性などが「時間」関連の話としてしばしば採り上げられています。
ここでは、このようなよくある話ではない、ちょっと違う視点から考えてみます。

自宅での時間の使い方
時間の使い方、を表現するとすると、一つの方法としては「誰と、何処で、何をするのか」ということになります。

新型コロナ対応のオンライン進展により、これが大きく変わりましたね。

具体的には、
「家族と、自宅で、時間を共有する(テレビを見る、食事をする、話をする等)」ということに加えて、
「いろんな人と、自宅で(自宅から)、時間を共有する(会議をする、飲み会をする、座談会をする等)」ということになってきました。

ここで何が違うか、というと、「家にいるときは、家族で過ごす時間」であったものが変わってしまう、ということですね。
もちろん、これまでも電話やPC・スマホで、家に居ても外部の人々とつながる時間はあったのですが、それはどちらかというと例外(少なくとも、我が家では)という前提でした。
(だから、「食事の時くらいはスマホするなよ」とか、食事の時間は電話を避けるとか、なのだろうと思います。
そういう意味では、若者世代では捉え方が違うかもしれませんね。
また、小さい子供のころはともかく、ティーンエイジャー以降の子供も、ちょっと違うところもあるでしょう。(後述の「子供部屋」とか))

今回の変化では、そんな例外事項ではなく、当たり前のこととして、家で業務をする、オンライン飲み会をする、セミナーや座談会に参加する、という時間の使い方が加わってきたわけです。

自宅で業務を遂行すること自体は、資料作成や情報収集、頭の中での妄想・構想など、オフィスよりもdisturbされずに且つリラックスして集中できるし、座り続けていたらストレッチしたりスクワットしたり(あと、通勤分の時間でジョギングしたり)、良い面も多いですね。
そうは言っても、家での時間の使い方としては大きな変化ではあります。

まあ、業務はともかく(仕事時間と割り切れば)、オンライン飲み会や座談会などに参加していると、家に居るのにお互いに疎外している、家に居るのに分断された時間の使い方をしている、という感覚が強くあります。

これまでも、同じ時間帯に、外で飲み会したり、外でセミナー・イベントに参加したり、ということはもちろんしていますが、家に帰ってくればそこからは家族との時間(それぞれ本を読んだり、スマホをいじったりするにしても、家族とのやりとりを全くしない(できない)時間として外部とつながることは基本的には無い)であったものが、家に居ても家族とは分断して(ある意味、無視というか、居ないも同様にして)外部と繋がることになったわけです。

そんな違和感の一方で、オンラインでの出会いもあり、リアルでは中々できないような、落ち着いて色んなことを話せる座談会あり、また価値あるオンライン講座やイベントに手軽に参加できるメリットもとても大きいなど、この環境の良さも感じています。

こんな風に、時間の使い方の変化への違和感を感じるのは自分だけかな~、などとも思いますが、少なくとも筆者はこうした感覚が強くあります。

フレキシビリティの向上
ところで、ここまでと全く違う側面の時間の使い方、時間への意識の変化として、「フレキシビリティの向上」があると思っています。

具体的には、オンラインで打ち合わせができるようになった(前からできたのでしょうけど、普及して常態化した)ことによって、「何か、この人(達)と打ち合わせしよう」となったら、すぐにできることになりました。

以前なら、では時間調整して、場所を確保して、ということで結構なタイムラグがありましたが、今は、その打ち合わせ対象の人の「時間」さえ確保できれば、移動も不要で、オンラインで即、会議ができます。
ちょっと15分話を、というのも簡単ですね。オフィスで完全に業務のみ、という8時間だったのが、ちょっとした用事をこなしやすくなった、と思います。
もちろん、従来も電話はあったわけですが、PC上で資料を共有しながら、顔をみながら、また少し大勢でも、さほど準備しなくてもできるようになった、ということで、フレキシビリティが大きく向上した、と感じます。

もう一つのフレキシビリティ向上は、在宅ワークが常態化したことで、
ワークとライフの、ライフ寄りのタスクをワークの時間帯に細切れに入れ込むことができるようになったことです。オフィスで完全に業務のみ、という8時間だったのが、ちょっとした用事をこなしやすくなった、と思います。

もちろん程度はありますし、業務上のレスポンスができる状態は保つ必要はあるのでしょう。あるいは、その点も、時間拘束主義ではなく、成果主義で仕事しているかどうかを把握する、という考え方からすれば、自由度高くできるのではないか、とも考えます。


元に戻って、
家では家族と過ごす時間であったものの変容への違和感、に対する解決策は、筆者の中ではまだこれというものが見つかっていません。
機能的に、自宅の空間を分けたりしたとしても、「時間の使い方」という点では解にならないような気がしています。


このような「時間の使い方の変化」と密接に絡みながら、「空間の使い方」、も大きく変わっています。

空間の使い方

空間といっても色々ありますが、ここでは自宅、オフィス、街・都市について書いてみます。

自宅の使い方
まず自宅ですが、在宅ワークが日常になりました。
(ちなみに、在宅ワークとリモートワークは、重なることも多いですが違うことがらですね。すなわち、リモートはオフィスの外、というだけなので、自宅以外の場所も含みますね。在宅ワークは、自宅で働くことで、リモートワークの一部)

我が家は、夫婦と子供一人(成人、就職済)でマンションに住んでいて、一軒家のような広さやフレキシビリティはありませんが、さほど狭くはないので、在宅ワークしていても、息が詰まるとかはありません。

しかし、これまでの空間の使い方と前提が大きく変わるので、そこでは違和感や装備・設備・間取りなどとのアンマッチが顕在化してきます。


具体的には、これまでは自宅の空間は仕事をするための空間ではなく、基本的には家族で過ごす、くつろぐなどがその主な使い方でした。

もちろん、自宅にいるときに(風呂やトイレも含めて)仕事のことを考えていることも多くあるし、また、常に家族で同じことをしているということでもなく、本を読んだり、スマホをいじったり、パソコンで何かしていたり、同じ場所に居ながらも個人個人がそれぞれ好きなことをしている、ということもあります。

しかし、それらも、ワークライフバランスで言えば、ワークではなくライフ、オンとオフならオフ、のための空間という前提のもとで行われているものであって、自宅の空間を「ワークのための、仕事のための空間」とするのは、パラダイム転換です(少なくとも我が家にとっては)。

ハード面を考えても、設計段階また購入時の想定も、ダイニング(飯食うスペース)、リビング(くつろぐスペース)、キッチン(調理スペース)、寝室(寝るスペース)、風呂・トイレ・洗面所(言わずもがな)、という区分で考えていて、「仕事のためのスペース」としては想定していませんね。
(もちろん、士業や個人事業主で、設計段階から考えている、ということもあると思いますが。)

仕事のためのスペースとして、こんな機能が必要、こんな大きさが良い、その他のスペースとの関係はこうであると良い、などと規定され、検討された空間はないのです。

したがって、適当に場所をとって仕事をしてはいますが、そこには仮住まい感があり、仕事遂行は不可能ではないもののそのためのスペースとしては
不十分、しっかりしていない感覚があります。

そんな中で、我が家で唯一、仕事のためのスペースとして(正確には、「としても」)かなりマッチするのは子供部屋ですね。
子供が小学校のころから現在に至るまで、寝起きして、勉強する、遊ぶなど勝手にやってるスペースです。そこは、リビング・ダイニングなどから完全に独立していて、適度な大きさ、作業仕事をしても、オンライン会議をしても、違和感が少ない。

在宅ワークのスペースの確保、という点では、子供に逆転されてしまったなあ、と感じる今日この頃です。

独立した書斎、というのがあればいいのかもしれませんね。が、我が家では完全に独立した書斎はありません。リビングと接続して、ふすまで仕切れる空間はあるのですが、所詮はふすまですからね。

ということで、
今後は、在宅ワークにも向いた間取りの物件、というのがどんどん出てくるのでしょうね。
しかし、不動産・建物の話でもあり、既存物件は簡単には変更できません。
一戸建てで、もっと広く、また改造の自由度が高ければ、昨今出てきている「書斎キット」的なものをインストールできるんでしょうけどね。

いずれにせよ、今後の住宅市場では、この点は大きくフォーカスされてくることになるでしょう。

オフィスの使い方
ところで、空間の使い方、という点では、自宅だけではなく、オフィスも変わります。

オンラインに対する、オフライン・リアルな場としてのオフィス、ということで、オンラインではできない、あるいは難しい、リアルならではの価値のある空間の使い方ができるように、ということが大事になります。併せて、コロナ対応でのディスタンシングも意識されますね。

また、オンライン会議が増えてくると、そのためのブースが多く欲しくなります。会議スペースからの転用などもあり得ます。

オフィス物件では、これらが反映された物件が増えてくるでしょうし、既存物件でも自宅よりはパーティションなど含めて改変がやりやすいでしょうから、どんどん変わるでしょう。

シェアオフィスも、コロナ対応もあり、知らない人と出会う、セレンディピティ、コミュニテーというよりは、もっと即物的、直接的に、PC作業スペース、オンライン会議スペースを提供するようなシンプルなタイプへのニーズが増えるような気がします。

そういう意味では、スタバやタリーズ、エクセルシオールなどのカフェも、PC作業はこれまでもできましたが、オンライン会議には向きません。
となると、カフェ+オンライン会議ブース、のような業態が出てくるでしょうね。

都市・街としての変化
また、ここまで考えてきた、「点」としての自宅・オフィス・カフェのみでなく、(オンラインでなくオフライン・リアルの)「ネットワーク」である都市・街としての空間の使い方も変わってくるでしょう。

毎日通勤が前提では、オフィスに近いことの価値がとても高いわけですが、リモートが日常になってくると、「オフィスへの近さ」よりも「ワークとライフを両方過ごすのに適した街」、ということに価値が見出されるでしょうし、そうした街を鉄道や道路でつないだ都市としても、夜間人口・昼間人口の変化によって、バランスというか力点というか、変わってくるでしょう。

そこに更に、
・オンラインショッピングの(コロナ対応もあって)一段の浸透
・様々なコンテンツのデジタル化
・サービスのオンライン化(医療、教育ほか)
・自動運転やIoT
などが影響してくる、ということで、これまでのスマートシティのコンセプトを一段バージョンアップした、新しい街・都市の構想を打ち立てていく局面になりますね。これを妄想していくのは、とても楽しいですね。

もっと言うと、日本国内での首都圏と地方、都市と都市の関係も変わってくるかもしれません。オンラインのイベントでは、隣の家の人も、離れた都市に住む人も、同じようにつながります。更には、海外からも。

海外との距離感は、コロナ対応でリアルでは遠くなりましたが、バーチャルではずっと近くなりました。技術的には以前からできていたことですが、とてもとても大勢の人が実体験で、オンラインイベントで海外の人とコミュニケーションしたことは大きいですね。


最後に、ちょっと違う話題。
オンラインが日常化・常態化してくるなかでは、ネットワークのインフラ化、すなわち電気・ガス・水道と同じように、誰でも安価で、ワークもライフも含めた生活において十分なスピードで、安定的にインターネットを使えるようにする必要があります。
また、その使い方を簡単にする、誰でも使えるようにする必要、使い方を教育する必要があります。

現在のままでは、デジタル適応が早い人・遅い人、裕福度合い、私立と公立、大都市と地方、大企業と中小零細企業、などの間で、格差が広がります。インターネットが生活の極一部であった時代はあまり気にならなかったとしても、「アフターデジタル」の世の中では、この格差は致命的だと思います。

国土強靭化的に、インターネットのインフラ強靭化、をコロナから回復する時期の重点分野として、格差を極力なくす方向で取組みたいものです。


最後までお読みいただきありがとうございました。
(「スキ」や「フォロー」を頂けると、励みになりますので、よろしければ是非お願いいたします)


<ご参考関連note>
「アフター コロナ」「ウィズ コロナ」の世の中を妄想してみた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?