前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 十四話



◇◇◇◇◇


 これは結城優紗が新庄怜央に電話をかけてくる数時間前の出来事――

「江入さん、あいつと家が近くなってたんだ……」
 新庄怜央たちと分岐点で別れた優紗は、一人になった帰路で何と表現してよいのかわからない複雑な感情を渦巻かせていた。
 新庄怜央と江入杏奈。最近、両者の距離感が微妙に遠慮のないものになっている気がしていたが……。
 その直感を裏付けるかのような事実は、なぜか優紗の心にささくれだった何かを生み出していた。
「前まではあたしがダントツで遠慮されてない感じだったのに……」
 そういう扱われ方がよいことなのかはさておき。
 異世界での秘密を共有していて、自分がもっとも新庄怜央と気が置けない間柄だと思っていたところに発生した二人の関係性の変化。

 ――いつの間に彼らは親睦を深めたのだろう?

 心当たりとして浮かぶのは江入杏奈の家の事情を新庄怜央が解決した辺り。そこでどういうやり取りがあったのか優紗は知らない。

「…………」

 弱火でふつふつと茹だってくる、どことなく面白くないという思い。
 これは決して嫉妬などではなく、自分の与り知らぬところで起きた変化に戸惑っているだけのはずだが……。
 優紗は形容できない意識をぶつけるように道端の小石を軽く蹴り飛ばした。

 カタンカタン。

 優紗の蹴った小石は前方に立っていた男性の足下に転がっていく。ああ、しまった、変なところに飛んでしまった。あれでは続けて蹴ることができない――

 優紗がちょっぴり残念に思っていると、

「結城優紗さんですね? ちょっとよろしいですか?」

なぜかその男から名前を呼ばれた。

「…………」

 ナンパだろうか? 
 小学生のときはたまに、中学生ではたびたび、高校生になってからは頻繁に声をかけられるようになっていた優紗はうんざりした表情を取り繕うこともなく相手の顔を見た。
 短い茶髪にオサレ眼鏡。
 およそナンパをしてくるタイプには見えない爽やかでマジメそうな優男がそこにいた。背はそこそこ高く、身だしなみの清潔感もある。
 普通にしていれば恐らくイケメンと呼ばれる部類に入る男だろう。
 しかし――
「ちょっと忙しいんで無理ですねー」
 どんな外見であろうと、ナンパをしてくるような男はお断りというポリシーを持つ優紗は素っ気なく対応した。
(あれ? 待って? そういえばこの人、あたしの名前なんで知ってるの? こっわ……)
 そして、不可解な点にも気がついて警戒度をグンと上げていく。
「ああ、そう身構えないで下さい。一応、僕も馬飼学園の生徒なんですから。君の先輩ですよ。ほら、よく見て。制服とネクタイも馬飼学園のでしょ? 僕は三年生の……」
「同じ学校の人でも知らない人についていくほど不用心じゃありませんので」
 優紗にとって馬飼学園の生徒だということは大して安心できる要素ではなかった。
 なぜなら、入学して一ヶ月も経っていない頃、優紗がクラスの友人たちとカラオケをしていたところに『オレたちもオナ高でっすぅ! シクヨロ~! ウェイ、混ぜて~』などと言いながら乗り込んできた無礼な上級生男子たちがいたから。
 非常に腹立たしく、優紗はイカリングを投げつけて部屋を追い出してやったのを覚えている。
「うーん、そこを何とかお願いできませんか? うちの大将――月光雷鳳があなたに会いたいと言っているんですよ」
 月光雷鳳。その名前は今日、部室で話題に出てきたばかりだった。
「月光って、四天王の……?」
「そう、それです! 馬飼学園で最強と呼ばれているその男ですよ!」
 優紗が初めて関心を示したことで優男の眼鏡は前のめりになる。
「ふうん、最強ねぇ」
「おや、何か言いたげですね?」
「別にそんなことないわ」
 優紗は本物の最強が誰かを知っている。
 そんな彼女にとって、他の人間がそう呼ばれているというのはなんとも噴飯物な話であった。わざわざ口に出して否定することまではしないが。
「で、その最強さんがあたしを呼んでるって? ナンパならお断りなんだけど?」
「フッ、どうやら四天王に近づきたい馬鹿共と違って、あなたには言葉を濁さず本当の理由を言ったほうがいいみたいですね」
「…………」
「彼が会いたがっているのは口説くためではありません。月光は――あなたの強さに興味を持ったんです、好敵手候補の一人としてね」
「へえ……なるほど、面白いじゃない?」
 優紗はニヤリと笑った。四天王で最強の不良なら、この行き場のないモヤモヤした感情をぶつけて発散するのにちょうどいい相手となるだろう。
 少なくとも、小石よりは確実に――

 優紗が優男眼鏡に連れられてやってきたのは人気の少ない地域にある廃材置き場だった。
 移動している間に時間は経ち、日も沈んだ。廃材置き場の周辺は築年数の古い建物や工場ばかりが並ぶ、あまり治安がいいとはいえない場所だった。
 勇者としての力を持つ前であったら、間違いなく明るい時間帯でも警戒して立ち寄ることはなかっただろう。
「こんなところに女子高生を呼びつけるなんて、あんたのボスは紳士的ね」
「ハハハ……」
 優紗の皮肉に困ったように笑う優男眼鏡。そういえば彼の名前を結局聞いていないことに優紗は気がつく。
 まあ、別に知らなくてもいいし、目的地に着いて彼の仲間が呼べばすぐわかることだ。
 優紗はそう思って特に改めて訊ねることはしなかった。
「雷鳳、どうにかついてきてもらえましたよ」
 優男眼鏡が声をかけた先には二つの人影があった。
 トラックのコンテナ、廃棄された自動車、タイヤなどが積まれる雑然とした空間に輩どもがたむろっているというのは何となく物々しい雰囲気だった。
「おお! やっと来たか! うっかり寝ちまうところだったぜ」
 人影の一人、乱雑に置かれたドラム缶の一つに腰掛けた灰色の髪の男が返事をした。
 優男眼鏡よりも高い身長、逆立った髪型、タンクトップから垣間見える発達した肩、腕、胸、背中の筋肉。
 それらの外見は彼を第一印象で強者と連想させるのに大きく貢献していた。
「…………」
 もう一人は頭にオレンジ色のバンダナを巻いた長髪の男。
 こちらも筋骨隆々という表現が似合う益荒男で、阿修羅像を彷彿とさせる厳めしい顔つきをしながら黙り込んでいた。
 バンダナの男は袖の千切れたノースリーブのデニムジャケットを着ていたが、デニムジャケットの下にはシャツなどの肌着を着ておらず、優紗はなかなかに攻めたセンスだなと思った。

 優紗を待ち受けていたのは両者とも身長180センチを軽く越えていると見受けられる大柄な男たちだった。
 バンダナのほうが若干大きいだろうか……? 
 ひょっとしたら彼は190センチ半ばくらいあるかもしれない。
 これは優紗にとって完全に意表を突かれた状況だった。
 迎えに来たのが常識的な体格の高校生男子であったため、その仲間も似たような一般的な体躯を想像していた。
 まさか、野生に先祖返りしかけたゴリラの擬人化どもが待っていようとは……。
「不動、そいつが風魔や鳥谷以上にすげえ動きをしてたっていう一年の女子か? なんかアイドルとかモデルみてーだなぁ?」
 灰色の髪の男が優紗に不躾な視線を送りながら言う。
 恐らく、会話のやり取りから察するにこちらの灰色ゴリラが四天王の月光雷鳳だろう。
「…………」
 もう一人のバンダナゴリラは腕を組んだまま口を固く結んで何も言わない。
 こっちのゴリラは寡黙らしい。
「容姿こそ可憐ですが彼女の動きはとんでもないですよ。僕は実際に見ましたからね。というかほとんど見えなかったですからね、すごすぎて」
 優紗を連れてきた優男眼鏡もとい――不動と呼ばれた男は新庄怜央との勝負をどこかで覗いていたらしい。
 人の目はないと思っていたが、この男は随分気配を隠すのが上手いようだ。
「おっと、そういやまだ名乗ってなかったよな? 知っているかもしれないが、オレの名前は月光雷鳳。馬飼学園四天王の……なんだっけ……『課長壊れる』の一人だ!」
 灰色の髪のゴリラが適当な自己紹介をしてくる。
「雷鳳、花鳥風月ですよ」
 不動が慣れた様子で月光に突っ込む。
 月光雷鳳という男は普段からあまり物覚えがよくないのかもしれない。
「わざわざこんなところまで来てもらって悪かったな? ここはあんまり人が来ないからやり合うにはもってこいの場所なんだ」
 どうやら、ここは月光にとってホームグラウンドのようなものらしかった。
「オレは強いヤツと戦うのが生き甲斐みたいなところがあってよ。お前は風魔以上にやるかもしれないって聞いたから来てもらった」
「強いヤツと戦いたいのに、新庄じゃなくてあたしを呼んだの? 新庄にはビビって手を出せないから、あたしをシメてあいつを牽制しようってことかしら?」
 優紗が挑発混じりに言うと、
「フフフッ」
 不動が堪えるように笑い、そして、
「はははっ! おもしれえことを言うやつだな! なんで牽制なんかする必要あるんだ? 強いって言われてるヤツと戦う選択肢を自分で消そうとする意味がわかんねえよ!」
 月光も腹を抱えて盛大に笑い出した。
「まあ、雷鳳をよく知らなければそういう考えに至ってもおかしくはないですね。結城さん、彼はそんな駆け引きをする性分ではありませんよ」
「じゃあ、どういうことなのよッ!」
 不動のしたり顔がそこはかとかく鼻についた優紗は目を吊り上げながら問う。
「なんつーか、これは本番前の前菜ってところだな。新庄はお前より強いんだろ? もし順番が逆だったらお前とやっても落差があって物足りなくなっちまうじゃねえか。せっかくそこそこ強いってハナシのやつを二人も見つけたのに、それじゃもったいないだろ?」
 月光は不遜にもそう言い放つ。
「なっ……」
 要するに、月光は新庄怜央と戦った後では優紗を相手にする気が起きないと言っているのだ。
 そして、それは同時に――
「あんた、あたしや新庄と戦ってどちらにも勝てるつもりでいるの?」
「そりゃまあな? どうせ、オレと本気で戦える人間はいねえからよ。そこそこ緊張感のある勝負ができれば御の字ってとこだ」
 気に入らない。
 自分が勝って当たり前だと思っていながら暴力を楽しんでいるこいつのような思い上がった男はどうにもいけ好かない。
「大きく出たわね……! だったら、その勘違いを正してあげるわ」
「ほう?」
「モデルやアイドルみたいな女子にやられちゃったら、その天狗になった鼻も折れるでしょ?」

「お前が……? オレを――?」

 月光が真顔になると、凄まじい殺気が溢れ出てきた。

(え? なんなのこいつ、急に迫力が……)

 優紗は異世界で初めて魔物と戦ったときの記憶を思い出していた。
 なぜ、日本に住む不良の高校生を見てそんな情景が喚起されたのか……。
「ふ、ふん……! あんたなんか新庄が相手をするまでもないわ。あたしがここでケチョンケチョンにしてやるんだから!」
 優紗は魔力を身体に行き渡らせファイティングポーズを取った。
「ケチョンケチョンか……頼もしいことを言ってくれるじゃねえの。そんならどっからでもかかってきなァ!」
 月光は大きく両手を掲げた構えで愉快そうに笑った。
(大丈夫……相手は普通の高校生。四天王で最強とか言われてる不良でも、勇者の力を持っているあたしが負けるわけない……)
 優紗はそう自分に言い聞かせて『最強』の名を持つ男と向き合った。

「くっ……」
「おらおら! ヌルすぎるぞ、一撃がよぉ! もっと全力でこいよ!」
 月光との勝負は優紗にとって予想外の苦戦を強いられていた。魔法で強化したはずの身体能力を以てしてもまるで打撃が届かない。
 殴っても蹴っても、簡単に防がれ、いなされる。
 そのくせ、月光のほうにはまだまだ余裕があるように見受けられた。

『あいつ、異常に身体が頑丈なんだよなぁ。トンファーでいくら殴っても全然効かなくてさ』
『実力を測るかのように終始技を受け流されて――』

 月光と戦ったことのある先輩二人の言葉を思い出す。

(確かにその通り……。全然効いてる気がしない。この微塵も力が届かない感覚はまるで……いや、そんなのありえないわ!)

 優紗の頭に魔のつく前世を持つ同級生の姿が思い浮かぶ……が、それをすぐさま打ち消す。

「確かに早いが対応できないほどじゃねえな……。身体能力は風魔や鳥谷より上みたいだが、立ち回りの技量は風魔以下で本能的な直感力は鳥谷以下か……」
「なんですって!?」
 月光の批評じみた呟きが耳に入ってきた。
「これじゃ、あんまり楽しめそうもないな」
「…………!」
 優紗はその言葉で本気になることを決めた。魔力の量をセーブすることをやめ、完全に魔物を倒すときと同じ加減で月光に向かっていく。
 とはいえ、本来の優紗のスタイルは聖剣を使う魔法剣士なので十全の力が発揮できているとは言いがたいのだが。
 聖剣は新庄怜央に窃盗されたままなので致し方ない。

 ザッ!

 優紗は魔力で強化したスピードで激しく動く。
 月光が視線で追い切れなくなって見失うよう縦横無尽に駆け巡る。
 月光の目の焦点が自分に合っていないと判断したところで優紗は間合いを詰めた。

(ふん、偉そうなこと言ってたくせに全然見えてないじゃない。この魔法で強化した速度で背後を取られて反応できるのなんて地球じゃ魔王のあいつくらいよ!)

 優紗は高く跳び上がり、月光の後頭部めがけて空中から蹴りを放つ。

「たああぁあっ!」
「よっと」
 パシッ。
 月光は優紗の蹴りを片手で容易く受け止めた。
「ええっ!?」
 想定外の動作に優紗は声を上げる。月光は完全に見切っていた。目にもとまらぬ早さで背後を取ったはずなのに。まるで新庄怜央と戦ったときのようにあっさりと止められてしまった。
「つまんねぇ……。もうちょっとやるかと思ったが期待外れだったわ。悪かった、無駄に呼んじまってよ」
「バカにしてんじゃないわよ!」
 月光に足首を掴まれて身動きの取れなくなった優紗は月光を射殺さんばかりに睨みつける。
「え? バカになんかしてねえぞ。素直に謝ってるだけだぜ? 弱いのに無理に付き合わせちまって本当に悪かったなって」
「こっ……このおおおおおッ!」
 優紗は身体をよじって追撃を試みようとした。どうにか拘束を解かなければと思い、がむしゃらに動いて反撃の糸口を模索する。
 ところが――優紗が効果的な何かをする前に月光は自分からポイッと彼女の足を手放した。
「は……?」
 肩透かしを食らった格好の優紗が月光を見やると、彼は興味を失ったような冷めた目で優紗を眺めていた。
「お前、もう帰っていいぞ。これ以上やっても意味ねえし」
「はあ!? まだ途中でしょ!」
「だって、このままやったら力の差がありすぎてイジメみたいになるじゃねえか。もともと後輩の女子とやんのは少し抵抗があったんだよ。規格外に強いならそういう枠を越えてアリかなって思ってたんだが……。大したことないなら御免被る」
「すまない雷鳳、僕の見込み違いだったみたいだ。正直、君たちレベルの連中だと凡人の僕らには実力の見分けがつきにくくてね」
 ギャラリーに徹していた不動が月光に声をかける。優紗は屈辱のあまりプルプルと全身を震えさせた。勇者として、人間の国を救う最高戦力として前線に立ってきた自分がただの不良からここまでコケにされるなんて……。
「舐めるなぁ!」
 優紗は勢いよく駆けていって跳び蹴りをかます。
 だが、最低限の動作で月光に避けられてしまいそのまま廃材の山に突っ込んでいく。
「イタタタ……けど、まだまだぁ!」
 大きく音を立てて崩れ落ちてくる廃材。崩れてきたタイヤやドラム缶を弾き飛ばし、優紗は魔力を込めた全力の拳を月光に叩き込もうとするが――
「あーもうめんどくせえな!」
 腹部を狙った拳をがっしりと掴まれ、そのまま背負い投げで優紗は地面に転ばされた。
「…………ッ!」
 そして、顔面に特大の拳を寸止めで突きつけられ『まだやるか?』と言われた。
「な? もういいだろ? おめーじゃ役者不足だ」
「あんた何者よ……。ここまでやるなんて、もしかしてあんたもチートを貰った元勇者? それともあいつみたいに前世があるの?」
「は? チート? 勇者? 前世? いや、なにソレ? お前さん、そういう設定になりきって遊ぶのが好きなタイプ?」
 優紗の質問に真顔で応対してくる月光。
 これは……本当に心当たりがないように見える。
 彼はその類いには関わっていない一般人ということなのだろうか?
「どういうこと? あんたは普通の人間でそんなに強いっていうの?」
 ここまで戦える人間が何も特殊な背景を抱えていないなんて、ありえるわけが―――
「なんだよ、普通の人間が強くあったらダメなのか?」
「…………」
 月光の素朴な問いは一片の嘘も混じっていないことの証左だった。

「ああ、こんなんじゃ本命の新庄怜央ってやつも大したことねえのかなぁ」
月光がつまらなそうにボヤく。
「待ちなさいよ」
 自分がどれほど見下されようとも、圧倒的な力の差を認めざるを得なくても。
 優紗は今の言葉だけは捨て置くことができなかった。
「あいつはあたしなんか目じゃないくらい本気で強いわよ。マジモンよ? あんたなんか、あいつにとったら耳の奥に詰まった耳クソを取るほうが難しいってレベルで雑魚よ! 新庄怜央とやったら、あんたなんかワンパンでイチコロなんだから!」
「オレがワンパン……? へえ、随分と新庄怜央のことを信頼してんだな? あれ……? お前らって仲いいの? 不動の報告じゃバチバチに揉めてたって話だが」
「そ、それは……いや、まあ悪いやつではないことがわかったというか普通に同級生としてやっていくぶんには問題ないと思ってるだけで――」
ゴニョゴニョとまとまりのないことを言う優紗を月光はしばらく眺めた後、
「まあ、なんでもいいや。とりあえず、神門、アレ頼んでいいか?」
「承ったナリ」
 ずっと黙っていたバンダナゴリラが返事をして頷いた。
(今の語尾は一体……? 聞き間違えかしら……?)
 優紗がぼんやり眺めていると、神門と呼ばれたバンダナ付きゴリラはスマホを取り出してどこかに電話をかけ始めた。
「彼に何を指示したの?」
「ああ、車をこっちに呼ばせたんだよ」
「車? なんで?」
「ハハッ、おかしなことを言うヤツだな。今はもう夜といっていい大人な時間だぜ? だったら――理由はわかるだろ? クク……まあ、遠慮するなよ……」
 月光はそう言って優紗に近づいてくる。
「いや! やめて! こないで!」
「暴れんなよ……暴れんなよ……」
 優紗に伸びてくる大きな手の平。
「いやああああああああ――――っ!」
 この後、優紗は月光たちが呼んだ車に無理やり乗せられてしまうのだった。


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