小説ロマンシングサガ3-宿命を乗り越えて- 最終話 世界の再生
破壊するものを倒した・・・しかし、破壊するものは、死ぬ間際に世界を破壊するエネルギーを解き放ち、世界は爆破された・・・アビスの魔物たちが望んだような破壊ではなく、人間たちの世界だけではなく死の星もアビスもすべてが破壊された・・・人間たちの世界周辺の宇宙は何もない無になってしまった・・・。
だが・・・聖王と魔王の思念は残った・・・。
「あなたは・・・世界の再生には邪魔な存在・・・消えなさい」
聖王の力で、魔王の邪念は消滅した・・・。
聖王以外に、サラと少年の思念も残されていた・・・。
聖王は、優しく二人に語り掛けた・・・。
「私たち三人のエネルギーで、世界を再生しましょう・・・もちろん、人間の世界だけを再生して、アビスと死の星は消滅したままで・・・もう、死の定めを背負う必要のない世界を創造するのです・・・」
「聖王様・・・わかりました」
三人が力を合わせて・・・人間の世界・・・地球は再生された。もう、死食もアビスも存在しない・・・呪われた宿命から世界は解放された。
「お二人・・・サラと少年、あなたたちは、世界を再生した聖なる存在です・・・私にかわって、神として、この世界を守っていくこともできるが・・・二人の意思を尊重したい」
「私は・・・普通の女の子として、冒険したいし、恋もしたいし、お姉ちゃんや仲間と・・・生きていきたい・・・普通の人間になりたいです」
「僕も同じです・・・普通の人間として生きていきたい・・・」
「わかりました・・・では、私が引き続き、この世界を見守っていくことにします・・・お二人は、これからは普通の人間として生きていくのです・・・」
三人の力が合わさった結果・・・少しずつ世界が再生されていく・・・まずは魂、そして思念が再生され、次第に身体の再生が始まっていた。
そのころ、ハリードの思念に、語り掛ける声があった。
「俺は・・・破壊するものを倒したが・・・あいつの爆発のせいで死んだと思っていたが・・・」
「ハリード・・・あなたは、武の道を究めるのか・・・それとも、愛するファーティマ姫を求めるのか・・・どちらですか?」
「俺は・・・ファーティマ姫と・・・愛する人と結ばれたい」
「わかりました・・・」
ハリードは再生したが、カムシーンはどこかへ消えていた。その代わり、姫の首飾りが残されていた。
三人の再生の力だけではなく、世界に生きる人々の希望の力も、世界の再生には必要だったのだ・・・。
こうして、世界は再生された。少しずつ、人々は目を覚ましはじめていた。
「む・・・ここはロアーヌの宮殿・・・私は玉座に座っている・・・なぜだ・・・死んだと思っていたのに・・・モニカやカタリナは無事なのだろうか・・・」
「お兄様!」「ミカエル様!」
「おお・・・モニカ、カタリナも無事であったか・・・ユリアンは?」
「私もおります!」
「よかった・・・世界はなぜか、再生されたのか・・・」
「お兄様、私、ユリアンとずっと一緒にいたいですわ・・・」
「私もです・・・私は、モニカ様を愛しています」
「身分が違う」
「そ、そんな・・・やはり、身分の壁が・・・」
「ユリアン、汝に男爵の爵位を与える。これで身分の違いはなくなった・・・お前たちは、結婚するがよい」
「お兄様・・・ありがとうございます」
「ミカエル様・・・慈悲深き領主様・・・」
「行こう、モニカ!」
「ええ、ユリアン!」
モニカとユリアンは、ロアーヌで、貴族として生きていくことになった。ユリアンはミカエルの側近として、軍隊の上層部として、また、開拓地の開発責任者の地位に任命された。
「殿・・・この侯国も強大になりました・・・」
「そうだな・・・これからはロアーヌ王国だ・・・私はロアーヌ国王、ミカエル1世を名乗る。そして、カタリナよ」
「はい・・・」
「私は・・・やっと、自分の気持ちに正直になることができた・・・」
「え・・・」
「マスカレイドは、代々、ロアーヌ侯妃が持つ伝統であったのだ・・・父がカタリナ、お前に託したとき、不思議に思っていたが・・・徐々に、お前に対する気持ちが高まっていった・・・そして、それは確信となった・・・カタリナ・・・ずっと、これからの人生・・・私の傍にいてくれ・・・結婚して、お前はロアーヌ王妃となるのだ・・・」
「み、ミカエル様・・・私のようなものが・・・最高の光栄です」
こうして、ミカエルとカタリナは結婚した。
そのころ、ハリードは、一人、砂漠で物思いに沈んでいた。
「俺は・・・一人か。ミカエルとカタリナ、モニカとユリアンは結婚したそうだが・・・俺の愛する人は・・・しかし、あの時、何やら声が聞こえて・・・宿命の子の再生力があればもしかして・・・」
「エルヌール!」
「ひ、姫!」
「姫はやめてと言ったでしょ!エルヌール!」
「戦い抜いた・・・かいがあったぞ!俺は死に場所を求めていました・・・それで、最終決戦に臨みました・・・それでも・・・姫と再会できて・・・よかった・・・」
リブロフは、いまやハリード派が支配する街になっている。トーマスが資金援助をして、ミカエルが政治的に働きかけて、リブロフは都市国家となった・・・初代総領として、ハリードが選出された・・・ハリードとファーティマは結婚して、リブロフの総領夫婦として生きていくことになった。
さらに、ロアーヌとリブロフの連合軍は、ピドナのルートヴィッヒ軍と戦い、これを破った。ミカエルは事前に周到に準備をし、北メッサーナのファルスやスタンレーに、ロアーヌ・リブロフ側につくよう働きかけていたのだ・・・ルートヴィッヒは亡命して、どこかに潜伏しているようだ。
メッサーナ王国を統治するのは、ミューズ・クラウディウスとなった。ミューズは女王、ミューズ1世としてメッサーナ王国を支配することになった。
「もう・・・戦いのない国を目指します・・・メッサーナ王国は平和国家となります。侵略や戦争ではなく、外交によって、紛争を解決し、近隣諸国と平和な世界をつくっていきます。そして、政教分離を徹底し、政治に宗教が関係することを禁じます」
ミューズはこのように宣言した・・・こうして、神王教団は事実上、ピドナから追放された・・・今では、神王の塔だけでひっそりと信仰を続けているらしい。シャールはミューズの側近として、メッサーナ王国の貴族として生きていくことになった。また、ミューズはこのようにも発言した。
「ピドナから、貧困をなくしていく活動を行います・・・親のない子、貧しい家庭を経済的に支援し、みんなが豊かなピドナを目指していきます」
サラとエレン、少年は、シノンの開拓地で目を覚ました。
「私たち・・・なんでここにいるのかしら・・・最後の戦いで死んだと思っていたのに・・・でも、よかった・・・サラ、私たちはずっと姉妹よ」
「お姉ちゃん・・・私のお姉ちゃん・・・」
二人は抱き合っていた。
「でも・・・少年はなぜ、ここにいるのかしら?」
エレンは不思議がった。
「僕は・・・ずっと孤独で・・・誰かと一緒にいたいと思っていました・・・そして、僕にやさしく声をかけてくれたサラ・・・君のことが好きだったんだ・・・」
「そうだったの・・・」
「二人、付き合っちゃいなさいよ!」
エレンが楽しそうに言った。
「お姉ちゃん・・・」
サラは、顔を赤らめていた。
「じゃ、じゃあ、まずはお友達からでいいかしら・・・」
「うん、サラ、ありがとう!」
その後、サラと少年は恋愛関係に発展し、エレンと一緒にシノンの開拓に勤しむことになった。
その後、エレンは、ハリードがファーティマと結婚し、リブロフの統治者になったことを知った。
「ハリード・・・やっぱり、あなたはファーティマ姫がお似合いよね・・・さて、私はもっといい男でも探すかな!」
エレンは、前向きに生きていこうと考えていた。
トーマスは、ピドナ最大の財閥の代表になっていた。だが・・・その姿はウィルミントンにあった。
「フルブライトさん・・・私の使命は終わったと考えています。私の財力で、クラウディウス家が王位につくのを支援し、ハリードの王朝復興の支援もしました。あとは、シノンの開拓のための少しのお金があれば大丈夫です。フルブライトさん、私の会社を、買収してください」
「いいのか・・・トーマス・・・君はピドナで一番の財界権力者なんだぞ・・・」
「そんなことに興味はありません・・・私は、ユリアン、エレン、サラたち仲間と・・・シノンで生きていきたいのです」
リブロフのラザイエフ家では、タチアナの食事に毒をもった親族は再生されなかった。タチアナはラザイエフ家に戻り、ラザイエフ商会の若き女性経営者として、名をはせることになった。
ウンディーネは、ボルカノと和解して、二人でモウゼスの街を平和都市として再建していくことを誓った。
「ボルカノ・・・あなたと争ってきたけれど・・・なんだか、私たちお似合いじゃないかしら・・・」
「え・・・何を言っているんだウンディーネ・・・しかし、私たちは一緒にこの街を平和的に運営していくには・・・よいことかもしれない。結婚して、モウゼスを世界一の術研究都市にしていこう」
ノーラの工房は、ピドナ一、いや、世界一の工場として、名声を集めていた。親方は残念ながら再生されなかったが、これからも優秀な製品を作り続けるだろう。工房には、シンボルである聖王の槍が戻っていた。
ブラックは海賊から足を洗い、トーマスの会社の海上輸送担当として働いていた。社長が辞任することになり、とまどったが、世界の安全な海上輸送を守っていくことに尽力した。
ぞうは人間には戻らなかったが、ラシュクータの街で平穏に生活していた。
それぞれが、新しい世界で、新しい生活に踏み出していた。もう、この世界には、死の定め、呪いの宿命はない。
みなが望んだ、この平和な世界で、人々は生きていく。
(完)
The Destroyer was defeated...but the Destroyer, in its last moments of death, unleashed its world-destroying energies, and the world was blown up...not the destruction the Abyss monsters hoped for, but the humans. Not only the world of Abyss but also the Death Star and the Abyss were all destroyed... the universe around the world of humans became nothing but nothing...
But... the thoughts of the Holy King and the Demon King remained...
"You are a hindrance to the world's regeneration... vanish."
With the power of the Holy King, the evil thoughts of the Demon King disappeared...
In addition to the Holy King, the thoughts of Sara and the boy were also left behind...
The Holy King spoke kindly to the two...
"Let's regenerate the world with the energy of the three of us... Of course, we will regenerate only the human world, leaving the Abyss and the Death Star obliterated... We no longer need to bear the fate of death. I will create a world that does not exist..."
"Holy King...I understand."
The three joined forces... the world of humans... the earth was regenerated. Death Food and the Abyss no longer exist... The world has been freed from its cursed fate.
"The two of you... Sara and the boy, you are holy beings who have regenerated the world... You can protect this world as gods in my place... However, I would like to respect your wishes."
"I want to go on adventures as a normal girl, fall in love, live with my sister and friends... I want to be a normal person."
"I'm the same...I want to live as a normal human..."
"Understood...then I will continue to watch over this world...the two of you will live as normal humans from now on..."
As a result of the combined power of the three... The world was being regenerated little by little... First, the soul and then the thoughts were regenerated, and gradually the body began to regenerate.
Around that time, there was a voice speaking to Khalid's thoughts.
"I... defeated a destroyer... I thought I died because of his explosion..."
"Khalid... will you master the art of martial arts... or will you seek the beloved Princess Fatima... which one?"
"I... want to marry Princess Fatima... with the one I love."
"got it···"
Khalid replays, but the cam scene is gone. Instead, the princess's necklace was left behind.
Not only the regenerative power of the three, but also the power of hope of the people living in the world were necessary for the rebirth of the world...
Thus the world was reborn. Little by little, people were waking up.
"Hmm... this is Roanne's palace... I'm sitting on the throne... why... I thought I was dead... I wonder if Monica and Katarina are safe... ”
"Brother!" "Master Michael!"
"Oh... Monica, was Katarina okay... and Julian?"
"I'm here too!"
"I'm glad...for some reason, the world was reborn..."
"My brother, I want to be with Julian forever..."
"Me too... I love Monica."
"You two have different social statuses."
"Th-that's... as expected, the wall of identity..."
"Julian, I will give you the title of baron. With this, there will be no difference in status... you should get married."
"Brother…thank you very much."
"Master Michael... merciful lord..."
"Let's go, Monica!"
"Yeah, Julian!"
Monica and Julian will live as nobles in Roane. Julian was appointed as Michael's aide, as a senior officer in the army, and as the head of the settlement's development.
"Your Majesty, this principality has become powerful..."
"That's right... from now on, it's the Kingdom of Roanne... I call myself King of Roanne, Michael I. And Katarina...I have something to tell you.."
"yes···"
"I was finally able to be honest with myself..."
"What do you mean?···"
"The masquerade has been a tradition of the Marquises of Roanne for generations... I thought it strange when my father entrusted it to you, Katarina, but... Gradually, my feelings for you grew. I...and that became my conviction...Katarina...for the rest of my life...stay by my side...marriage and you will become Queen of Roanne... ”
"Master Michael... someone like me... is the greatest honor."
Thus, Michael and Catherine got married.
Meanwhile, Khalid was alone in the desert, lost in thought.
"I'm... alone. Michael and Katarina, Monica and Julian are said to have gotten married, but... the person I love... However, at that time, I heard a voice... the rebirth of the child of destiny. Maybe if I had the power..."
"Ernur!"
"Hi, princess!"
"I told you to stop calling Princess, didn't you! Elnur!"
"I fought through...it was worth it! I was looking for a place to die...so I faced the final battle...even so...I'm glad I was able to meet the princess again... …”
Rybrov is now a Khalid-dominated city. With Thomas' financial support and Michael's political lobbying, Rybrov became a city-state...Khalid was elected as the first general-general...Khalid and Fatima married to become Rybrov's general-husband and wife. I decided to live as
In addition, the combined forces of Roane and Librof fought and defeated Ludwig's army in Pidna. Mikael had made thorough preparations in advance, and had urged Farce and Stanley in North Messana to join Roane Livroff's side... Ludwig seems to have defected and is hiding somewhere.
Muse Claudius became the ruler of the Kingdom of Messana. Muse was to rule the Kingdom of Messana as her Queen, Muse I.
"We are aiming for a country where there are no wars anymore... Messana Kingdom will become a peaceful nation. Instead of aggression or war, diplomacy will resolve disputes and create a peaceful world with neighboring countries. , thoroughly separate church and state, and prohibit religion from being involved in politics.”
The Muse proclaimed...and thus the Order of the God-King was, in effect, exiled from Pidna...now it seems that they continue their faith in silence only in the Tower of the God-King. As a close aide to Muse, Sharl will live as a noble of the Kingdom of Messana. Muse also said:
"We will carry out activities to eliminate poverty from Pidona... We will financially support orphans and poor families, and aim for Pidona where everyone is prosperous."
Sarah and Ellen, a young boy, woke up in the settlement of Sinon.
"We...why are we here...I thought we died in the final battle...but thanks...Sara, we'll always be sisters."
"Sister...my sister..."
They were hugging each other.
"But...why is the boy here?"
Ellen wondered.
"I've been lonely all this time...I wanted to be with someone...and Sara, who spoke kindly to me...I loved you... "
"Was it so···"
"Shouldn't the two be dating?"
Ellen said happily.
"Sister···"
Sarah blushed.
"Well then, I wonder if it's okay to start with friends first..."
"Yes, Sarah, thank you!"
After that, Sara and the boy developed a romantic relationship, and together with Ellen, they decided to work on the development of Sinon.
Ellen then learned that Khalid had married Fatima and became ruler of Rybrov.
"Khalid... you really look good as Princess Fatima, don't you think? Well, maybe I'll find a better man!"
Ellen thought she was going to live positively.
Thomas became the representative of Pidona's largest conglomerate. But... that figure was in Wilmington.
“Mr. Fulbright… I believe my mission is over. I used my financial strength to help the Claudius family ascend to the throne, and I also helped Khalid restore his dynasty. Mr. Fulbright, please take over my company."
"Oh... Thomas... you're the most powerful person in the financial world in Pidona..."
"I'm not interested in such things... I want to live with Julian, Ellen, and Sara... in Sinon."
Relatives poisoned in Tatiana's diet did not reproduce in the Razayev family of Rybrov. Tatiana returned to the Razayev family, and she made her name as the young female owner of the Razayev Company.
Undine made peace with Volcano and vowed to rebuild the city of Moses as a city of peace.
"Volcano... I've been fighting with you, but... I wonder if we're a good match..."
"Eh... what are you talking about, Undine... but if we can run this city peacefully together... it might be a good thing. Marry me and get Moses." Let's make it the world's number one tech research city."
Nora's workshop was gaining fame as the number one factory in Pidona, no, the number one in the world. Unfortunately, the master was not revived, but he will continue to make excellent products. The spear of the Holy King, the symbol, had returned to the workshop.
Black quits piracy and works as a sea freighter for Thomas' company. He was embarrassed by the president's resignation, but he devoted himself to keeping the world's shipping safe.
The elephant did not turn back into a human, but lived peacefully in the city of Rashkuta.
Each was embarking on a new life in a new world. In this world, there is no fate of death or curse.
People will live in this peaceful world that everyone wanted.
(end)