上方婚とジェンダーフリー(ジェンダー平等)の矛盾

今、世界的に、男女(ジェンダー)の平等、ジェンダーフリーが推し進められ、古くさい「男女の性的役割分担」は悪である、との論調が強まっている。日本でいえば、昭和的な、男性は賃金労働をして、女性は家事・育児に専念し、家長である夫を支えるというものだ。韓国でいえば、妻はキムチを漬けて、料理上手で、教育熱心というものだ。これらは、前時代的なものとされる。

だがその一方で、日本においては、女性が自分よりも高い年収の男性と結婚しようとする「上方婚」志向も根強い。それは、多くのマスコミが指摘するところだ。

所得の高い女性に未婚者が多い理由がある。それは、多くの女性は自分よりも学歴や収入がある男性と結婚する、いわゆる「上方婚」を望んできたからだ。女性がキャリアを持てず、収入が少なかった頃には、結婚の「経済的メリット」があった。しかし、女性活躍が進むと、金銭的な魅力は減る。男女の賃金格差が縮まる中で上方婚を求め続けると、収入が低い男性は見向きもされなくなる。結婚への意識を変え、上方婚と逆の「下方婚」を増やすことが、婚姻率を上げるカギと言える。

日経ビジネス

 近年は、女性における「正規」割合自体も増えています。適齢期(25~34歳)女性の非正規割合は、ピーク時(’07年)には4割強にのぼりましたが、近年は3割強と減少傾向で、正規比率の増加が顕著です。(総務省「労働力調査(詳細統計)」ほか)。
 それなのに、いまも女性の8割近くは「年収400万円以上」を結婚相手の最低条件だとするなど、91.6%(*1)が男性に「経済力」を求めます。そのうえ同じ調査では、96.5%が「家事・育児の能力や姿勢(家事・育児協力)」を男性に望み、さらに(恋愛時ほどではないにせよ)81.3%の女性が、「容姿(見た目力)」まで求めるようになりました。
 まるで、結婚相手に「3高(高学歴、高収入、高身長)」を求めていた、能天気な私たちバブル女性の青春時代(’80年代後半~’90年代前半)に逆戻りしたかのようです。いえそれどころか、新たに家事・育児力を求める分、男性への要求をさらに強めたとも言えるでしょう。
 坂本氏は「女性の保守的な思想こそが、未婚率を上昇させている」とも言います。なぜなら、彼の研究や同研究所の統計分析においても、女性は年収200万円台であろうが、500万円以上であろうが、自身の収入未満の男性とは、まったくと言っていいほど結婚していないからです。
 山田教授は、生活レベルや社会的地位の上昇を目的に、経済力が高い異性を結婚相手に選ぶことを「上昇婚志向」と定義しましたが、「均等法改正以降、これほど長きにわたって女性の『上昇婚志向』が変わらない(減少しない)とは思ってもみなかった」そうです。

文春オンライン

国際比較でも、日本は世界一、女性の上方婚志向が強い国となっている。夫婦の年収で、夫のほうが年収が高い割合は主要国で一番高い(もちろん、男女の賃金格差もあるとは思うが)。

夫の年収や社会的地位が低いと、女性どうしの張り合い(マウンティング)で負けるというのもあるだろう。また、女性としても、(体力だけだなく経済的にも)強い男性から守られたいという気持ちはあるだろう。

ジェンダーフリーというのは、フェミニストの理想であって、現実ではないのかもしれない。もちろん、北欧など女性の年収が高い上に、軍隊でも女性が活躍する国もあるが。

以下のような意見もある。大卒正社員の女性ばかり優遇して、非大卒や非正規の女性が置き去りとの主張だ。

フェミニストの理想である、男性と同じくらい強い女性を増やすよりも、社会的弱者である非正規や貧困の人を、男女問わず救うのが先決だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?