SMC(空気圧部品大手メーカー)の強み!

日本の製造業は、家電や半導体などでは弱いが、ニッチな空気圧部品などは強い。その一つが、SMCだ。空気圧機械で世界シェアはトップ。営業利益率も30パーセント前後と極めて高い。この企業の強みは、超即納にあるようだ。

SMCの主力製品はロボットなどを使って工場内でものを「押す」「持ち上げる」「つかむ」といった動作の制御に使われるアクチュエーターだ。この部品で同社は日本では60%超、北米でも30%超のシェアを持つ。

同社の強みは顧客が注文した製品を即納する「超短期納入」だ。空気圧部品は汎用品であるため、すぐに納品できるかが顧客の信頼性を高めるカギになる。超短期納入に対応するため、在庫を厚くするリスクを負うが、なるべく半製品の状態で保管している。特定の顧客需要が落ち込んでも、他の顧客に転用できるよう独自のやり方でリスクを軽減している。

この即納を支えるのが世界に散らばる7000人の直販部隊だ。SMCは高田社長の父である故・高田芳行氏が1959年に創業。競合するCKDの後発だったが、営業人材の大量採用で攻勢をかけてきた。品目数も70万種類にのぼる。ライバルは納入まで1週間程度かかるが、SMCは売り上げの7割が3日以内に納入した製品だ。

日本経済新聞

基本的に、シェアが高ければ高いほど、利益率は高くなる。なぜならば、生産コストは量産で下がる上に、他社よりも販売網が大きく即納できるために、高めの価格を設定できるからだ。

SMCはアジアと北米で強いが、ヨーロッパだけは競合のドイツ企業に負けている。ヨーロッパや、フロンティアのインドやアフリカでもシェアを伸ばせれば、完全王者になれるのかもしれない。

ここから話は脱線する。空気圧機器だけではなく、モーターのような比較的ローテクの電子部品でも日本企業は強い。具体的には、三菱電機、ニデック、安川電機などだ。モーターはEVやロボット、鉄道車両でも使われる。モーターなど、中学の理科で習うものだが、意外と奥が深いのだ。モーターの銅線を巻くための機械も、NITTOKUと小田原エンジニアリングの2社が寡占であり、日本企業は非常に強い。

これからは、世界は、モノが豊富な経済から、モノ不足の経済にシフトすると考えている。なぜならば、中国・韓国・台湾・日本・ドイツなど、製造業に強い国が軒並み少子高齢化になっているからだ。ロボットで全ての工程を無人化することは不可能だ。かなり以前からロボットは使われており、これ以上の省人化は難しいだろう。ベトナム、タイ、マレーシア、メキシコ、トルコなどが次の製造業大国になるのかもしれないが、まだまだ技術力では差があるだろう。そのため、メーカーの地位は再評価されるかもしれない。逆に、金融は、窓口などAIで自動化余地が大きい。

ただし、気がかりなのは、アメリカの次期大統領、トランプ氏の関税だ。アメリカ現地生産しないと、アメリカ市場では売れにくくなる。SMCはすでに現地生産体制だが、まだ現地生産が進んでいない企業は、急がなくてはならない。

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