転職が当たり前なジョブ型雇用・実力主義は良いことばかりではない!

今の日本では、ジョブ型雇用・実力主義に過剰な期待が高まっていて、そのデメリットが理解されていない。今までは、会社への愛社精神や忠誠心があり、まるで鎌倉幕府の武士のように社員は命懸けで一所懸命に働いた(これは比喩ではない、昭和時代は今よりも過労死レベルの長時間労働が多かった)。そして、会社も、そのような社員に報いるため、ポストを用意したり、毎年昇給していた。しかし、ジョブ型雇用・実力主義になれば、これは激変する。

まず、社員側のデメリットだが、スキルアップしない社員は年収が上がりにくくなる。もちろん、経験年数に応じて「慣れ」によってスキルアップする部分もあるので、全く昇給しないことはないはずだ。だが、昔のような一律のベースアップは無くなるだろう。また、ジョブディスクリプションの期待値に見合わない場合は、今までよりも厳しいペナルティが下されるリスクがある。昔は、多少仕事ができなくても容認されていた。これからは、仕事ができない人材は中途採用でリプレースされるだろう。
※まあ、これは一流企業・大企業の話だ。中堅以下の企業の場合、これから未曾有の人手不足になるので、そんな余裕はないだろう。なので、一流企業で戦力外通告となっても、どこかには転職できると思う。なので、そこまで悲観する必要はない。

若手社員は、先輩から仕事を教えてもらえることも期待できない。なぜならば、年功序列(社歴)ではなく、スキル・実力で評価されてしまうので、後輩を育てるのはデメリットしかないのだ。そんなことより、自分のスキルアップに注力したほうが良いだろう。若手社員は自分でスキルアップすることが求められる。

逆に、企業側にもデメリットがある。むしろ、人手不足のこれからの時代は、企業側のデメリットが大きいと考えられる。昔は、年収が他社より低くても、愛社精神で我慢してくれた。しかし、これからは、他社の年収をチェックして、自社の年収が低ければ、社員は簡単に裏切って転職するだろう。会社側が社員のキャリアパスを決めることも難しくなるだろう。例えば、経理部で人手不足だからと経理部にアサインしようとしたら、「経理部よりもITのほうがスキルアップしやすいから嫌だ」と社員から拒否されるかもしれない。無理に辞令を出せば、転職されてしまう。若者も「配属ガチャ」という言葉でこのことを表現している。

さらに言えば、上司がメンツを保つことも難しくなる。昔は、年長者であれば、それだけで威厳を保てた。これからは、スキルが無いと、逆に若手社員から馬鹿にされかねない。

ジョブ型雇用・実力主義は、一流企業・大企業に有利であり、中堅以下の企業は社員の確保が難しくなる。優秀なエース社員ほど一流企業へと逃げていくので、中堅以下の企業は、駄目社員の吹き溜まりのようになっていくのかもしれない。

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