アメリカのインフレを構造分解すると?住居費の値上がり?深刻な住宅不足か?
テレビ東京モーニングサテライトによると、アメリカのインフレをブレークダウン(構造分解)すると、ほとんど住居費が占めていることがわかった。みずほ証券による調査結果をテレビ東京が放送した。
以下は、インフレ率を構造分解したものである。
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見えづらいが、2024年は、ほとんど黄色の「コアサービス」が占めていることがわかる。エネルギーやコア商品はほとんど無視して良いレベルだ。
さらに、コアサービスを構造分解したものが以下だ。
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これまた見えづらいが、黄色の「住居」がほとんどを占めている。あとは、ピンクの「輸送サービス」となる。
つまり、アメリカの今のインフレは、住居費または輸送費が占めており、他のインフレは落ち着きつつあることが言える。FRBとしては、利下げを示唆しており、その理由が、これだろう。住居費と輸送費以外はインフレではないので、インフレは落ち着きつつあるとFRBとしても認識している可能性が高いのだ。
では、なぜ、住居費はインフレなのか?これは、昨今の傾向である、アメリカでの深刻な住宅不足であると思われる。
アメリカでは長らく住宅不足が続いており、それによって住宅価格が上がり続けています。というと、不動産投資家にとってはいいことのように感じるかもしれませんが、そうとばかりも言い切れません。
全米の住宅価格は、住宅ローン金利の緩やかな低下や住宅の供給不足を受けて上昇し、3月に過去最高を記録したことが、最新のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整済み、以下ケース・シラー住宅指数)で示された。
5月28日の最新データによると、3月の米20都市の住宅価格指数の上昇率は前年同月比6.5%で、2月の上昇率の6.4%を上回った。同指数は、2023年6月から9カ月連続で過去最高を更新した。
アメリカで住宅不足が続くため、日本のハウスメーカーの大和ハウスや積水ハウスも、ビジネスチャンスとアメリカ事業に力を入れている。
日本もアメリカもそうだが、インフレといっても、その中身をみないと、現在の経済状況を理解することはできないのだ。
アメリカの住宅供給不足は、人手不足や資材不足など様々な要因が複雑に絡み合っていると思われるため、そう簡単に終わることはないであろう。政府や州が、手頃な価格の公営住宅を提供するべきだと考える。
アメリカは、国土が広いが、実は巨大都市であるニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ダラス、シカゴなど大都市に人口が集中している。そして、日本ほど鉄道網が発達していないので、郊外に住むと自動車による長時間通勤が課題となる。共働きだと、2台以上の自動車が必要になる。意外と、日本と同様、安い住宅に住むことは難しいのだ(むしろ、移民が続々と入国して人口が増えるので、日本よりも厳しいのかもしれない)。
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