米中経済対立の難しさ

ドナルド・トランプ氏が大統領になることが決定し、米中経済対立は激しさを増すと予想される。トランプ氏は、中国からの輸入品に60%の関税をかけると宣言している。

ところが、アメリカの同盟国は、中国と密接な関係がある。韓国のサムスン電子やSKハイニックスは、実は韓国だけでなく中国でも半導体を製造している。中国からアメリカへの輸出が減れば、韓国メーカーは壊滅的な打撃を受けかねない。

台湾もそうだ。中台は対立しているようで、経済では密接に関係している。TSMCは今まで、中国向けに半導体を製造してきた。それができなくなれば、両国ともダメージを受けるだろう。

そして、中国の経済成長のエンジンは、不動産と輸出である。その片方である輸出が大打撃を受ければ、中国の内需にも悪い影響が出ると予想される。なぜならば、輸出企業が儲かれば、設備投資を増やしたり、社員の給料が増えることで内需へも好影響があるが、その逆で輸出が減れば、内需も急減することが予想されるのだ。

すでに影響は現れてきており、ホンダや日産、オムロンなど日本の巨大メーカーのうち、中国依存度が高い企業は業績が悪化し始めている。

米ソ冷戦の時は、ソ連は軍事は強大だったものの、経済はたいしたことがなかった。今の中国は経済でも強大である。そこが、米中対立と米ソ冷戦の違いだ。

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