-ろうそくの灯り-
いつでも変わらずに、仏の微笑みなんかで、居られるわけがないだろう。
どんなときも同じような、やさしさを、百点満点を取れるわけがないだろう。
それでも、わたしは、昨日、わたしが踏み潰した、その人の、そのときのかなしそうな顔を、いつだって、はっきりと覚えているし、冷たく突き放したときの、その人の、切ない横顔を、片時だって忘れたことはない。
もちろん、それでは、そんなんでは、日常生活を送れやしないから、暫定的に、忘れたことにして、過ごしてはおりますが。
あなたのかなしさや、さみしさなんか、忘れるわけがないだろう。
それでも、忘れたことにして、生きるしかない人生も、あると思います。
きっと、心に届いてくれたら、そう願うばかりです。
それでは、また吹けば消え入る蝋燭の灯る夜に。
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