四月天気 Aprilwetter (アプrリル・ヴェター)
四月は、der Aprilで、天気が、das Wetterである。
この表現は、何も4月に入ってからの天気を単純に言うのではない。ドイツでは3月初・中旬ごろからでも使える、特別の天候現象に使われる言葉である。
ヨーロッパの映画や小説に時々出てくる表現に「春の嵐」という言葉がある。日本に生活している人間にとっては何かぴったりこない表現である。東北地方の太平洋岸では、「嵐」と言えば、秋の台風が思い起こされ、「春」と言うと、春先の埃っぽい風を思い出す。で、筆者がドイツに一年住んでみて初めて体感した言葉が、「四月天気」である。
あるオペラの曲に「女心と秋の空...」うんぬんというのがあるが、正にこの変わりやすい天気のことを「四月天気」というのである。雨が降ったと思うと、もうすぐに日が照りだし、日が照りだしたと思うと、すぐに曇り空。場合によっては、雹が降り出したりする。気圧の配置によっては、北から寒い風が吹き荒れる。そして、運が悪ければ、寒気のせいで4月下旬でさえも雪が降るということもあるのである。これが、「四月天気」なのである。
ドイツもまた温暖化現象で、ここ数年、夏は長くなり、雨が降らない日が多くなって農家に収穫の心配が出てきている。これに伴い、冬は暖冬となり、雪があまり降らなくなっているという。という訳で、「四月天気」という現象も時期がずれてきて、3月に多くなっているらしい。