竜とそばかすの姫の?を考える 合唱隊としのぶから見た鈴
この記事は「竜とそばかすの姫」のネタバレと考察と空想で構成されています。まだ観てない方は読まない方がいいよ!
それと作品を全力で肯定的に観ているので批評とか求めている場合は「思ってたんと違う!」ってなるよ!
まずは見出しでのネタバレ防止としての作品紹介。
「竜とそばかすの姫」は現在上映中の細田守監督の最新作。現実とインターネット上の仮想世界<U>を舞台に、とある理由で歌えなくなった女子高生・鈴(ベル)が巻き起こる数々の出来事のなか葛藤し、それでも未来へ進んでいこうとする物語。
あらすじ紹介とか下手くそなので詳細は下記参照。
さて。ここから先が本題、ネタバレと考察と空想を展開します。あ、これは私の見解なので他の方や実際とは相違があるかもしれません。その点はご容赦を。
今回はこっそりとあって、ちょっとわかりづらい?である「合唱隊の人たち、そしてしのぶはなぜベルの正体が鈴だと知っていたのか」を考えてみます。
結論は一番下の「要するに」の項に書いているので忙しい人はそこだけでも。
合唱隊の面々はなぜベルの正体が鈴だと知っていたのか
竜の城焼き討ちの後、ベルが竜の城から街?のほうへ飛んでいく場面をみた合唱隊の面々は鈴のところに駆けつけることを決めます。そしてこのとき合唱隊の人たちは「自分たちが『ベルの正体が鈴である』ことを知っている」、それを鈴に気づかれてしまうことを気にしています。
そう、この時点でベルの正体が鈴であると知っていたのです。ではなぜ、そのことに気づいたのでしょうか。
ヒントは2度ほど、わずかに映された写真にあります。
写真には合唱隊の面々と鈴の母親、そして幼い鈴が写っていました。察するに彼女たちはおそらく鈴の母親とも付き合いがあったのではないでしょうか。
というより、直接の描写はなかったものの鈴の母親も合唱隊に参加していたのだと思います。鈴の母親が音楽を好きだったことは鈴の回想から伺えますし、むしろそう考えないと鈴と合唱隊の接点が見えません。
そしてここからは完全に想像になりますが、合唱隊の人たちは幼い鈴の作る歌を聴いていたのではないでしょうか。鈴はキーボードアプリを与えられてから歌を作り、母親と一緒に歌っていました。これも鈴の回想からわかります。
そして写真の光景がまさしくあったのだとしたら、合唱隊の練習の合間に鈴が歌を披露していたことがあったとしてもおかしくありません。
鈴の歌を聴いたことがあった、これがひとつめのピースです。
また、鈴は作詞作曲を誰かに教わったりしたわけではありません。つまり素直な歌でなかった可能性があります。そのうえ、母親が亡くなってから空白、あるいは鈍化した期間があったはずです。そういったことから、高校生になった今も「鈴の歌の癖は変わっていない」のではないでしょうか。
鈴の歌の癖は変わっていない、これがふたつめのピースです。
そして、ベルの歌には「個性的すぎる」「こんな曲聴いたことない」あるいは「作詞の基本がなっていない」といった評価がされています。つまり他にはない「癖」があるわけです。
ベルの歌には特有の癖がある、これがみっつめのピースです。
合唱隊の人たちは、これらのピースを合わせてベルの歌に鈴の歌の「癖」を見たのではないのでしょうか。そこで名前が「ベル=鈴」であると気づいたとしたら、彼女たちの中で符合するものがあったでしょう。
しのぶが気づいたのも同じ理由?
しのぶは物語終盤に入ったあたりで「鈴、ベルだろ」と、鈴に投げかけるシーンがあります。しのぶもどこかのタイミングでベルの正体が鈴だと気づいていたのです。
しのぶが「ベルの正体が鈴である」と気づいた理由も合唱隊の人たちと同じ。ベルの歌に鈴の歌の「癖」を見た、というものだと思います。
鈴の母親が流されてしまった場面で、後を追おうとした鈴を止めたのがしのぶです。その頃からの幼馴染であれば鈴が「歌うことが好きだった」ことも知っているでしょうし、鈴の自作の歌も聞いていたとしても不思議ではありません。
そのうえ、ルカちゃんに「鈴ちゃんの母親みたいだって思ってた」と言われているくらい、鈴のことをよくみていたしのぶです。「気づかないはずがない」と言っても過言ではないでしょう。
要するに
いろいろごちゃごちゃ書きましたが、合唱隊の人たち、そしてしのぶは幼い鈴の歌を聴いたことがあり、それとベルの歌に同じものを感じたのだと思います。
そしていろいろ考えるより前に、直感的に「鈴だ」と感じ取ったのでしょう。ただ現実では歌えない鈴にそれを言ってしまうと、鈴はさらに歌えなくなってしまうと考えた、それで鈴に訊くことがなかったのかもしれません。
というわけで今回は合唱隊の面々としのぶがなぜ、ベルの正体が鈴であると気づいたかについて考えてみました。空想妄想は楽しいですね。
母親を失ったという大きな悲しみを抱えた鈴ですが、そんな彼女をよくみてくれている人たちがいたことは幸せなことだと思います。鈴としても歌えるようになった鈴はこれから先、周りの助けも得ながら、しっかり前へ進むことができるでしょう。
少しうらやましいです。
さて、次は何について考えようかな。考えたいこと言いたいことがたくさんあって困ってます。
十中八九、竜とそばかすの姫に関する考察はまだまだ続きます。気が向いたら読んでみてください。
(2,213字 執筆時間2時間半くらい)
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