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中国の生きにくさの象徴「健康コード」「通信行程卡」

 中国に住んでる人は生きにくそうだなーと感じた点として、「健康コード」「通信行程カード」の2つが挙げられます。

上海のいたる所に立つ「屈強な男」

 上海市内では、大型の店舗や病院、駅、空港、さらには一般の会社の入り口まで、あらゆる場所にガタイのいい男が立っています。彼らは入り口で、入る者が健康であることを証明する「健康コード」や「通信行程卡」の提示を確認しているのです。

上海スターバックス(星巴克)入口に立つ「屈強な男」


 上海市内にいると、自分の会社に出社したとき、お店に入るとき、駅に入るとき、空港に入るとき、病院に入るとき、あらゆる場面で「健康コード」「通信行程カード」のいずれかを見せることが求められます。

健康コード(外国人用)。健康であることの証明。
通信行程カード。通信履歴から感染危険地域にいなかったことを証明する。


QRコードで国民の健康状況を管理する


 健康コードは「コロナ感染者ではないこと」「入国後一定時間経過していること」「濃厚接触者ではないこと」の証明であり、緑色である場合のみ、屈強な男にそれを見せた際に入門が許されます。

 健康コードのスクショを撮ったものを見せても黙認される場面もありますが、おそらくルール上は禁止されています。政府系の職員が見る場面(特に空港など)では画面を触ってそれが画像ではなくアプリ画面であることを確認します。健康コードと通信行程カードどちらか片方見せればよい場面もあれば、指定した方を絶対に出せと言われる場合も。

 健康コードを表示させるには、専用アプリもしくはAlipay/WeChatからミニプログラムを起動し、携帯電話番号とパスワードでログインする必要があるのでちょいと時間がかかります。大変です。
 健康コードは、コロナウイルス感染者と同じ飛行機の近い座席に座っていたりするなど濃厚接触者に対しては緑色から黄色や赤など別の色に変化します。

 PCR検査を受けて陰性であることを証明しなければ、あらゆる場所で「屈強な男」に阻まれることになるのです。
 外国人の健康コードの取得方法は後述する「HealthCodeTraveler」の申請方法の欄を確認してください。入国後ホテルに着いたらすぐに申請をする必要があります。

通信履歴から行動地域を特定する「通信行程卡」

 もう一つ、中国社会で求められるのが「通信行程カード」です。これは中国の国内線や高速鉄道、病院での診察の際に必ず提示することが求められます。中国国内にある無数の携帯基地局との通信履歴を管理し、コロナウイルスの感染地帯に行った履歴があるかどうかを管理します。

 ここで重要なのが、中国の電話番号(+86)が必要ということです。日本の電話番号はもちろん、香港やマカオ、台湾の電話番号、易博通(eSender)の一時的な番号も使用不可です。

中国の電話番号がなければ、病院の診察も受けられない

 中国から帰国する際、PCR検査の為私が病院に入門しようとすると、例のごとく「屈強な男」に阻まれました。通信行程カードを出せと。「持っていない、健康コードはある」と言っても聞いてくれません。事前情報で通信行程カードがないと病院に入れないという話を少し耳にはしていましたが、どうやらガチっぽいです。外国人病気になったら詰みじゃん。

 ただ、PCR検査に行くと言ったら入門を許可をしてくれました。どうやらPCR検査が通信行程カードに傷がついた時の解除条件のようで、提示せずとも大丈夫のようです。しかし中国の携帯なしでなんで俺を中国に行かせたんだ会社よ。

外国人帰国者向けPCR検査をしてくれるサンテック病院。
日本語対応も充実している。素晴らしい。

短期渡航者用健康コード「HealthCodeTraveler」

 中国国内で短期渡航者が生きていくためには、HealthCodeTravelerを使用する必要があります。作成にはパスポート番号、入国時の便名、飛行機の座席番号など、詳細な情報を入力する必要があります。
 ちなみにこれは入国時に必要な健康コード中国税関出入国健康申告書とは別物。入国前にも散々QRコード作成のために記入した上に、入国後にはさらに記入しなければならないわけですね。入国前のグリーン健康コードについては情報が多くありますが、入国後に関してはろくに情報がないという地獄。

 中国の現地の人たちは後述する上海の「随申码」などのような中国各地それぞれの健康コードを使用しますので、空港職員やホテルからの説明はありません。だけど、ホテルに着いたらすぐに申請しなければなりません。
地獄。

HealthCode Traveler。緑色のQRコードが保有者の健康を証明する。

HealthCodeTravelerの申請方法

 2通りの利用方法があります。登録は片方からだけで良いですが、利用する際は必ず両方の手段でアクセスできるようにしてください。パスワードを間違えるとその手段からは15分ログイン不可になるためです。逆に言うとログイン不可になってももう片方の手段でアクセスすれば利用できるあたりガバガバじゃねえか

  •  支付宝(Alipay)アプリからアクセスする
    Alipayアプリを起動し、上部の検索欄に「国家」と入力してください。「国家政務服務平台」というアプリが出てきます。HealthCodeTravelerというボタンがありますので、それを押した後、「Resister an account」から登録を行ってください。

  • アプリ「国家政務服務平台」からアクセスする            AppStore/GooglePlayで「国家政務服務平台」で調べてください。

ホーム画面の国家政務服務平台。というかそもそも中華アプリにジャックされていることが分かる。

 こちらもアプリを起動すると、中央左に「HealthCodeTraveler」というボタンがある。外国人はここから登録および利用を行うことになります。

iPhoneアプリ「国家政務服務平台」

現地民が使う健康コード「随申码」

 「ずいしんま」と呼びます。上海の人達用の健康コードのことです。これを取得するには中国の携帯電話番号(+86)や中国の身分証番号が必要になります。HISさんの公開してる資料では随申码の登録方法が書いてありますが、登録するには中国の電話番号が必要です。必然的に短期渡航の旅行者や出張者は使えません。前述のHealthCodeTravelerを使ってください。


中国渡航・中国依存ビジネスは辞めよ

 上述したのは中国で生活するのに絶対必要な2つのQRコードですが、入国時、出国時はPCR検査結果をもとにまた別のQRコードを発行する必要があります。申請祭りです。当たり前ですが今の状況では中国に行くことはおススメしません。短期渡航するためだけでも、携帯電話が必要なのですからそしてこれはコロナが明けても終わらないのではないかと思います。通信履歴の管理は中国政府としては続けたいでしょうから。

 あなたが企業の中核で働く人であれば、従業員の中国渡航が必要な業務があるとしたら見直しをされることをオススメします。その遂行には膨大な金銭的・労務コストがかかります。トラブルも多くあるはずです。中国社会は大きく変わっています。少し前の情報は当てになりません。

 確かに中国は経済成長をしていますが、そこに乗っかるより、身近な所でビジネスをする方がずっと楽です。

日本はとてもいい国ですよ。

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