enPiTはいいぞ
この記事はenPiT2021を受講した生徒によるレポートです。最終レポートなのに外部公開ブログ形式でもいいという、なんともenPiTらしい課題なのでレポートを書きつつぜひklisの皆さん、限らず後輩の人たちにこの授業を強くお勧めしたい!!役に立ったらいいな!!!という思いで書きます。
enPiTはいいぞ!!!
enPiTとは
去年まで文科省PJTだったそうです。学生同士で困りごとを持ち寄り、チームを組んでその課題を解決します。その過程でアジャイル開発のフレームワークであるスクラムを学びます。
素早く、楽しく、人と協働しながら問題に立ち向かう力を身に着ける授業だと思いました。
私は誰
名前:あざみ
所属:筑波大学情報学群知識情報•図書館学類3年(2022.3現在)
写真と旅行が趣味な大学生です。ちょこちょこと勉強したことはありますがあまりプログラミングができません。それでもなぜかテクテクしたことが好きで触れ続けています。
詳細は省きますがプログラミングすること自体をメインにしたくない、でもプロダクト作りに関わりたい、と思っていてアルバイトで制作ディレクション•グロースをやっています。こんな思いを持っているひとにはenPiTが刺さりやすいような気がしています。私は刺さりました。
中高の時に、少しだけロボットコンテストをやっていました。ひたすら個人開発、ウォーターフォールな開発でひたすら辛く、 もうこんな世界ならテクテクしたことはやらない!!って思っていました
なのに今情報系にいます。どうして…
春学期•夏合宿:魑魅魍魎
はじめは、院生4人と学部生2人の混成チームである魑魅魍魎でスクラムマスター(SM)をやりました。
正直このチームで前半活動できたのは本当にラッキーだったと思います。この院生の皆さんが手練れだったので、miholovesq先生の怒涛の講義を聞いた後すぐに、スクラムの美味しいところをたくさんみれたからです。
価値検証をしよう
matagikiという、enPiTコミュニティの人にランダムに、ラフに質問することのできるSlackBotをつくっていました。これをWOz法で始めたのは最初の衝撃だったと思います。プロダクトの体験をいかに早く届けるか、FBからいかにして成長させるかという体験をして、いたく面白いなとおもったことを覚えています。
スクラムフレームワーク内でプラクティスを改善できるようにすることで、その責任を果たす
スクラムガイド2020にある、SMの役割についての一文です。SMって、始めは本当に何をするロールなのかが分かりませんでした。(今も掴み切れてはいません)。そこで改めてスクラムガイドを読んだ時に、私はとにかくここに注目しよう、と決めた一節です。スクラムというフレームワークを理解しないと始まらないので、よくよくスクラムガイドを読んだ気がします。これが後にとても効きました。
完全にはこちら
効果的に見せよう
魑魅魍魎はとてもよくレビューの準備をするチームでした。5分しかないレビューの中でいかにもらえるFBを最大化するかという準備に余念がありませんでした。今にしてみれば当然では??という感じがしますが、これも結構衝撃的でした。初めの頃の、"開発をする授業だ"という認識だといかに機能を実装するかという方向にしかフォーカスできません。しかしこれは、機能をひたすら追加していくことを学ぶのではなく、どんな体験を作るのかということを常に考えるべきなんだなという認識を強くしてくれました。
また、レビューやプレゼンは自己満では終わっていけないもの第1位に据えれます。本当に、ただ喋ればいい物ではないということを痛感しました。第一に体験してもらう、自分達が欲しいフィードバックをもらうために、体験について効果的に伝える、それについてしっかり準備をする。これらも立派なプロダクトづくりに必要なプロセスであるとおもいました。
お兄さん方にいろいろ教えてもらえて、本当にいいチームでした。一方で、学部生仲間が離脱してしまうことをきっかけに、学びに再現性をもてるのか試したい、魑魅魍魎はうまくいきすぎたので同じ初心者と一緒に失敗して乗り越える体験をしたい、自分の興味からいうとPOもやってみたいなと思い、しなしな撲滅委員会(仮)に移籍しました。
受け入れてくれてありがとう!!!!
秋学期:ななしの一画獣
しなしなからななしの一画獣に一新しました。
余談ですが、このネーミングは先生のお名前を使わせていただいてます。リスペクトのあまりとはいえ、笑って許してくれるなんてありがたいです
読むかわかんないけど感謝と一緒に、ひとりひとりについてメンションします
m.nagasawa(SM)
一緒にあふあふ言ってくれてありがとう。
チームにとって何をするともっと良くなるだろうを積極的に実行に移してくれる人でした。ムードメーカーだし、凄腕デザイナーで、ミームの大量生産でした。人を嫌な気持ちにさせることなく、さっぱりと言うべきことをしっかり言えるところをとっても尊敬してる。
mutton
チームへのベストコントリビューター賞をあげたい。
チームの議論が深まったのは、muttonがいるからだと思います。いろんな視点から、気づいたことや思ったことを言って深めに来てくれました。開発だけでない、全ての場面でいつも真っ先にやるよ!!って言ってくれてすごい
ささいとう
デプロイ担当大臣の給与にちゃんと税金払いたい。
開発したいって気持ちをずっと言ってくれて、チームのエンジンになっていました。ナナシへの貢献が本当にすごい。考えた末の意見がいつもすごいなと思っていて、困ったらときどき顔見ちゃってごめんね頼りにしてた
michi
実は圧倒的可能性を感じている。
いつもはhogefugaなことを言っていたけど、チームで何か活動しているときは常にできることを探してやってくれていたし、大事な時にみんなに勇気をもって問いかけてくれてた。michiがいないスプリント寂しかったヨ…
秋に作ったプロダクト
他の人も書いてくれているから、ザクッとした説明を。
プロダクト名:ナナシ
EVP:ナナシは、 チームの名前をつけるのが難しいと言う課題を解決したい
初対面でコミュニケーションを円滑に取りたいチーム向けのアプリです。
これはチームだけのバズワードを作り出すために遊ばせることによって ボードゲームやワード生成サービスとは違って チーム内だけで伝わる意味の共有をしてアイスブレイクを実現できます。
チームの名前を付けるのって難しくない??から始まって、それってアイスブレイクがうまくできてないからなんじゃないか?? って深ぼってたどり着いたプロダクトでした。
プロダクトの学び
初めは、勇気をもってしっかり話そう
プロダクトについて、特に、自分達が解く問題はなにか?についてしっかり話す時間をとってよかったと思っています。正直最初のスプリントはずっと話し合ってて焦りました。。
とにかくつくるとこから始めよう
仮説・プロトタイピング・話し合いの比重が、初めのフェーズはとても多かったです。miroで体験を観察してみたり、仮説をいろいろ立ててみたり…結果として確からしいことを着実に積み重ねたために、最後の追い上げでもブレずにやってくることができましたが、どんどん作るようになって、プロダクトの上で体験してもらう方がよっぽどわかることが多かったです。プロダクトの体験はプロトタイプや紙芝居に勝ります。
実際ユーザーは何を体験するのか?
解こうとしている問題(アイスブレイクをしたい)に対してななしが選んだアプローチが楽しくしたい、というふわふわした方向だったというのもありますが、後半のレビューでは結局このプロダクトはどうしたらいいの?説明ありきなら使えるけど…のというような声を本当に多くききました。終盤これはまずいと思ってユーザーストーリーを改めてつくったことで、チーム全員でこのプロダクトが提供したいユーザー体験について共通認識をもち、ぼんやりとしていた形がはっきりしました。
チームの自慢(学び)
デプロイ会議がある
デプロイ担当大臣(ささいとう)という、デプロイに責任を持つ人を任命していました。毎回POとデプロイ担当大臣で、2人でデプロイ会議をしていました。具体的には、このスプリントでやったPBIについて、完成の定義をちゃんとみたしているだろうか?ということを確認していました。こうすることによってレビューでは常に動くプロダクトをみせ、スプリントで提供したい価値をしっかり見せることができていました。
これをやろうとしたきっかけは、スプリント中になんとか間に合わせた機能を実際にデモで動かしたところ、デモ中に仕様上のミスがみつかってしまったからです。スプリントで提供したかった価値をしっかり見せられなかったことに反省があり、改善したのめっちゃ偉い
素敵なレビュー設計
よいFBをもらうためのレビュー設計もとても工夫しました。
チームのアイスブレイクプロダクトなので時間外レビューをたくさんとり、しっかりアイスブレイクをしてもらう時間をとっていました。Slackで参加者を募る文章から真剣に考えていました。スプレッドシートに質問をまとめていて、レビュー後に記入してもらうことで確実に欲しいFB を集められるように工夫しました。
毎回のスプリントレビューでは5分しかないので効率的にやるために事前にしたい質問を用意することと、EVP,スプリントゴール、プロダクトURL 、Miroをまとめたテンプレをもっていてレビューの時にパッとみてもらえるように出すことを徹底していました。
FB → 仮説 → PBI
集めたFBをどう活かすかも大事にし、工夫しました。ロングレビューなどでは特に、フィードバックをチーム全員でみてまとめ、そこから仮説を立ててみることや、ロジックツリーのように仮説からブレイクダウンする方法で検証するためのPBIを作成しリファインメントに活用しました。こうすることで何が検証でき、確からしいかを着実に積み重ねていけました。
スクラムイベントのパタン化
ななしの開発方針というブランチの切り方・コミットメッセージ、課外活動の進め方・レビューの進め方を明文化したものをmiroにでっかく貼っつけていました。逐一見ることは実際なかったですが、つくるということに意義がある気がします。みんなでこれを作成したことで、同じ開発方針を持つ意識が徹底されていました。
休憩も積極的にとりました。全チームの中で一番徹底してしっかり休み時間をとってた気がします。
ななしミーム
もぐもぐ:考え中でも無言にしない
ダメー :明るくツッコミ
アグリー:気を遣っている感なく合意
驕りと怠慢 : 学びが尽きてきているかもなどと驕ったことを思った時
などなど。ななしのなかでよく生まれるコミュニケーションは独自のミーム化されていました。共通言語があると仲間感が強くなるし、ななしのコミュニケーションの活発さがここに現れました。
オンラインとオフラインのハイブリット
3F817をよく借りていました。最初の頃は来ても来なくてもいいという姿勢をみんなで良く話し合っていましたが、結局心配しなくても今週はいかない、行くを個人の判断でできていました。これ実はとても素敵なことだったんじゃないかと思っています。オンライン/オフラインどちらの人もいるスプリントでもモブプロの班を分けたり、マイクの付け方を工夫するなどしてうまいことできていました。
重すぎるmiro
miroが本当に重かったです。それくらいmiroをフル活用していました。付箋をたくさん使ってなんでも残しましたし、振り返りの量が半端なかったです。ステキ
個人の学び
PBIをうまく切り出すと幸せになる
PBIが大きすぎると地獄をみます。途中までのななしはPBIが大きすぎてベロシティが見合っておらず、うまくできなくて病むメンバーがいたりしました。当事者意識がつよいあまりに…
だからこそ、PBIを小さく切り出す練習を意識しました。こうすることでうまく収まるように価値を産むことができ始め、幸せになれました。もっと小さくちょん切る、大事。
MVPを考えるの大事
ユーザーに必要最小限の価値を提供する、最短で見せるというのは、ロボコンが起源である自分にとっては衝撃でした。全部完璧に作っちゃうのは手戻りが大きいし検証には必要がないのか、そうか…
MVP,MVPとななしではよく言っていました。意識していたつもりですが、本当に実践できていたか、賢く最短を見つけられていたか、もっと試したかったです。
北極星との付き合い方
ナナシの北極星はどこにあるの??という議論がチーム内でとても多かったです。名前を決める、なのかアイスブレイクなのか、究極仲良くならなくてもいいのか..最初に決めた北極星が揺らぐこともありますよね、これをどう据え直したり、大事にするのか、いまだに答えがありません
スルメイカのようにスクラムガイドを読む
スクラムにハマり、いろんなプラクティスを試したりできるようになってくると疑問に思ったり、これってなんのことだっけ?って思うことがたくさん出てきました。何度スクラムガイドに立ち返っても発見があります。私はよくスクラムガイド2017を見ます(2020よりも開発寄りだから)
スプリントゴールは重要です。
とは書いたもののちゃんと実践できていたわけではなく、これは反省です。
このスプリントで生み出そうとしている価値はなにか、開発チームだけでなく、レビューを聞いてくれる人などにとっても大事なものです。今回採用するPBIを集めてなんとなくスプリントゴールにまとめる、みたいなことばっかりしていました。完全に悪いわけではない気もしますが、もっとより良いスプリントゴールの活かし方があったと思います。
他のチームのいいところをどんどんもらう
「学ぶ」は「真似ぶ」だといいます。私にとってこの言葉は印象的で、だからこそ周囲の人の良いプラクティスがとても気になります。enPiTレポートを参加前に読み漁ったこと、他チームにdiscordに混ざってみる、テキストチャットを読めるだけチラ見するなどしていいところをたくさん応用させてもらいました。これが嫌われる界隈も多いですが、enPiTでは歓迎されて嬉しかったです。良いことはどんどんやっていきたい。
しかし一方で、自分達には合わないなといったものもたくさんありました。面白いなと思います。各チームでこんなに毛色が変わるんだなと思いました。
(少なくともななしでは)POは孤独でない方がいいと思った
初めの頃、PBLの順番や発散してしまった意見がスプリント中にまとまっていなくてPOだけ離脱してリファインメントしたりしました。が、こうして離脱してしまったりすることを本当にやっていいのかと悩んだりもしました。また、自分がどういった判断でこうしたリファインメントをしたのかなど説明し、叩くといった時間も結局かかってしまったり、やり切れなかったりもしました。結局独断になっていないか悩んだり…私たちのフェーズ(全員スクラムビギナーである)からすると、POは孤独すぎない方がいい気がしています。全員でレビューをまとめる、意見を交わす、リファインメントをするがまわり初めてからがとても楽しかったです。
本やRSGTで学んだことはアウトプットしたい
RSGT2022にStudentパスでいかせてもらったり、自分の向かいたい進路がはっきりしてきたので本を読んだりするようになりました。たくさん良さそうな知見がある中で、自分の身になっているかはインプットしただけだとあやふやです。RSGTで聞いた直後に先輩に壁打ちする、本で読んで良さそうなことは実践してみるをやっていきたいなと思っています。
このコミュニティが好きだ
enPiTは素敵なコミュニティでした。Slackのtimesと実況がとても好きです。自分のちょっとした呟きや疑問にみんなが寄ってたかって知見をくれます。豪華な教員やメンターの皆さんにこんなに気軽に質問ができるなんて贅沢な…
最高です。
前進する勇気を持つ
反省点ですし、今年の目標です。
POとして着実に検証を積み重ねたいという思いがありましたが、もっと勇気をもって決断すればよかったと思うこと、自分達のやってきたことに自信を持つことがなかなか足りませんでした。最後の最後に決断ができてよかったと思いますが、追い上げるといった開発になってしまったのはちょっと、大分、反省しています。元々結構臆病になるタイプですが、根拠を持って決断する、不要な疑いを持って躊躇をしない、自分達がやってきたことに自信を持つ、根拠をもって勇気ある選択をする、これらのバランスを取れるようになりたいなと思っています。
誇張じゃなく本当にenPiTで人生かわりました。大学に入って一番とってよかった授業です。
教員•メンターの皆さんや、同じ受講生のみんな、特にチームメンバーにとても感謝しています。
ありがとうございました!!!