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(5)「いいレンズ」を選ぶ方法とは?


「いいレンズ」はどのようにして選べばいいのか。たとえばレンズを購入するときに、どこを見て、なにを基準にして選べばいいのだろうか。

「いいレンズ」を選ぶには

 いいレンズを選ぶ方法、などと大上段に構えてはみたけれど、はっきり言ってそれは大変に難しい。使ってもみないで購入するとなるとなおさら難しい。
 レンズ以外に「試し使い」もせずに購入している(せざるを得ない)製品は多いのだが、レンズは描写性能など多くのチェックポイントがあり、それらを確認し納得して購入したい製品の筆頭ではないかと思う。

 「いいレンズ」を見つけるベストな方法は、実際に自分で操作して、撮って、写った画像を見て自分の評価基準(良い悪い、好き嫌い)に沿って判断するしかないのだが、それができない。

 いま現実に、購入候補のレンズがあったとしても、その写り具合を自分で実際に確かめてみることは容易ではない。たとえば、購入希望の新品候補レンズが2本あったとしても、それを手にとって、実写して、画像チェックすることはできない。
 新品レンズの化粧箱を開けてレンズを取り出して試写させてくれるカメラ店なんてどこにもない(はず)。

「試し撮り」できたとしても・・・

 新品レンズが入った化粧箱には封印シールを貼って無闇に開封できないようにしているメーカーもある。いまの国内のカメラ店では、レンズを購入したユーザーだけが開封して、そこではじめてレンズチェックができるのが一般的。

 しかし海外の一部の国ではそれが可能だという話を聞いたことがある。
 新品レンズの外観チェックはもちろん、試写することもできるそうで、気に入らなければ購入しない。箱から出して使ったわけだから「使用品≒中古品」となり、そのままメーカーに返却される。「またチェックして再梱包するわけですから、いやあ困ったもんです」とあるメーカーの人が言っていた。

 話が横道に逸れた。
 運良くサンプル品の試写用レンズがあって、ごく短時間チョイとカメラ店内で試写できたとしても、レンズの本来の性能がどこまで判るかは疑問だ。それに、少し撮影チェックしただけでレンズの性能の良し悪しを見きわめられるほどの眼力が誰にでもあるかどうかも怪しい。
 では、どうすればいいのだろうか。

まずメーカーのレンズ仕様表を読み込んでみる

 レンズメーカーの品質を信頼するか、ネット情報や雑誌記事での評価や画像チェックするか。あるいは友人や知人が使っていてその感想を聞いて判断するかなどして購入を決めるしかない。

 雑誌などの評価記事については、傾向として「欠点や悪い点」はストレートには書かないという暗黙の約束があった(忖度というやつかな)。とくに最近の国内カメラ雑誌記事などは ━━ そのへんについては皆さんのほうがよくご存じだと思うし釈迦に説法になるが ━━ レンズの評価記事というよりも「紹介記事」として読んで愉しむのがイチバンよい。
 とはいうものの「レンズの良い点」についてはしっかりと書いていることもあるので(著者にもよるけれど)レンズ購入時の参考にはなるだろうが、なかなか決め手にはなりにくい(経験者的超個人感想)

 裏話は横に置いて、さて、レンズ選びのまず手始めとして、メーカーが発表している各種の公式データ(たとえばレンズの仕様表やMTF曲線図、レンズ構成断面イラストなど)を調べてみることだろう。

 以下の表と図はニコンのホームページに掲載されているものである。おおむね各メーカーともこの3つの表と図は公表されていてホームページなどに掲載されている。

ニコン「NIKKOR Z 50mmF1.8 S」の仕様表。
各項目はメーカーによって表記名称は異なるが「中身」は同じなので他メーカと比較しやすい。
 
ニコン「NIKKOR Z 50mmF1.8 S」のMTF曲線図。
レンズのコントラスト特性をグラフ化したもので、ここから解像力も(少し)わかる。
ニコン「NIKKOR Z 50mmF1.8 S」のレンズ構成断面イラスト。
使用している光学レンズがどんな種類をどのように配置しているかを示したイラスト図。


 次回は、3つの表や図の中から、まずレンズ仕様表の項目について、できるだけ丁寧に ━━ ベテランにとっては話がくどくなるかもしれないけど ━━ 解説を始めていく予定。MTF図などの見方、読み方はその後で。


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