(6)レンズの仕様表を読み解く
第6回
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前回(第5回)の補足
読者の方から頂いた情報。
レンタルショップでレンズを借りて、使ってみて判断するという方法もある。レンズのもとの価格にもよるが安いものだと1日~3日で数千円ぐらいでレンタルできるようだ。地方への発送も可能なところもある。短期間の使用でどこまで判断できるかわからないけど、こんな方法もある。ショップをネット検索してみるとたくさんヒットした。
また、富士フイルムやペンタックスなど一部のメーカーでは、ショールーム窓口の受付でもっと低価格または無料でレンタル(試用)できるサービスがあったが、いまでもおこなっているのかどうか、そのへんは未確認。
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さて「いいレンズ」を手に入れるためには、どんな情報を見て、読んで、聞いて活用すればいいのか。いろんな方法はあるけれど、まずはメーカーが公表しているレンズの諸元表(仕様表)を読み込んでみることだ。
「いいレンズ」を選ぶための手がかり
そこで、まずはメーカーが公式に発表しているレンズの仕様表(スペック表、諸元表)に記載されている項目をじっくり読んで比べてみることから始めてみたい。
候補レンズを実写しチェックてみるのがベターなのだが、現実には不可能に近い。そんな話を前回にした。
公表データーからレンズの性能を推測し想像し、他のレンズと比較する。レンズの大きさや重さ、最短撮影距離、レンズ構成、フィルター径などなどの公表されているレンズデータを読み込んで、ときには他のレンズと比較チェックしていくのもいいだろう。
もちろんレンズ仕様表を読んだだけでは、かんじんのレンズの描写性能まで判断することは難しい。しかしメーカーが公表しているレンズ情報には結像性能の一端を示したMTF図とよばれるグラフや、光学レンズの配置断面図のレンズ構成図(イラスト)なども併せて表示されていることが多い。
MTF図を見ればそのレンズの描写特性や性能の一部が判断できるのだが、それを見て理解するには豊富な光学知識が必要だ。MTF図については後で詳しく説明するとして、まずはレンズ仕様表の基本的な読み方やチェックすべきポイントを解説していきたい。
レンズの仕様表を読み解く
仕様表は各メーカーによって記載している項目や名称、内容が多少異なるが、おおむねどのメーカーも表記している基本の項目は同じ。
レンズの焦点距離や開放F値などのほかに、
「画角①」
「レンズ構成②」
「最小絞り値③」
「最短撮影距離④」
「フィルター径⑤」
「最大撮影倍率⑥」
「絞り羽根枚数⑦」
「最大径×長さ⑧」
「重さ⑨」
「付属品⑩」
「その他⑪」
などなどである。少なくともこれらざっと10数項目の記載はある。
仕様表はカタログなどのほかメーカーのホームページの製品紹介ページで公表されている。まずここを見てみることをおすすめしたい。
次号から「レンズ仕様表の読み方編」をスタートするが、そのホームページに掲載された仕様表をもとに話を進めていく予定。
冊子になったカタログにはメーカーが発売しているすべてのレンズが一覧表になっている。各レンズの仕様を比較するのに便利であるが、文字が小さく読みづらい。
その仕様表の項目の名称はメーカーごとで異なるうえに、表記もじつに素っ気ない。カメラ・レンズ初心の人たちにはわかりづらい専門用語もある。さらに困ったことに、どのメーカーとも項目内容についての解説もほとんどしていない。
もしメンドウでなければ、併せてレンズの「使用(取り扱い)説明書」のPDFをダウンロードしてチェックするのもいいかも。購入したユーザーでないと知り得ない製品(レンズ)の情報や解説をしているものもある。
なお、仕様表や取扱説明書のデータ記載項目の内容については、CIPA(カメラ映像機器工業会)が会員である各メーカーが話し合ったうえで「デジタルカメラの使用に関するガイドライン」として細かく決めていて、それに沿って記載されている。
ただし、ほんらいは各メーカーともこのガイドラインに準拠して記載することになっているのだが、強制力がないためメーカーによっては「独自方式の表記」をしているところもある。
詳しく読んでいくにはやや専門的な知識が必要な部分もあるが、メーカーのカタログ記事や仕様表はこんな約束をして記載されているのか、ということが少しはわかると思う。
さて、次回からは仕様表の1つ1つを具体的に解説を始める。
①画角について。
知っていることも、(たぶん)知らないことあると思う。なーんだ、そんなこと知ってるぞ、と言わずに。