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読後独語_01「私の身体を生きる」 

2024年5月30日 第一刷発行
発行所:文芸春秋
発行者::花田朋子
著者:島本理生、村田沙耶香、藤野可織、西加奈子、鈴木涼美、金原ひとみ、千原茜、朝吹真理子、エリイ、能町みね子、李琴峰、山下紗加、鵜飼茜、柴崎友香、宇佐見りん、藤原麻里菜、児玉雨子

ぐわんぐわんぐわわ~ん・・・・
大聖堂の鐘の音が
身体中をかけめぐるような
重く低い衝撃波

そして、その奥に生温かな体温を感じる

なかなか、言語化されていかない
重苦しい感情が今も響いている


結婚して自分の姓が変わった頃からかな…
いやいや、もっと前だ

初潮を迎え、自分の身体が変化してきたころから
ずっとぼんやりと感じていたこと

そのぼんやりしたものが
次から次へとキッパリと
そして明確に言語化され
その稜線が刃物のように際立っていくような

そんな感覚を味わう
貴重でかつ
素晴らしい読書体験だった


妊孕性を抱えながら
性加害が絶え間なく起きている日本社会を
サバイヴしてきた17人の女性作家たち

彼女たちは、間違いなく 私の仲間だ

この連帯感のようなものを表す言葉が
すぐには見当たらないけれど

こんなとき、女性たちはそっと相手にハグするのだろう
私もこの文章を書いたひとりひとりとハグをしたい
もう、言葉で表現するには、どれもこれもたりない気がするのだ


そしてもうひとつ
強烈に感じる疑問

この国に住む、
「孕ませる側」の人のうちの何人が
この本に書かれているような女性の思いに
想像を巡らせることができるのだろう

作者は17人
そのほとんどに、性被害経験がある

わたしにもある

わたしは、もうすぐ50代にあがろうという中年だが
わたしの年代の女性は
(もちろん育った地域にもよるだろうが)
ほぼほぼすべてが、何かしらの性被害を持つ

わたしがこれまで出会ってきた女性に限定した
「わたし調べ」によれば
40代女性の9割五分は、過去に性被害経験を持つ(キッパリww)

日本で普通に暮らしてきた
多くの女性が
ランドセルを背負う程小さな頃から
身の毛もよだつ恐怖や嫌悪を経験してきている

そして、その経験は
決して一過性のものではなく
現在の生活や思考に、
身体の奥底から影響している

その事実を
日本人男性の何割が理解しているのだろう

例えば異性の親友
例えば彼氏
例えば夫・・・
ステディな関係性を作ることのできたパートナーに
こうしたことを語ると


大半の男性は

「あなたの言動にも問題があったんじゃないか」
「ほんとにそんな事あるの?」
「今はそんな話聞きたくない」
「僕には何の関係もない」
そんな言葉を、平気で返してくる
それが、どれほど傷をえぐり返すかもわからずに・・・・。

どうかどうか
ここまで読んで下さった男性には

ほんのすこしでも想像して欲しいと思う
理解して・・とは思わない
だって彼らにその苦痛を理解することなんて
できるわけがないと思うから

だから・・・

せめて
ほんの一瞬でも
想像して欲しい

心で感じて欲しい
ーーーこの理不尽を

そして
共に、怒ってほしい
共に、声をあげてほしい

ただそれだけを願う



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