【衣装・ヘアメイク】ひみつうらない?【あとがき④】
こんにちは、劇団美辞女(みじめ)のベリヨです。写真はこの間更新した免許の写真です。言い訳をすると、不意打ちでした。
今回は『ひみつうらない?』を振り返りながら自分なりの衣装やメイクへのこだわり・決め方・集め方を紹介したいと思います。誰かの参考になれば嬉しいです。もしくは私にアドバイスください。
かなーり詳細に書きますのでちょっとずつ読んでねグーググーググーコー。
前回、前々回でキャストの紹介をしてますのでそちらも是非。
参考までに今までの公演のキャスト集合写真です。衣装だけで劇の雰囲気が伝わると嬉しいです。
↑2017年 損得個展 @ひつじ座
↑2019年 まるごと全部愛してね @てあとるらぽう
◆衣装について
私には衣装を決める上で大切にしている3つのことがあります。
①役者の体型と合っていること
②衣装らしくあること・見分けがつくこと
③機能性が演劇に適していること
それぞれをひみつうらない?に当てはめてご案内していきます。
①役者の体型と合っていること
人にはそれぞれ似合う服・似合わない服があります。写真の二人はいずれも「こんな衣装似合うだろうな」から生まれたキャラクターです。
(左:マタハル 右:犬月茶髪)
ショートヘアーの似合うマタハルさん。前回公演では化粧っけのない保育士の役。迷彩柄のシャツにエプロン、ベージュのチノパンというクソつまんねぇ格好でした。しかし、今回は思い切って腹出しパンクスタイルに挑戦。実はすごくスタイルがいいのに、埋もれてるのもったいないなと思ってたので「腹出しいけます?」と聞いたら「へそから上だけなら…」とOKいただきました。やったぜ!私は自分が太っているので、痩せてる人には痩せてる人にしか着れない衣装を着てほしいといつも思ってます。(あのド派手なピチピチパンツも高瀬さんじゃなきゃ無理だ。)
女性なら言葉くらい聞いたことがあるかもしれませんが、マタハルさんはいわゆる”骨格ウェーブ”です。骨格は大きく3種類。ストレート・ウェーブ・ナチュラルがあります。私は勿論骨格診断のプロではないので参考にした動画をご紹介します。男性もタメになると思いますよ。
結論から言うと、骨格ウェーブのマタハルさんは上半身がタイトで下半身のシルエットをごまかせる服が最も似合います。腹を出さない手はないですね。ちなみに朝梨ちゃんのパンツはH&Mのマムルーズフィットツイルパンツというものです。(もう売ってなかった…。)とにかくハイウエストで、足のラインが出ないもの、そして足首にかけて絞られたシルエットのものを探しました。股上が深く、下っ腹を隠すことが出来ます。ウェーブは下半身が大きく見えやすいので、パンツなら脚長効果があるハイウエストタイプ、スカートなら逆にタイトスカートが似合うと思います。
マタハルの進化前と巷で噂のナルミさんもまごうことなき骨格ウェーブです。Aラインのスカートが似合いません。前回はハイウエストで大きめのデニム、今回は黒のタイトで細見せを狙ってます。靴もヒールに高さがあるものが好ましいです。トップスの丈感もとても大切で、ウェーブの方は短め丈の方がスタイル良く見えます。サイズも必ずピッタリでダボダボ禁止。
ちなみに、私と木月氏は骨格ストレート。上半身が厚めで膝下や足首は細いという特性があります。故に細めのところがちょうど出る丈のスカートやガウチョパンツが似合います。ロングスカートは似合いません。首が短めなのでハイネックや襟のつまった服もNG。胸の位置が高いのでダボッと落ちる服もNG、ウエストマークしたほうがいいです。肘~手首もでている方がスッキリ。
茶髪さんの私服がクソダサいことは以前も書きましたが、スタイルは悪くありません。茶髪さんの希望でYシャツは半袖の予定でしたが、長袖をまくってるほうが絶対にシルエットが綺麗だから!と強制的に長袖着せました。スーツなど生地に張りがあるものはサイズが大きいと最大公約数的シルエットになり、太って見えてしまいます。今回はベスト背面のアジャスターを極限まで絞ってウエストが細く見えるように気を使ってました。
瑛紀さんはめちゃめちゃ着痩せするタイプで、足がめちゃくちゃ細いです。(ここだけの話、瑛紀さんにはおっぱいがあります。)キオスクの店員さん感がなくもないカラフルシャツはオーバーサイズに。スキニーパンツはぎりぎりまで細いやつをピロゲに借りて美脚アピール。
体型分析の大切さが伝わったでしょうか。お痩せのみなさん、腹や足を出して行きましょう。自信のない人は自分の強みを知りましょう。
②衣装らしくあること・見分けがつくこと
あなたならこの恰好で電車に乗れますか?私は恥ずかしいんで無理です。私にも恥ずかしいという概念はあります。衣装らしくあることとは言い換えると私服に見えないことです。劇の世界観を作る上で、情報として視覚に最も作用するゆえに衣装が衣装たることはとても大事。この中に全身ユニクロの人がいたら違和感がある…くらいでちょうどいいと思ってます。
「え?この二人普通に私服っぽくない?」と思われる方もいるかも知れません。左の三角くんで言えば、こだわりは古着感とジーンズの色の明るさです。男性キャスト編でもお話しましたが、洋画の主人公のようにしたかったのでスカイブルーのジーンズをわざわざ茶髪さんに借りました。そして、シャツイン、コミカルなベルトも私服としては少々違和感があるかと思います。なにより、このオレンジのジャンパー。主人公のトレードマークって感じでしょ。そして右方、純彦の衣装はぶっちゃけほぼユニクロです。ポイントは手元。漫画家志望の純彦くんのアイデンティティ・手首サポーターです。ダイソーで片方100円でした。このサポーターが純彦のキモータたる絶妙なダサさを醸し出している。ちなみに、二人は兄弟なのでジーパンシャツインで統一感を出しました。
もう一つ、衣装を衣装たらしめる大切な要素がアクセサリーです。上の写真は左側は服だけ、右側はアクセサリーまですべてつけてます。普段の服以上に衣装の場合は「襟が開いてたらネックレス」「手首が出てるなら時計かブレスレット」「耳が出てるならピアス」更に女性の場合はネイルも大事です。眼鏡キャラには眼鏡チェーンがおすすめ。なかなかしてる人居ないので、衣装感が出ます。男性は腕時計のタイプで貧富の差が出しやすいですね。指輪はダンスで外れやすいので気をつけましょう。ヘアピン・ヘアゴムに至っても小劇場だと結構見られてますよ。
髪型も大事。衣装が気合入ってるのに髪の手を抜きすぎるとアンバランスです。(逆に衣装がめっちゃ私服なのに髪だけめっちゃ編み込みしてる芝居とかもよく見る。)
普段サラリーマンの人が多いので無理強いは出来ませんが、髪色もできるだけ真っ黒になりすぎないように髪型も被らないように心がけてます。男性はヘアスタイルがかぶりがちなので前髪などで印象が変わるよう、見分けがつくよう気を使ってます。ちなみに大野さんから坊主の申し出がありましたがお断りしました。
見分けがつくことにこだわる理由は見てる人の情報整理のためです。キャスティングの時点から理由がない限り似てる人が集まらないように気をつけてますが、それでも人間の印象のパターンなんて限られてます。劇を見終わった後、多くのお客さんはキャラクターのことを名前ではなく特徴で覚えています。「茶色のスーツの人」「紫のでかい人」「カラフルなノッポの人」「ピンクのJK」「おさげの小学生」などなど。印象が別れていないと登場人物の整理が難しくなってしまいます。
簡単なのは戦隊ヒーローよろしくキャラクターカラーを定めることですね。今回は結果としてキャラクターカラーがあるような状態になってしまいましたが、ひねくれてる私はあまりその手法を使いすぎたくありません。気にし過ぎかもしないけど、もっとさり気ない印象操作をできるようになりたいのよ。
衣装たること・見分けがつくことにこだわった結果がこれです。見事に住宅街を歩いてはいけない集団が誕生しました。すれ違った人、怖がらせてごめん。
③機能性が演劇に適していること
これはもう簡単な話なのですが大切なのは動きやすいことです。そして、お客さんが余計なことに気を取られないこと。女性は特に、スカートが大変だよね。今回スカート衣装の3人は印象を分けるため全部タイプの違うものにしました。プリーツミニ・タイト・ロング。
美辞女では毎公演ダンスを入れてるのですが、衣装との相性を考えながら振り付けしてます。今回スカート衣装の3人がいるので足を上げるような振り付けは入れていません。もちろんしゃがむようなのもNG。舞台奥のイスに座るときだけ注意すればOKという感じでした。(ナルミさんは気にせずガニ股で座ってパンツ丸見えになっててウケました。)
あ~!エッチッチ~~!!!女性で絶対気をつけてほしいのは胸元です。襟の開いたTシャツなんかでかがむ演出があるとおへそまでベローンと見えちゃってる~なんてことよくあります。エッチで劇の内容入ってこなくなるだろ💢やめろ💢今回、ゲネでマタハルの胸元がやべぇことに気づいたので安全ピンでインナーとTシャツを止めてノット・エッチにしました。
その他にも「腕がノンストレスで肩から上に上がる」「裾を踏むほど長くない」「踊りやすい靴」「ハケで音がならない」「反射しない」「はだけない」「透けない」など私が書くまでもなく大切ですね。ちなみに私のこの衣装、足が広げやすいように左右に深いスリットを入れました。裾も踊りながら踏みそうだったので胸のところで折って縫ってます。母が。
また、機能性とは少し違うかもしれませんが靴下やタイツを指定する衣装は必ず複数提供すると決めてます。今回でいうとうららのルーズソックス、貴理ちゃんの黄色靴下です。理由は自分の足に聞いてください。私はいつでも役者の味方です。
◆メイクについて
続いてメイクの話に移ります。私は喪女ですがメイクが大好きで道具も沢山持っています。動画や雑誌で色々なジャンルのメイクの勉強もしてます。メイクで印象を左右するのは眉毛・目・唇・頬です。
眉毛は奥深い。垂らすか・吊るすかの2択だけではない。今回私は眉頭をくいっと上げて、困り眉を強調しました。眉毛の長さは短いと幼く、長いと老けた印象になります。私はおばさん役をやることが多いので長めに引くことが多いです。色も髪の色に合わせるのが基本ですが、あえて金髪に黒眉毛にして頭悪そうにするとかもテクニックです。必ずと行っていいほど毎回男性キャストの眉毛を私が処理してます。男性は眉毛の太さでかなり印象が変わるのでこだわりどころです。濃くすればもっさりした印象に、薄くすれば軽薄そうになります。また、眉毛のメイクは落ちやすいのでダイソーのアイブロウコートを必ず塗布しましょう。
アイメイクは基本女性にしか施しません。簡単ですが濃いと老けて、薄いと若く見えます。今回特にこだわったのはこの3人。左のうららちゃんは往年の辻ちゃん風の目頭にくの字にいれた白ラインがポイント。中央の朝梨はアダ●スファミリーよろしく目から放射状に広がるスモーキーメイク。マタハルさんのパーソナルカラーはおそらくブルーベース・冬なので黒だけではなく暗いブルーも使ってます。右の胡桃子は悪~い顔になるように鬼のつり上げライン。目尻からこめかみにかけてマスキングテープで養生してラインがはっきり出るようメイクしてます。かなり細かい話ですが中顔面(頬)が長いほうが老けて見えるので下まぶたにはあまりメイクしてません。逆にうららちゃんは目の下に沢山メイクして中顔面を短く・幼く見せています。
男性では唯一、純彦だけが目の下にクマをいれてます。些細なメイクですが健康的な三角と対象的な印象を与えます。
唇も主には女性です。色・質感・輪郭がこだわりどころ。宝塚のメイクの動画なんか見てると唇の大切さがわかります。”化粧してる感”がほしければ輪郭はっきり、色濃く・ツヤツヤよりマットの方がいいです。輪郭だけでいうと、唇の山をはっきり描くと大人の女性っぽくなりますね。また、上唇が厚いほうが女性らしいです。色はキャラクター性もそうだけど似合うかどうかも大切です。パーソナルカラーからあまり外れないよう気を使ってます。ナルミさんは青くて明るいピンク、私は暗い赤や茶色が似合います。
最後に頬です。頬は男性にも施してます。元子役設定の鎌倉には顔の内側にまんまるチーク。健康的な印象を与えたい三角には横長にオレンジのチーク。ファッションモンスターのアタルさんには頬骨に沿ってブラウンのチークを入れてオシャレ上級者感を出していました。
幼く見せたい時は顔の内側に丸く、老けて見せたい時は顔の外側に斜めに入れるのが鉄則のようです。チークは照明で飛びやすいので濃ゆめに入れております。
◆決め方・集め方
あらこの服、着てみたら意外と似合うじゃないの~なんて経験があると思います。しかし、役者10人で服屋を試着して回るのは想像だけで足が棒になる途方も無い作業です。私は普段の役者さんの私服の雰囲気やスタイルの分析からとりあえずこんな感じかな~というイメージまで頭の中でやります。そして絵に描いてみる。
奇跡的にメモ書きが残ってました。ちょっと面影がありますね。これは脚本を考えるために描いたものなので脚本編でまた詳しく話します。なんとなくのビジュアルイメージが出来てきたら着せ替えアプリで色合いなどを考えていきます。
こちらの画像は『モダリーナ』というアプリを使って作成しました。最終的な衣装とは結構違いますが、イメージの共有には便利です。こちらのアプリのすごいところは襟の形や袖のタイプ、服のシルエットの名前などがその場でわかることです。その後衣装を検索して探すのにめちゃくちゃ役立ちます。ただ、女性物しかないのが惜しいところです。
その昔はこんな感じで1キャラずつキャラクターシートを作っていたのですが今回はやりませんでした。いや、正確に言うと途中で挫折しました。台本のおまけにしたかったのですが…。ここで供養しておきます。
ここまでアウトプットが出来たらあとはひたすら探すのみです。
・私服提供
・フリマアプリ(中古は劣化に注意。複合検索をたくさん使う)
・ユニクロ(メジャーすぎないか注意)
・H&M(通販がオススメ。送料も返品も無料)
・Amazon
・Wish(到着するまでめちゃくちゃ時間かかる)
・古着屋
上記からとにかく血眼になって探します。めちゃくちゃ時間がかかります。特にフリマアプリ。服の形には名前がついてますが、出品者がその服をなんと形容しているかは博打です。
今回見つけるのが特に大変だったのは胡桃子のスーツと忍のガラベーヤです。(これガラベーヤって言うんだって)
胡桃子のスーツは「バブリー・派手・水色・柄物・水商売・キャバ・キャリアウーマン・昭和・レトロ・ダブルスーツ」などで検索しまくった末「キャバスーツ」というジャンルに当たる服でしっくりくるのを見つけました。
忍のガラベーヤは「紫・大きいサイズ・アジアン・インド・民族衣装」などで検索した末、ベリーダンスの衣装であるガラベーヤが良さそうだと気付き、やっとの思いで発見しました。私の場合サイズの問題もあるのでいい衣装を見つけるのは本当に大変です。
まとめ
こうして私なりのこだわり・研究と探求の末に衣装メイクが完成します。めちゃくちゃ長くなっちゃったけど、それだけ衣装メイクは奥が深いということで、これからも着目していただけると嬉しいです。アンケートでもかなり好評でした。ヤッターベ。記事を作るために昔の写真をたくさん掘り返してたら懐かしくなっちゃったので今日もおまけ写真をたっぷり載せますね。次回もお楽しみに。
テンキュー😘
ワタナ・ベリヨ
おまけ
ナルミメイク史。左上からヤンキー芸人・噛ませ犬ギャルOL・薄幸のフリーター・イキリ女オタク・悪の女社長
ベリヨメイク史。左上からひょうきんな赤ちゃん・恋する悪の女幹部・おせっかい大家さん・カリスマスタイリスト・強キャラの女将さん・弱気な大物占い師
ピロゲ…お前…劣化してるな…?(左:大学2年生ピロゲ)
器用の権化演出助手石井。朝梨の編み込み、貴理の三編みなどを担当。
みんなには内緒だぞ❤
うららの裏側。SASUKEのステージか?
青鬼の新作?
お客様!
自撮りっていうのがちょっとアレ
これがギリギリ街なかを歩けるライン(田原さんそれでいいの?)
ちなみに私も私服死ぬほどダサいです。
鳥の餌付け
青春っぽい写真
まだ笑えてた頃の田原さん
タイトスカートの自覚が無すぎる女
おさげは位置が大事。
少しは私達も垢抜けたのかな…………