【宣伝美術】ひみつうらない?【あとがき⑤】
こんにちは、劇団美辞女(みじめ)のワタナ・ベリヨです。画像は高校演劇時代にパンフレットに載せた私です。
各所でちょこちょこ言ってますが、『ひみつうらない?』の公演終了から2週間以上が経過しました。おかげさまで、公演関係者・お客様ともに新型コロナウイルスで陽性になったり、濃厚接触者・接触者になったりした方はいませんでした。は~良かった良かった。これからも気をつけて生きますね。そういえば公演を振り返るラジオをYou Tubeに公開してますので通勤通学のお供にどうぞ。
さて、今回は宣伝美術について書きます。私は学生時代から公演の宣伝美術をだいたいすべて自分で作っています。最初こそ闇雲に作ってましたが今は多少のこだわりもありますので、過去作と合わせてひみつうらない?の宣伝美術の制作過程をお見せします。
①世界観を決める
フライヤーを見て観劇を決めた!なんてお客様も一定数いらっしゃいます。描いてる身としてはウルトラマンモス嬉しいお言葉です。フライヤーデザインを考える際大切にしているのは”世界観”です。劇団美辞女の劇を見たことのない人に「エンタメ系の劇なのかな?」「ポップなかんじかな?」「コメディかな?」と思ってもらえるように、いつも派手で楽しい感じのデザインにしています。
こちらは2015年上演の『20歳症候群』という私の小劇場第一作目です。タイトル通り、架空の病気の話だったので黒を貴重に、シリアスめなデザインにしています。役者の写真も実写です。(作風はコメディなので申し訳程度に変顔してる。)作品に合わせてポップじゃないときもあるという例でした。
今回の『ひみつうらない?』はタイトル通り、秘密と占いがテーマで占いの館が舞台であるというところまで決まっていたのでちょっとレトロでミステリアスな感じのフライヤーにしようと決めました。
②資料集め
世界観を決めたら、それに見合ったモチーフを集めるため資料検索しまくります。私はたいてい、Pinterestで探してます。ここでこの記事を見てくれたあなたにだけ私の秘蔵のボードを公開しちゃいましょう。
公演が控えているときはもちろん、普段でも暇なときに検索をかけて可愛いデザインや好きな世界観のポスターなどをこのボードにピンで刺しまくっています。
不気味と話題のこちら2019『まるごと全部愛してね』のフライヤーも元になったピンタレストの投稿があります。ボードから探してみてね。
今回でいうとこの辺のレトロなデザインにインスピレーションを受けました。縁取りや旗などのモチーフを真似っ子してます。
③描く!
あとはひたすらに描きます。ところどころ素材を借りてきたりしながら、基本的にはすべて手描きで制作しています。使用しているソフトはPCのSAIとiPad proのMediBang Paintの二刀流です。PCはワコムの小さな板タブ、iPad proはApple Pencilの第2世代で描いてます。
フライヤーはA4サイズと大きい画像になるので、PCでペン入れすると線がガタガタになってしまいます…。イラスト的なところはiPadで描いて、文字入れや位置の調整はPCで仕上げるという感じで使い分けています。
2016年『ゴー・女・ウェイ』より。過去にはドット絵にもチャレンジしています。こちらはPCのEDGEというフリーソフトでマウスで打ってます。とんでもなく時間がかかりましたが、じーっと覗き込んで見てしまいたくなるデザインが好評でした。
④キャスト宣材
さて、表面で手にとってもらえたら、次に重要なのは裏面の情報です。私は表に必ず『劇団名』『タイトル(作・演出)』『公演期間』『劇場』『煽り文』を載せており、その他の情報はすべて裏面に記載しています。その中でも最も時間を掛けて制作するのが『キャスト』の情報です。これは例え出演者が何人であろうとも必ず全員分の宣材画像を作ることを心がけています。
お客様の殆どは出演者の宣伝からこの劇を知ってくださります。出演者にとって、フライヤーに自分の顔が載っているということは宣伝効果が爆上がりする要素です。SNSのアイコンも公演仕様に変えられます。お客様もフライヤーを持って帰ったあとで役者の顔を思い出しやすくなります。いい事ずくめですね。
こんな感じで基本写真をトレースして服・髪型・ポーズなんかを私の類まれなる画力で修正して色を付けて完成。写真を綺麗に撮ったり、撮った写真を違和感なく修正する技術がないので最近はもっぱらイラストです。ただし、漫画っぽいイラストにすると一気に学生演劇感が出てしまうので必ず写真をトレースしてます。
記念に録っておいた茶髪さんをトレースしている風景です。お楽しみください。
さらにちなみに、この手法で過去に劇団ダブルデックのグッズイラストも描かせていただきました。好きな劇団のグッズを作れるなんてオタク冥利につきます。カンシャ。
⑤パンフレット
フライヤーが出来てしまえば、残る仕事はパンフレットくらいです。今回は感染拡大防止の観点からパンフレットを必ずお持ち帰りいただくということになりました。そこでいつものA4白黒コピーを折ったやつじゃなくて、しっかりしたやつ作るか!となり、フライヤーの進化版のようなゴージャスパンフレットを作りました。
まずは宣伝美術として…というより演出として一番気を揉むのが『あいさつ文』です。本当に不思議なのですがこのあいさつ文、何を書いてもスベるようになっています。スベらなかった試しがありません。荷が重すぎるので劇団化してからはナルミさんにも書かせています。死なばもろともじゃい。
そして次に、登場人物紹介。私はいつも群像劇を作るので、お客様の情報整理のために、どの情報を事前に開示するか、どんなイラストで紹介するかは悩みどころです。今回は絵文字風のキャラアイコンを作って相関図という形を取ってみました。あくまで劇中で生まれる関係は描かず、劇の時間軸より前の情報だけを記載してみたよ。
過去にはこんな風に、詳細にキャラクター紹介を書いてたこともありました。今見るとスベり倒してて恥ずかしいです。学生っぽ~///
⑦まとめ
こげな具合で劇団美辞女の宣伝美術は生まれております。各所で使いやすいようにキャストだけの画像を作ったり、上演日時だけの画像を作ったり、タイトルだけの画像を作ったりと小器用にやっております。
そもそも私がこういったことが得意なのは幼い頃からディープなオタクだったことに起因します。そういえば今年の12月でフラッシュプレイヤーが使えなくなってしまうそうですね。ありがとう、おもしろフラッシュ倉庫・フォーエバー。
高校生までオタクであることが絶対にバレたくなくて絵を描くことすら誰にも話していませんでした。大学で吹っ切れてからは漫研で漫画描いてみたり、フライヤーにイラストを取り入れたり、ちょこちょこグッズを作ったり。やっとオタクアドバンテージを発揮って感じだよ。
使える技はなんでも使おう!宣伝美術のお仕事待ってます。報酬は高いソフトクリームでお願いします。衣装・メイクの記事めっちゃ読んでくれてサンキューな。衣装メイクの仕事も待ってるぜ。
今日もおまけたっぷり❤最後まで見てってや。
ワタナ・ベリヨ
🐤おまけ🐤
2012年『友達とは、フレンドである。英語で。』現存する最古のフライヤー。高校2年生のときです。ちなみに右上はひみつうらない?にも出演していただいた田原さん。右下が理世ちゃんことベリヨです。大会で受賞したので、全校生徒の前で表彰されましたが、その際タイトルを校長に読み上げられて、スベりました。
2013年『つまらない話』こちらも高2のときに後輩と二人でやった公演のやつです。このとき演劇部で活動してるのが1~3年生全部で2名でした。
2015年『20歳症候群』長編1作目。20歳の頃に若返ってしまう奇病の話でした。今思うと私の作品のなかで圧倒的に異質です。いつか再演したい。このフライヤーが以降全部の中で一番時間がかかってないっす。
2016年『ゴー・女・ウェイ』こちらは唯一私が出演してない作品です。この頃くらいから私の”女あるある好き”が作品に滲み出てきました。キャストビジュアルで女子だけカラーなのがこだわり。群像劇の色が濃くなったのもこの作品からです。とにかく好評なフライヤーでした。メディア展開もしやすかった。これも再演したいです。
2016年『へいしゃのなつやすみ』劇団群狼での最後の公演でキャストは過去最多です。実はこのフライヤーだけ裏面は後輩にデザインしてもらいました。私がやっても良かったのですが、サークルでワンマンをしすぎると後が育たない問題があったので。ま、私の杞憂で私より写真にもデザインにも詳しい後輩がいたのでモーマンタイ。タイトル通りサラリーマンの夏休みというテーマの劇でした。さわやかで可愛いデザインだね。社会人になった今最も再演したい劇です。
2017年『損得個展』いよいよ劇団美辞女が始まりました。学生時代最後の公演です。明確に誰が劇団員というのはなかったのですが、ドドンとナルミさんを表紙にしました。一番仲良しなのに主役させたことなかったんだよね。タイトルの通り個展の話だったので全体が絵画・画材チックになっています。キャスト宣材をオール手描きにし始めたのはここからです。実は唯一ナルミさんの髪が金髪じゃなかった公演です。就活生だったので。料金10割引きという表記がいかにもバカっぽい。
2019年『まるごと全部愛してね』劇団美辞女2年ぶりの再始動の公演です。今までと違い、色々なところから役者さんをお呼びしていたので「役者が客呼びしやすいものを!」と思い切って全員を表紙にしました。とんでもないインパクト。顔は写真を加工しているのではなく、すべて手描きです。地味にものすごい時間がかかっています。文字をすべて手描きにしたら誤字してしまいました…。探してみろりん。
2020年『ひみつうらない?』そして今年。ドット絵の次に手描きの内容が多いです。かなり時間かかりました。学生感のないゴージャスな雰囲気に仕上がり、大満足です。お客様からも好評でした。唯一裏面にあらすじが書いてありません。ぶっちゃけフライヤーを作ってる時点で台本の行く末がどうなるのかわからなかったのではぐらかしました。テヘ!「劇団美辞女はこの二人です!」というのがわかりやすくなるよう、表紙は私とナルミさんにしました。今後もこれは慣習にしていこうかなと目論んでいます。
ひみつうらない?のデザイン盛り沢山なグッズ通販ございますのでよろしければ…↓
ベリヨ宣材史
ナルミ宣材史
これはラジオのために描いた似顔絵です。タレ目・釣り眉がナルミさん。ツリ目・垂れ眉がベリヨ。描きやすい。ラジオも聞いて聞いて聞いて
バーイ✋
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