コンクリート診断士2024年度第4問解説
【問題4】
塩化物イオンによるコンクリート中の鉄筋腐食に関する次の記述中の( A ) ~ ( C )に当てはまる ~ ( 4 )の化学式および語句の組合せのうち,適当なものはどれか。
鉄筋近傍の塩化物イオン濃度が一定以上になると、鉄筋の不動態皮膜が破壊される。これにより( A )の化学式で表される( B )反応の速度が大きくなる。また、コンクリート中の塩化物イオン濃度が高くなると、コンクリートの電気抵抗が( C )なる傾向があり、腐食速度が大きくなる要因の一つとなる。
鉄筋の腐食のメカニズムについてですが、不動態皮膜が破壊され、鉄が鉄イオンとなりやすい不安定な状態となり、腐食電流が発生するためです。
健全なコンクリート中の鉄筋は、アルカリ性で不動態皮膜を形成します。これは、Feの状態で安定して存在できることと同義になります。
しかし、塩化物イオンの侵入や炭酸化により、pHが低下すると、不動体被膜が壊れ、Feの状態では安定化できず、より安定化した形であるイオンに形状を変えようとします。
この反応が Fe→Fe2+ + 2e-・・・(*)になります。
発生した電子eが鉄筋の中を動き回るようになり、酸素と水と反応して、以下の反応をします。
O2 + H2O + 4e- →4OH-・・・(**)
この電子のやり取りが腐食電流を発生させるメカニズムとなるのです。
(**)より酸素と水の量が多ければ化学反応がどんどん進行することが分かり、(*)が続けて反応し、鉄筋が腐食していることを示しています。
(*)の反応のことを、アノード反応と言います。
アノードとは、電子が飛び出る陽極のことを言います(=電流を受け取る極)。
よって、(A)Fe→Fe2+ + 2e- は、(B)はアノード反応が正解です。
塩化物イオンが多いと、イオンがコンクリート中に多いということのなので、電気が流れやすくなります。大きな電池と考えると、抵抗が小さくなることと同義なのです。よって、(C)は小さくなるが正解です。