「教員のメンタルヘルス」(1)
日本のガンバリズムは学校が作っている
ー「皆勤賞」はなぜやめられないかー
授業で筆者が「皆勤賞撲滅運動」についてお話ししましたところ、多くのみなさんに賛同をいただきました。これは予想外のことで、正直なところ驚きました。なぜなら、これまで筆者は皆勤賞のデメリットについて勤務校で毎年毎年先生方に説明し、やめるように何度も提案してきましたが、すべて却下されてきたからです。勤務校では全面的に賛成してくださる先生は皆無で、「うーん。でも、今までやってきたしねぇ…。」「他の学年がやっているのに、うちの学年だけやらないわけにはいかない。」などという否定的な反応ばかりでした。 これをどう捉えればよいのでしょうか。教職大学院には理解力が高く優秀で良心的な方が集まっていることは確かですが、反応のちがいはそれだけが理由でしょうか。 ひょっとしたら、勤務校でも管理職が一言、「皆勤賞は〜〜という理由でやめます。」と言えば、さしたる反対意見もなく、先生方は皆勤賞の表彰をやめるのではないでしょうか。つまり、勤務校の先生方は、実はそこまで強い信念があって皆勤賞の表彰をしているわけではないのではないかということです。 それではなぜ皆勤賞を継続するのか、理由を考えてみますと、
・「今までそうだったから」という「前例踏襲主義」
・「うちだけやめるわけにはいかない」という「足並み揃え主義」
があげられると思います。
この2点は、働き方改革に限らず、学校の様々な教育活動に関わる大問題でしょう。
現場の学校教員にもできることは何か
教員の働き方改革にしてもメンタルヘルスの向上にしても「人員増」が不可欠であることについては疑問の余地がありません。そのうえで、現場の教員にもできることはあると思います。よりよい職場を作るのは、結局のところそれぞれの職場における教員だからです。管理職の責任と役割は大きいです。わが校の子どもと教員のために本当に大切なことは何かを冷静かつ客観的に話し合い、前例踏襲主義と足並み揃え主義を乗りこえて業務精選を決断できるとよいと思います。
たとえば、小学校では・・・
①ワークブックの精選
(勤務校の1年生は、ひらがなノート・カタカナノート・漢字ノートに加え書写ノートも購入して取り組んでいます。担任は毎日丸つけに必死です。)
②宿題の見直し
(プリントを大量に印刷して毎日配付し、丸つけをする、という消費マシーン型をやめる。毎日音読カードへのハンコ押しもやめる。)
③掲示物の見直し
(個人作品に必ず担任の朱を入れなくてはならない、という縛りをなくす。廊下や教室背面など高いところへ脚立を使って掲示するのをやめる。書写作品の毎週掲示替えもやめる)
とりわけ①②は、子どもにどんな学力をどのように育てたいのかという教員の学力観・授業観の見直し・再構成につながると思います。
でも、一番の強敵は、実は
「長時間がんばっている自分が好き」という教員の自己陶酔
ではないでしょうか。
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