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Harari "Nexus"を読みました

Nexus

社会起業家の慎泰俊(Taejun Shin)さんが、ポッドキャストでユヴァル・ノア・ハラリの"Nexus"を絶賛しているので、自分も読んでみました。

端的な感想としては、傑作だと思いました。人類の現在と未来を考える上で役に立つだけでなく、機知に富む構成とユーモアによって超面白いエンターテイメントにもなっています。全人類必読。日本語版は3月に出るそうです。

書評

この本は、歴史学者のハラリが人類史における物語の力について語るところから始まります。歴史を俯瞰し鋭く切り分けるその透徹した目によって、未来を考えるための洞察が与えられます。

そして主眼は、現代以降の情報技術が紡ぐ物語がどのように世界を変えうるかについて。なぜトランプが台頭したのか。そして、AIがもたらしつつある壊滅的な未来。ここでは自分の予想以上に破滅的な、しかし非常に説得力のあるビジョンが提示されており、暗澹たる気持ちになりました。

しかしこの本の偉大な点は、破滅を回避するための解決策を提唱した最終章にあります。悲観論を唱えるだけ、また解決策として牧歌的な理想論を唱えるだけの本はいくらでもあります。しかしハラリは、実行可能かつ有効な解決策を提案しており、これに非常に勇気づけられました。

このような結論を導くには徹底したリアリズム、異常なまでの明晰さ、忍耐強い思考、歴史・科学・宗教・政治などにわたる幅広い洞察が必要で、これは並大抵の人にはできない事です。

TJ Radio

ちなみに、完全に推せる慎泰俊さんのポッドキャストはこちら。世界の貧困を解決するためのマイクロファイナンス事業で活躍されている慎さんの、世界の課題に対する洞察や、難題に立ち向かう術、ブラジリアン柔術について聴くことができます。眠れない夜の睡眠導入に良いという噂も。全人類必聴。


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