[お詫びと訂正]親の介護準備イベントムービーはスキップ推奨
まずお詫び
毎年、年末やお盆前の「仕事と介護の両立」セミナー等で、親御さんとお話しておきましょうとお伝えしております。
が、そう言っておいて私自身が全くできていないということを、まずお詫びいたします。
証拠動画:2023のアーカイブです↓
それどころか遠方の父母への正月の電話すら忘れており、数日経って「連絡来ないけど」と言われた次第です。
これは父母にもさすがに申し訳ないと思いました。
仲が悪いわけではないんですが億劫で…
あと家族の体調不良も重なったし、子供が小さくて寝かしつけないといけないし、寝かしつけ終わると自分も眠いし、ちょうど年末年始でみんなやらなくなったmixi2でどう遊ぶかに忙しくて…
いいわけは置いといて、木場家の話をしますね。
転倒や病気による入院歴が数回あり、今にも何か始まりそうな70代の父。
みなさんにやれと言った手前、昨年会った時になんとか頑張って先の話を切り出してはみました。
結果は3分が限界。
聞いたことには全然答えてくれず、わかったのは「無理」ということだけ。
親と話すぐらいなら、と手軽に感じる方もいると思いますが、私には登れる気がしない高い山でした。
毎年、自分で言いながら「そうは言っても難しいよね…」と思っていました。
それでもやった方がいいのは確かなので、お伝えし続けて数年。
なるべくハードルを下げる方法を合わせてお伝えしてはいますが、聞いた方がどこまで実践できたか、自信がありません。
多分、できる人は聞かなくてもできるし、難しいと感じる人はセミナーを1回聞いたぐらいでできるようになったりはしない、そういうタイプの高いハードルなんだと、はっきりわかりました。
効果が薄い伝え方を続けていたことを、あらためてお詫びいたします。
反省しています。
介護前に親と話す必要があるのか
そもそも高齢の親が、子供に聞かれて本心を話すでしょうか。
私は、介護職としてお年寄りの望みを汲んでサポートすることを仕事にしてきました。その際、本人の発言自体は「生のデータ」の一つとして大事にしてはいます。
ですが、それだけを根拠にすることはありません。
あくまで、判断材料の一つ。
医療面の事実や、現在の環境、関係者の意向、これまでの生活歴から見える「その人らしさ」を材料にして方針と作戦を練ります。
望みを知る材料が、本人の発言以外にもあるんです。
だから、認知症とかで自分の意思をうまく出せない方にも、最高ではないにしても「悪くない」サポートを提供できたりします。
一言も話せない方に対しても、すごく良さそうなケアを提供している専門職もいるぐらい。
もうすぐ介護になりそうなお年寄りは、これまで歳をとったことがありません。
これからどうなりたいかなんて自分でもわからない上に、衰えを自覚して弱気になったり、反対に強がったりして現状を正確に見積もることができなくなります。
40過ぎた私も自分の衰えを認めたくなくて、自分の心身機能を正確に見積もることなんてできませんが、70、80だとそのズレが指数関数的に大きくなります。
個人の資質の問題ではなくて、そういうもんです。
だからこの段階の発言は、たいてい老いへの「反射」でしかないと考えてもいいぐらいです。特に家族には、家族だからこそ素直には話せない。
聞かなきゃよかった、の時はどうしたら?
聞き出せたとして、周りの人が言質を取れるかも、以上の意味はありません。
もちろん、それが必要な場合や、周りの人の罪悪感を減らすのに役立つ場合もありますが、聞き出すことが逆効果の場合も多いかと…
絶対嫌だとはっきり言われた場合とかですね。
そうなると、どうやったら嫌がる親を「説得」できるか、という無理筋の思考に入り込んで、つらくなります。
親とはいえ自分ではない他人です。
他人の心を変えるのは不可能、とまでは言いませんが、だいぶ難しいですよね。
私は、毎日話している妻の気持ち一つ変えることもできません。
たまたま険悪にはなっていない今の幸運を噛み締めながら、食器を片付けなかったことを理由に叱られる時間をじっと耐えるぐらいしか、私にできることなんてないんです。
親の話は聞かなくても…
親の介護とか、仕事と介護の両立とか、これから始まる人向けの手順にはだいたい「親と話しましょう」と書いてあります。
問題の構造的には正しいので、私も含めてそれをしつこく言い続けてきました。でもたいして効果が出てないですね。
さらっとできてしまう(つまり、言われなくてもできる)2割の人以外にとっては不可能な手順だからでした。
私と似たような残り8割の人にとって「高齢の親と先の話をする」ことは、チュートリアルのスライムやうさぎではありません。
最初のイベントムービーで村を焼き尽くし、主人公が立ち上がるきっかけになるドラゴンや魔王。
それが「親と話し合う」です。
勝てるわけないですね。
これを最初やらなきゃいけないと思うと心が折れます。何もできずに。
今まで私は、Lv.1素手インナー装備のみなさんに、Lv.99で火を吹くドラゴンと戦う時には左爪を殴ってみるといいかも、みたいなアドバイスをしていました。
ドラゴンも右利きが多いかもしれないですし、左の方が若干不器用な可能性に賭けてほら…
その結果、私含めみなさん惨敗だったのではないかと。
アドバイスが間違っていたな、と思うので、これまでと逆のことを言いますね。
話さなくていいと言われても心配だとは思います。
親の気持ちの答えを教えますね。
たまたま私が知ってるので。
親は子供に迷惑かけたくないし、施設には入りたくないし、他人の手を借りるのは嫌。
それが普通という前提で動けば9割は合っています。
うちは違うな、と感じた方はほら、もう残り1割にあたるあなたの親御さんの気持ちを知ってるんですよ。
いまさら聞かなくていいでしょう?
最初の負けイベはスキップして、ひのきのぼうを装備するのがセオリー
負け確定イベントムービーはスキップして本編に行きましょう。操作できないんですから。
実際にはドラゴンも魔王も来てなくて、まだ村は燃えていません。
死に戻ったつもりで、RE:0から始まる現実世界です。
じゃあどうするのという話ですが、最初にやることについてはこちらのコラムに書きましたのでよろしければ読んでください。
基本はRPGと同じ。
だいたい村長に行き先を聞いて、100Gぐらいもらって初期装備を揃えますね。
あなたの家に村長はいないので、行き先を決めるのはあなた自身です。
これも難しくはありません。介護のことは置いといて、自分がどうしたいか、10年後ぐらいを想定して、どんな風に暮らしていたいのかイメージする程度で構いません。
あんまりイメージできなければ、仕事と介護の比率でどれがいいかぐらいでいいかなと思います。
これが行き先。何なの?って思うかもしれませんが、いざ介護が始まった時、道に迷わないように覚えておいてください。
そのぐらいでいいです。
あなたにとってのひのきのぼうはこれ
さあ、次は装備です。
さすがに素手ではスライムや角の生えたうさぎにも苦戦するかもしれません。
実際、初動が一番その後の負担に影響します。それに、最初の半年が一番介護離職が多いんです。
他に何もなくても、ひのきのぼうがあれば、最初の半年を乗り切れる可能性が跳ね上がります。
ということで、あなたにとってのひのきのぼうがこちら
「地域包括支援センター」です。
概要説明はリンク先に。こちらで親御さんの住所を代替入力すると、担当がどこかわかります。
装備しないと使えませんので、次の手順できちんと装備しておいてください。
①あなたの親御さんの住所を管轄する地域包括支援センターがどこか見つける
②携帯に、何かわかる名前(正式名称が難しいので「父やばい時」とかでいいです)番号を登録する
そしたら一回忘れてもいいかも。みなさん他にやることたくさんありますからね。
ちなみに、既に介護が始まった人や介護離職してしまった人を含めても、「地域包括支援センター」を知っている人が半数以下です。
携帯に番号を入れただけで世の中の半分よりは備えが進んだことになります。
親と話せてなくてもまあ、どうにかなりそうですね。
細かい話をすれば色々とやっておいた方がいいことはありますし、このくらいでは耐えられない大変な状況になることもあります。
全体の5%ぐらいでしょうか。
特殊な疾患でイレギュラーが多いとか、配偶者やきょうだいなどが若くして介護・障害になるとか、他にも子供のケアなどで、制度が足りず、「高齢の親の介護」とは分けて個別にもっとサポートが必要な場合があります。
大半の、歳をとってだいたいそうなるよね、という介護の話はこのぐらいでもどうにかなります。
考えてもみてください。
身寄りがないお年寄りも、介護を受けられて、みんな生きてるんですから。
私は20年以上、そういう人が別に不幸なわけでもなく、介護を受けて「ふつうに」暮らす手伝いをしてきたので、できると知っています。
納得いかない方は(いくらでもあると思います)、随時QAを受け付けておりますので直接ご質問ください。
あなたの状況に合わせて、考えられることをお伝えします。