◯B(ビジネスオーナー)になってからの時間の使い方

前回は「現場から離れるためには?」というテーマで多店舗展開について書いた。
今日は勤務医から開業医になった時、そして開業医から多院経営に代わったときに起きた時間の使い方の変化について書いてみたい。

1)勤務医:手術とか病棟とか外来とか色んな周りからのタスクをこなしているうちに一日が終わる。
自分ならこうやって効率化するのに。とはよく考えていた。スキマ時間も多く、かつ究極的には他人事だから手を抜ける。よく合間で不動産情報を漁っていた。
(ただし当時から、救急隊からの電話は絶対に断らないなど、自分の営業成績にはこだわっていたが。。)

時間の使い方でいうと、経営者の方針や直属の上司の指示通りに動く時間が8割。自分の裁量で2割。
私は上司の許可をもらって、個人的なスキマ時間で救急隊に「いま受け入れ可能です!」と営業電話していた。 他にも全ての仕事に紐づけて「自分ならこうやって効率化するのに」とよく考えていた。

2)開業医:膨大な量の外来を自分でこなす必要。収入は増えるが、一日の起きている時間の半分以上を外来して過ごすことに。忙しいという字は心を亡くすと書くというが、まさにその状態。余裕がなくなる。人に任せたいが、任せると売上がガクっと減る。ここに開業医のジレンマがある。
子供が成人したら、もしくは借金返し終わったら営業日を1日減らそうかな、とか考える。

3)多院経営 いつ、どう働くかが選べるようになる。 いくつかのタスクの中から「今日何しようかな」という時間ができる。これが最大の違い。
かといって暇になったわけではない。逆である。

ゲームで例えると
前:「農業・商業・工業」
後:「農業・商業・工業・外交・登用・放浪」
等コマンド増加。

当然、自分が現場に出ずに任せっぱなしだと士気が下がる。私も現在、外来と手術で2.5〜3日くらい現場に出ている。現場での密度は濃い。スタッフの動線や、道具の配置で改善出来るところがないか、など確認しながら現場に入る。もちろん数字も意識する。
前日しっかり寝て、コーヒーも飲んで、整えて入る感じである。

では残りの週2日は何をしているのか。まさに「外交・登用」である。
多院経営になったときに自分に残る最大の仕事は、「これからの拡大に必要な人と出会うこと」である。
これは時間の観点からいうと量ではなく質である。

例えば開業したい医師と出会う。自分の持っている情報を提供する。信頼できる繋がりを提供する。
そうすると不思議と情報が更に集まってくる。人と更に出会えるようになる。
この好循環を目指して残りの2日は動いている。
ここの自由度の高さが、多店舗展開、経営の醍醐味だと私は思う。

多店舗展開が拡大するには多くの変数がある。組織は生き物である。
自分が現場で頑張る「農業・商業・工業」コマンドはもちろん、「外交・登用」に加えその他のコマンドも連発して結果を得ないといけない。
わらしべ長者ではないが、直接的ではないので、実現した時の喜びがひとしおである。

売上10、経費8、利益2なら簡単に店舗増やせると思うかもしれない。 数字上はそうでも、なかなかそのようにいかないのが人情である。 だから迂遠に見えるかもしれないが、色んな情報を集めて、それを必要としている人に渡し、 流れの中で自分にも都合良い案件の確保と、活きた人材登用につなげるのだ。

経営者自身が1ヶ月くらい外に出て見聞きした事が発展のきっかけになるかもしれないし、組織の堕落・崩落のきっかけになるかもしれない。そこに責任を負うからやりがいがあるのである。

もっというと、私はこの変数に磨きをかけるため、出会いを拡大するため、Xにきちんと取り組むようになった。
おかげさまでたくさんの方からメッセージを頂戴した。整形外科医だけでも10人くらいお会いできているのではないだろうか。また私の本院を見に来てくださった方も5人くらいいる。
当然ながら相手の求めているものを提供することが大切である。
相手を口説いて自分の現場に入ってもらうのではなく、相手を幸せにすることが目的である。何かGIVEできないか。そこで循環や化学反応が生まれる。時間をかけて信頼が醸成される。

出来るだけ昼ご飯は3〜4人くらいで院内のチームと話し合いしながら食べるようにしている。
夜の会食は週1くらい。18時から19時に帰宅。
以降、電話は緊急含め着信は受けるが、LINEやネットなどは一切しない。スマホの画面もみない。
朝3〜5時に起きて、読書する。文章書く。これも経営の一環といえばそうなのかもしれない。

4店舗目の情報が3件くらいあり、継承になりそう。売主とお互いの条件をじっくり詰めているところである。院長候補は既にいる。非常に能力の高い、10年来の付き合いの先生。
朝起きて静かな時間があるから、そこで売主の要求を箇条書きにしたり、新チームの絵を描いたりする。

4)まとめ
勤務医の頃は上司にコマンドを発動される感じですが、開業医になると自分でコマンドを選べます。
多店舗展開になると、コマンドの種類が増えます。
いずれにせよ時間こそ有限かつ最高の資源なので、そこを自分で納得できる形で使うことだと思います。
経営するようになって仕事時間の密度が濃い気もする。

5)おまけ
・家族と過ごす時間が幸せ:仕事効率化して夕方までにまとめる
・子供には時間の余白を多めに:推測段階だが何もしない時間大事
・スマホをひとたび使うと、そこから数分間は集中力が下がる「注意残余」という現象があるので注意
・私は19-8時はスマホ使わない、早朝この記事はMacbookで作成

・週1-2運動:4キロ泳ぐ(上手) ゴルフ練習(下手)
・睡眠大事:柳沢正史先生の動画とか本
・子供達は20時-6:30で寝てる:私も一緒に寝落ちして早起きする
・時間の使い方で一番好きな動画は「孫正義 LIVE 2011」:孫さんが留学時代に「寝てる時間以外は全て勉強する」ことを語っているものです。

孫さんの動画観てたら、自分はまだ引きちぎれるほど努力していないと恥ずかしくなった。 私も1日1日を真剣に生きないとな。
そこからすると矮小な話題ですが、 4店舗目は年単位の準備が整ったら、10年親交を深めた先生を信じて「借金」コマンドを発動する。

個人的な時間(軸)の話でした。
では。

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