海のネイチャーポジティブを目指すOcean180プロジェクト
2021年1月から「国連海洋科学の10年(United Nations Decade of Ocean Science; UNDOS)」が始まりました。UNDOSでは、海の豊かさを未来へ引き継ぐため、「きれいな海」、「健全で回復力のある海」、「生産的な海」、「魅力的な海」などの社会目標を設定し、今後10年で、これらの目標達成に取り組みます。
これに対応して、私たちの研究チームは、海洋生物ビッグデータと統計モデルや人工知能を基に、海の生態系を見える化し、市民・行政・企業・金融機関と協働して「海の豊かさを守る」ための10年プロジェクト“Ocean180”をスタートしました。
Ocean180は「劣化する海の状況を反転し改善させる」という願いをこめた名称で、生物多様性ビッグデータ分析を基にした実効性のある海の保全再生アクションを推進します。
プロジェクトOcean180の正式名称は、「海洋生物多様性ビッグデータ汎用化の基盤技術と海の豊かさを守る応用技術の開発」であり、文部科学省の「海洋資源利用促進技術開発プログラム 海洋生物ビッグデータ活用技術高度化」です。
このプロジェクトで実施する産学官連携の事業は、現在、以下があります。
・海の生き物の豊かさを「見える化」するARアプリケーションの開発
・サンゴ礁生態系の保全再生事業と生物多様性オフセットの条例化
・民間企業と連携したブルーカーボン事業
・海洋生態系への影響も考慮した海運オペレーションモデル構築
・再生エネルギー施設建設に関わる戦略的環境アセスメント技法の開発
・生物多様性ビッグデータを活用したGIGA教育アプリケーション開発
このような様々な社会実装を推進する研究プロジェクトは前例がなく、その組織体制が特徴的です。国内外の研究者を中心に社会実装を推進するベンチャーである(株)シンク・ネイチャーをハブとして、多セクターを横断した連携体制です。今後も、様々な企業と、さらに連携を拡大する計画で、海洋科学と社会実装を、プロジェクトの両輪として駆動して、「海の豊かさを守る」実効性のあるアクションで「国連海洋科学の10年」に貢献します。