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愛知目標を達成するための保護区ネットワークを提案

2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD・COP10)で採択された愛知目標(ターゲット)には20個の行動目標があります。その一つに、「2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観や海洋景観に統合される」があります。しかし、保護区面積の割合を拡大するには、幾つかの克服すべき問題があります。

問題1)新たな保護区をどこに設置するのか? 既存の保護区をどのように拡大すればいいのか?

保護区の空間デザインを考える場合、直感的には「貴重な生物が分布している地域に保護区を配置すべき」と考えるでしょう。しかし、これは別の意味で難しい問題があります。「どこに、どのような生物種が分布しているのか?」未だによく分かっていないのです。これが以下の2つ目の問題です。

問題2)生物多様性に関する情報不足の問題

保護区の空間デザインには、生物多様性を構成する様々な生物種の空間分布情報が不可欠なのです。さらに、生物多様性に関する情報不足の問題を解決すれば、それで保護区を設置できるかというと、残念ながら、そうではありません。さらに厄介な以下の難題があります。

問題3)利害関係者(ステークホルダー)をどのように調整するのか?

保護区を設置すると、その土地の利用に法的規制をかけることになります。したがって、土地所有者にとって、自由な経済活動を制限されることになるので、保護区設置は望ましいことではありません。つまり、生物多様性保全と、土地利用に伴う社会経済活動には、「あちらを立てれば、こちらが立たぬ」といったトレードオフ関係が発生することがあるのです。

以上のように、愛知目標を達成して、生物多様性を保全することは、科学的そして社会的に難題が伴います。私たち研究チームは、これらの問題を克服して、日本の生物多様性を合理的に保全するための具体的計画を提案しました。

具体的には、日本の生物多様性地図データを整備して、空間的保全優先地域分析(spatial conservation prioritization)を行いました。様々な生物分類群を統合して保全重要地域をランク付けする手法を開発しました。生物分類群や種によって、生態系機能や人間にとっての有用性、保全上の重要性は異なります。保全上の価値や重要性を、分類群や種の”ウエイト(重み)”として考慮し、全ての分類群の分布情報を統合して、生物多様性保全の重要地域をランキングしました(下の動画をを参照)。

下の地図の青色箇所が、愛知目標を達成するために保護区を新設・拡大する地域

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このような分析から、愛知目標を達成するために、「新たな保護区をどこに設置するのか? 既存の保護区をどのように拡大すればいいのか?」その答えを地図上で明らかにしました。この分析結果は、生物多様性地域戦略を具現化するアクションプランの立案に貢献します。




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株式会社シンク・ネイチャー
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