秋田でのノーサイドと空白だった一日とスーパーヒーローの話
今年も秋田に行ってきました。
私立恵比寿中学秋田分校~お待たせしました美の国感謝祭~に参加してきたのです。差し迫っている諸々でいろいろな感情に支配されてしまう前に、秋田で自分の見たものと思ったことを中心に、つらつらパパヤと振り返ってみようかなと。
ことしも配信などがありましたので、本記事ではライブリポ的な要素はほとんどナシに致します。
その日のだいぶ前から
ええと。
もう毎年書いているんですが、秋田分校はとても楽しいのです。今年も楽しみにしすぎた挙句、会社のお休み調整およびホテルの確保のため、だいぶ早くから開催日予測に勤しんだものでした。
…あのね。ことしは秋田市近辺でのエンタメの在り方を変化させる、大きな出来事があったのですよ。というのも、かつて秋田分校が開かれていた秋田県民会館の跡地に、あきた芸術劇場ミルハスという立派なホールが出来たのです。
秋田分校の主催はABS秋田放送。そして後援には秋田市と秋田県という2大自治体がついているのです。こうなると県外4ケタの客人を呼び込み続ける公演に、新しく出来たミルハスをあてがわないワケがないじゃないですか。
だもので、初夏の頃からミルハスのスケジュール情報とにらめっこですよ。土日が様々なアーティストの公演で埋まりはじめ、「これは10月最終週の土日でほぼ決まりじゃん!」てなもんでホテルを抑えて。で、その予想日にはエビ中さん側スケジュールにTVKのイベントが入ったりしておやおやおやおや?なんて思ったりして。
そんなこんなで11月26日。過去7回のうち最も遅い日程で、2022年の秋田分校が開催されたのでした。ちなみに最も早かったのは初年度2015年の9月22日。7年での平均は10月26日。来年は当てるぞ~。
今年も秋田にやってきた
で。
今年も無事にお休みの調整が出来て、秋田への前日の昼入りが叶いました。
まずランチには過去まやまさんがお薦めされていたチャイナタウンへ。そして駅前の特大バナーや懸垂幕、ファッションビルOPAの展開やタワレコの芸術祭などを見物。夜はもちろんきりたんぽにしょっつる鍋。たのしい。さっそくたのしい。特に食事はクルマでなければ移動のつらい距離。県民の友人にご協力いただいたのでした。
毎年ここに来ると改めて思い出すのが、分校きっかけで仲良くなった人の多さ。県民の方々のほか、秋田以外の東北勢や、関東からの遠征民、さらにはもっと遠くからの皆々様。
7年前に友人も知り合いもおらず、遠征に慣れていなかった自分。初年度秋田分校開催が発表された折り、「秋田までエビ中を観に行くようになったら、自分はいよいよこの沼に嵌まりこんで、たぶん取り返しがつかなくなるだろう。そんな気がする。けどなんだか行ってみたい気もする。」延々と数秒間にわたり逡巡したのち、気付いたら申し込みボタンをクリックしていたのでした。
予感は的中するもので、いまやだいぶ深い沼にどっぷりこんと漬け込まれ取り返しつかないことになっている自分がいます。一方、なんだか行ってみたい気がした部分も正解で、上記のようにたくさんの人と交流をすることが出来ました。少なくとも今のところ判断は正解。おサイフの中身を見ると少しだけ感情が揺らぐけれど、そんなもんは未来の自分に考えさせれば良いことなのだ。
新築のミルハスはとても立派。秋田駅まわりもスタイリッシュになった所や、なんらかの工事をしている所があって、町はきょうも活き活きと動いている。
ただ、色々あって毎年お話をさせて頂いているOPAのアパレル店のマスターからは、「結構な挑戦をしながら、なんとか頑張ってるんですよ」という言葉が出てきました。店舗内でのブランドの扱い方などに工夫を重ね、運営を続けているとのこと。
社会や街の姿ってのは、いつだって変化を続けているもの。特にこの数年間は、全国的に流通や人の流れを大きく変化させる出来事があって。マスターは様々な挑戦を重ね続けている様子。でも毎年のごとく明るく前向きなオーラを出していて、本当に頭が下がる思いです。息子さんもお店に立つようになったとのことでした。
ぼくなぞはしがない会社員なので、大きな羅針盤は偉い人が握ってくれていて、そういう意味ではお気楽なもの。ちょっと申し訳ないと思いつつも、街の姿の一端についてお話をお聴きできるこういう時間もまた、とても楽しい──といったら語弊がありますね。とても刺激のあるものなのです。
超巨大要塞ミルハス
新会場。でかい。広い。天井が高い。美しい。椅子も立派。待ち合いスペースも立派。木目調。木の薫り。はぁ。
ここはほんとに良いホールでした。ぼくは幸運にもわりかし前の方の席に座ることが出来たのですが、そこから後ろや二階席を振り返ってみると、めっちゃ壮観なんですよ。関東にもこんな広々ゆったりのホールなんてありませんよ。
聞く所によると、これまでにミルハスで公演を行ったアーティストの多くは「またここに来たい」と言っている模様。うん、わかる。観客のぼくもまたここに来たいですもん。
というわけでいつの間にか公演当日の話にスライドしているんですけどね。
やっぱり少しだけ公演自体についても気になった部分だけ触れておこうと思うのです。
キャミソウルブラザーズ
生徒会長の開会宣言のあと、会場を温めにきた二人組。毎年現れるごとに怪しさと親しみの両面をパワーアップさせている。客席側の受け入れ態勢が整ったためか、拍手の大きさが増している気がする。呼応するかのように、パフォーマンスの会場への溶け込み具合も増している。ような気がする。こういった存在こそを得難いキャラクターと言うべきなのかもしれない。
オープニング
いきなりエビ中さんが出てきて歌い始めてびっくりする。去年がフェス形式だったのでなんとなくそのままの気分でいたのだ。今年は従来型の公演にもどって、エビ中さんの曲の合間にゲストの皆さんが出てくる形だ。そうなんだ。分校ってこうだったんだ。
ところで制服のみなさんかわいい。まやまさん麗しい。
出席番号の歌その3
柏木さんとココユノノカの入った「その3」が披露されたのは、ファミえんとこの日で2度目ですね。残念ながらきょうも8人バージョンだったな。年末の大学芸会で最後になると思うので、そこでは是非9人で聴きたい。
イヤフォンライオット
なまはげ郷神楽との共演とのことだったので、和風じみた曲をやるのかなと思いきやイヤライさんでした。郷神楽の小林さん、渋くてかっこいいね。イヤフォンライオットと和太鼓との親和性もなかなかどうしてでした。
超神ネイガー登場
今年は星名さんに加え柏木さんも、マインドコントロールにより敵陣営に。ネジのゆるみまくった脱力感がかわいい。最終的にネイガーとコバカホさんが、きりたんぽソードで敵怪獣を成敗。なぜかやりきったポーズのみれかしのふたりがかわいい。
ukka
メジャーデビューして勢いに乗るukkaさん。まともに見るのはいつ以来だったかな。ごくまれにしかステージを見ないぼくからすると、だいぶ丁寧なステージングをしているなという印象。エビ中さんがおふざけ曲をせずに育てられたら、こういう感じになっていたのかもしれないなと。みんなかわいい。
いぎなり東北産
メジャーデビューしないのに勢いに乗る東北産さん。まともに見るのはスタプラフェス以来かな。東北のお祭り文化ってのも下地にあるためか、今年も力いっぱい盛り上げてくる感じが楽しかった。ゲスト参加した小久保さんの「カーニバル!」の声がとてもしっかり嵌まっていて見事だった。みんなかわいい。
藤原美幸さん
どんどんぱんぱんどんぱんぱんバンバンビート。今年もバックバンドの尺八担当のじっちゃん梅若さんが、曲にあわせて時々アクションを入れてくる。尊い。お囃子ふたりの繰り出すビートがなかなかの健闘。尊い。美幸ちゃんは相変わらずのサービス精神。強い。
ブザービーター
何年ぶりだっただろう。元気にしてたか?そんな久しぶりのナンバーがアンコールの最後を飾ったのでしたが、自分のまわりの座席の方々は余裕でフリコピしてるのね。記憶力すげえなあ。で、みんなが手を合わせる中、最後にゴールにフリースローを送る柏木さん。今年の分校も終わってしまったね。このボールを受け取るのは誰なんだろう。
皆さんお疲れさまでした。
夜は地酒と郷土料理です。
分校のあとに
ふだんの年であれば、分校の翌日にはエリアなかいちのフリースペースで秋田分校文化祭が開催され、ukkaさんや東北産さん、そのほか東北ゆかりのアイドルさんなどがフリーライブなどを行ってくれるものでした。ことしは開催日が師走直前となったため、寒さや天候なども鑑み、開催はなくなってしまいました。
お決まりのイベントがなかったことは少し寂しいことだけれど、お天道様には逆らえませんからね。実際この翌週の北日本は、冬型の気圧配置が強まったおかげで、急なドカ雪となったのでした。ほんと危ないところだった…。
文化祭はなかったものの、ぼくはまた友人の力を借りて秋田観光へ。ことしは全ファミリーの憧れの地、横手市増田の「蔵カフェ真山」に行ってみたのでした。
増田の地は、なんだろう、角館のような「歴史がありますよ!」というような町ではないのですが、「昭和から続いていますよ、大正や明治もほんのり見えてきますよね?」といった、おっさんとして令和を迎えた自分にとってどこか懐かしさを覚えるような町。
そんな街並みにたたずむ蔵カフェ真山さんは、麗しくも花のような店構えでありました。おしゃれ。ランチはとても美味しかったです。
さすがに派手な観光地とは違うので、ここに来るファミリーさんは少ないだろうと思いきや、店員さんによると分校前日に来た方がいらっしゃったそう。そしてランチ待ち中にも知り合いのファミリーさんが来訪。去年に引き続き、県内で暮らす方々にとってエビ中さんの名前が知られていくことと、ファミリーの皆様が様々な所でこの地に触れていること。その両面が良い形で回っているのだなと実感しました。
新しくなったミルハスというステージ。ファミリーと県内の関係性。秋田で前向きに頑張ってる途中な皆様にとって、これらがもっとうまく大きな歯車で回る手立てはないだろうか。単なるおきらくなよそ者の癖に、そんな大それたことを考えようとしてしまう自分。
ここでまた分校の記憶がフラッシュバックするのですが。
本編最後に披露されたミッションサバイバー。ことしは都市対抗野球大会にてエビ中楽曲でスタジアムを湧かせたTDK応援団と、ノースアジア大学明桜高等学校吹奏楽部の皆さんの演奏での披露となりました。
メンバーの煽りと共に、ukkaや東北産やキャミソウルブラザーズや藤原美幸一座など、全ての出演者が登壇。圧巻の人数。
鳴り響く管楽器。ハイテンションの応援団長、負けずにぶつかるまやまさん、食い下がる藤谷さん。愛嬌を振りまくブラウゴン。吹奏楽部ギタリストの魂のソロ、タンバリン担当の炎のアクション。煽る生徒会長。煽る柏木ひなた。煽る小久保柚乃。ノリノリのネイガー一座。調子に乗るキャミブラ。やはり何もしゃべらないなまはげと、スマイルな村星さんの後ろでビッグスマイルを見せる尺八の梅若じっちゃん。フロアのみんなもタオルをグルグルと回しながら、どこを見ていいかわからないくらいの大らかにぶっちゃけたステージ。
広い広い超巨大要塞ミルハスが、会場一体で盛り上がっていた気がします。
この瞬間ですが、出演者サイドや観客サイドといった、そういう垣根をあまり感じなくて済むような空気があって。なんていうのかな、「ノーサイド」っていうのはこういう状態のことをいうのかもしれないな───そんなことを思わされるのでした。
また少しだけ記憶がフラッシュバックして。
2017年の分校でのことだったかな。
この年は本編のラストナンバーがミッションサバイバーで、やはりステージと客席が一体になってタオルをグルグル回していたのです。が、このときはなぜか、秋田県民会館大ホールの客席に超神ネイガーがいつのまにかステージから降りてきていて、何の前フリもなく客席側で一緒になってタオルを回していたのです。ぼくはなんだか、この風景がとても心に残っていて。
というのも、スーパーヒーローって奴はきっと壇上の存在ではなくて、いつもぼくらのそばにいるもの。僕も君も心の底から漲る力を持っているはずで、誰もが誰かのスーパーヒーローであって。転じて、誰かを励まし誰かを助け誰かのために何かをすることは、みんなが出来るものなのだよと。
エビ中の楽曲でずっと聴いていたその風景が、客席でタオルを回すあの日の彼の姿や、ノーサイドとなった今年のステージでうっすらしながらハッキリと実現していたような気がして。そういったあたりが開催初年度からの秋田分校のテーマであり、エビ中の歌の芯であったような気がして。
ぼくはまあ、この地にとって単なるおきらくなよそ者でしかないんですが。なんとはなしにもうちょっと何か考えてみようかなと思ってしまって。だので今年は分校の前日の街、当日の風景、翌日の空気を味わったあとに、敢えて特に何もしない日を一日増やしてみて、月曜日を迎えた秋田の街をゆっくりふらふらと歩いてみることにしたのでした。
数年前にお別れとなった友人にお薦めしてもらったラーメン屋さん。広場の少し奥まったところにあるストリートピアノ。まっ昼間の繁華街。ノボリの片付けられた広小路。アパレルのマスターは店頭にいらっしゃらなかった。
何を考えてみればよかったのか。自分でもそれが何なのかわからなかったんですが、何もしない時間もそれなりに満ち足りていたもので、ふらふらっとしたまま帰りの新幹線に乗り込んだのでした。
今年の秋田分校も、とても楽しかった。
また来年も楽しむことができますように。
それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー