音楽の祭典と秩父の空の黒色とお願いジーザスの話
えびちゅうさんの秋の恒例行事『ちゅうおん』を観に、埼玉県秩父市の秩父ミューズパークまで行ってきました。
この公演、例年であればエビ中 ──秋声と螻蛄と音楽の輝き── 題して「ちゅうおん」2021といった感じで長い副題がついていたものなんですが、ことしのタイトルはストレートにちゅうおんの5文字のみだったんですね。うん。
といったわけで、以下、覚えてることとか思ったこととかこっそりノートにメモしておいたこととかをまとめておきます。リポートとか読みたい人は安定と信頼のナタリーへ移動してどうぞ。たのしいぞー。
■ちゅうおんとは
ちゅうおんとは、「オール着席・ペンライト使用不可・コール等禁止」のレギュレーションで、ビッグバンドによる生演奏でえびちゅうさんの歌と楽曲を楽しむ音楽会です。2017年からほぼ毎年、埼玉県秩父市の秩父ミューズパークにて開催されています。
この会場は、駅からバスで約20分の山間の公園。生演奏と生ウタのグルーヴ、山の空気や静かな空、そして虫たちの声。楽曲とシチュエーションの妙が織りなす、スペシャル感あふれる公演です。
今年は13時開演の昼の部と、17時開演の夜の部の二部構成となりました。
■前日入りしてみた
運よく会社がお休みとなりましたので、秩父には前日入りしてみましたよ。
西武特急ラビューで秩父へ。秩父鉄道に乗りかえ長瀞へ。わらじカツやみそ豚丼、おいもソフトなど名物を食べて、ご当地レジャー・ライン下りの川べりまで行ってみて。土日であれば、秩父鉄道で運行されるSLにも乗ることが出来たらしい。
SLに乗ってライン下りをしてランチは名物で舌鼓。夜は武甲温泉でひと汗流して武甲正宗とかのお酒を飲んで。秩父ってのは、コンパクトにレジャーがパッケージングされた町なんですね。
来年もちゅうおんが開催されるならば、前泊もしくは後泊をして、この町を楽しむのもよさそうですよ。
■当日!会場へ!
さて当日。
友人のクルマに乗せて頂き、昼前に秩父ミューズパーク到着!
ぼくの目のように底のない曇りがかった空。雨はパラパラポツポツと降ってきます。ねぇケセラセラ。
現場は野外音楽堂。客席エリアの前半分は屋根がかかっているものの、客席エリアうしろ半分の芝生座席は吹きっさらし。天気がひときわ気になる公演で、きょうのような空の場合、芝生座席の大半は雨合羽を着こんでの観覧となるのです。
でも先に言ってしまいますと、第一部・第二部とも公演中に目立った雨は降りませんでした。公演のあいまの雨で塗れたイスさえ拭いておけば、大きな問題はなかったです。よかよか。
そうそう。
会場では「ぱくぱくうーたん村」も開村。各種キッチンカーがメンバープロデュースの食べ物や飲み物を提供してくれます。集結したファミリー皆さんで既に大行列。スペシャルイベント感がだいぶ大きく感じられます。
■開演!
定刻間近になって自席へ。開演間際になってバンドメンバーがそれぞれの持ち場へ。上手ベースアンプ前には今年も道太郎先生が。下手のギターは「まやまにあ」でもお馴染み伊平さん。ステージ後方2階コーラスエリアにはエミコ先生がご健在。安堵。さあ、始まる!始まるぞ!
ではここから公演の内容のメモとか感想。ぼくの主観でダラダラいきます。記憶が混濁していますので、第一部と第二部はごっちゃにしちゃいます。
わりと第二部メインな感じの記述になりましたので、そんな感じで読み取って頂けましたら幸いです。
あ、長いです。
■前半
M01. きらり (藤井風)
例年通り、オープニングはカバー曲から。
まずバンド演奏がスタートし、歌いながらメンバー皆さんが入場。
…ことしは全員おちついたピンクベースの衣装。みんなシックなかわいさに溢れている。仲村さんは気品あふれるお人形さんのよう。桜木さんは金髪に加え、目の周りを薄桃色のチーク?で染められ、こちらもまたお人形さんの様相。安本さんは髪がショートめにまとめられ、おねえさん系アイドルといった印象。一方、小久保さんはナチュラルなストレート系の黒髪で、正統派アイドルっぽさが感じられる。
すごくない?みんなビジュアルすごくない?運営さんは早く2ショの機会をですね、いや、こんな皆さんの隣にぼくなんか並んでしまったらダメだ!申し訳なさすぎる。ああ、どうすればいいんだ!嗚呼…。
逡巡している間に爽やかに終わりゆく1曲。大きな拍手。
M02. 愛のレンタル
1曲目のアウトロからのブリッジでまやまさんが挨拶トーク。そのまんま2曲目に繋がってゆく。
大きく歪ませた道太郎先生のベースがかっこいい。そしてこのメロウなコード進行は間違いなく愛のレンタル。横並びの10人が軽めに入れてくる振り付けもバッチリ揃って素晴らしい。そしてまやまさんの歌唱が絶好調だ。これを聴きにきたんだ。ほんとうに麗しいですよ。
この曲で白眉だったのは、アウトロで入れてきたフェイク合戦。まやまさん&小林さんによる「yeah-」と桜井さん&仲村さんの「Whoa-」の掛け合いがとても心地良い。普段のライブでもやってほしいくらいなんですが、バンド演奏だからこそ映えるって部分もあるんでしょうね。
■MC
ここで軽めの自己紹介。
「自己紹介しまーす!」と告げたとたんに、流れで思いのほか大きな拍手が巻き起こってしまう会場。テレてしまうまやまさん。
「ネタバレになっちゃうんだけど、ことしは全編出ます!」と今世紀最大のハッピーを高らかに宣言。そうなんです。前回はポリープの術後すぐであったため、3曲しか歌えなかったのです。こんなめでたいネタバレなのであれば、思い切りどんどんやってしまってくださいよ。
今年は涼しいちゅうおんとなったことを喜ぶ安本さん。好きなようにノリノリになってほしいと伝える小林さん。だんだん暗くなってゆく第二部の雰囲気が好きだという中山さん。うーたん村でたくさん食べてきたと胸を張る仲村さん。
みれいちゃんはメンバー全員がピンクの衣装となって、「年上メンバーとなっていまだにピンクとか揶揄してくるみんなが、やっとわたしに追いついた」とご満悦。ピンクを着続けるのにも矜持が必要なんですね。
ののかまるは野外ステージのため秋の花粉症と闘うハメに。苦しそうな顔をしたとしても花粉症に耐えているだけなので大丈夫ですよと力強い言葉。がんばれ。
ゆのぴさんは第一部では会場わきのキンモクセイをファミリーにご紹介。香りが大好きなんだって。第二部では雨がやんだので芝生の虫たちが動き放題だとご紹介。涼しげな会場の観客に一縷の汗。やはりただものではない。
桜木さんは金髪+ピンクの衣装で、第一部では「やさぐれたピーチ姫」、第二部では「やさぐれたラプンツェル」と名乗っていました。やさぐれたピーチ姫を救うのはマリオよろしく赤のユニフォームを着た軍団員たちなのだとさ。みんながんばって!
桜井さんは油そばを食べてノドを潤したとのこと。心強いぜ。でも「しんさん率いるえびちゅうバンドのみなさん」がうまく言えなくてしょんぼり。かわいい。
M03. SHAKE!SHAKE!
ノリの良いビートが刻まれ、SHAKE!SHAKE!がスタート。ステージからハンドクラップを煽られ、曲中「hey!hey!」の部分などでは客席皆さんも軽く右手を上げ、ちょっとした一体感。
いまさらかもしれないですが、「本日は膝上20cmでも無敵のわたしはひるまない」っていう歌詞の担当が、安本さんからののかさんにチェンジしていました。少し攻めたファッションに身を包みつつ、きょうの私なら無敵だから大丈夫!と自分に言い聞かせている感じ。6人時代のエビ中ならば安本さんにピッタリだと感じたフレーズでしたが、10人時代の今のえびちゅうならばののかまるにジャストフィット。良いリレーだなあなんて思わされてみたり。
M04. U.B.U.
久しぶりに聞いたような気がするけれど、明るく賑やかな曲調なので、懐かしさなどとは違う感覚。池田貴史の楽曲ってのは、こうしたビッグバンドにしっかりしっくりとフィットする。ゆのぴの歌声のノビ感が心地良い。
曲中になんか寸劇をしているまやこばがいたり、くるっと回った際にスカートが軽くまくれそうになった桜木さんの足を、ゆのぴさんが自分のスカート生地をヨコにのばして隠そうとしていたり。
観客は着席フリコピ禁止だけれど、ステージの上は相変わらずのたのしさ。
M05. 紅の詩
柏木さんパートを引き継いだ桜井さん。イントロの「らいずナウ!Ah ha ha ha ha!」の部分がどこかまだたどたどしくって微笑ましい。照れ笑いがかわいい。未来に向けて、ぜひ桜井さんらしい「らいずナウ」の形を見つけ出してほしい。
そんな感じで歌い繋いでゆく10人を見ていたら、各人の声にも顔にもそれぞれのキャラクターがしっかり存在していることが再確認できまして。良い具合に重なるその声たちがとても心地良くて。良い10人が集まっているのだなと、何度も思ってきたことをもう一回思い返したりして。
あと途中のパーカッションのアクションが大きくてたのしい。
普段の公演だとカラダが動きまくってしまう自分ですが、こうやって着席をしてじっくり皆さんの様子を見ると、色々な発見に立ち会うことが出来てまた楽しいのです。
■MC
第二部ではうーたん村の話。
小林さんリクエストの揚げ小籠包がメンバーに大人気。えびちゅうバンド・チェリストの大浦萌さんも食したとのこと。りったんさんはメイクさんに向けて肉汁を飛ばしてしまったとのこと。小林さん自身は焼き小籠包と言ってしまった人に厳しくあたってました。
肌寒い中でかき氷をリクエストしてしまったののかまるさんは、懸命に弁明。まわりのメンバーがしょっぱい系ばかりをリクエストしていたので、自分は甘い系にしようと思ったのだそう。狙いは非常に正しい。売れ行きが心配されていましたが、ちゃんと売れてましたから大丈夫ですよ。
M06. KANSHAして (SMAP)
カバー曲その2。メンバーは最年長まやまさんを含め、どなたもこの曲をご存知なかったとのこと。時代だなあ。
この曲のごきげんなビートにのせられたのか、ステージはとても楽しそう。合いの手でクラップする「パ・パン!」のリズムで客席も楽しそう。ジャニーズ系?のかっこいいっぽいダンスを始めるまやまさん。なんか小競り合いをしている桜木さんと小久保さん。
第一部の間奏では、メンバーみなさまがファミリーの皆さんに感謝の気持ちをお伝え。第二部の間奏では、えまゆなのふたりがご両親に感謝の気持ちをお伝え。やさしさでほかほかのステージ。
M07. 踊るロクデナシ
久しぶりに聞くへろへろしたキーボードのリード音。一方で道太郎先生のスラップがかっこよく響く。ストリングスもしっかりと存在感をアピール。
ビッグバンドのアンサンブルが揃うと、ファンク風味のサウンドになって立ち上がってくる。なかなか聞きごたえのあるアレンジだ。
遠慮なしに言ってしまうと、きょうの演奏はオリジナル音源の数倍かっこよくて気持ちいい。というか、オリジナル音源はスッキリと音数の絞られたミックスだったので、こういった公演では色々と膨らませる要素がたくさんあるということだ。味のある楽曲をありがとうmega shinnosuke。
M08. キャンディロッガー
こちらも原曲は音数のスッキリしたロックチューン。
ステージから煽られて会場中がクラップ。ステージ2階ではSAXが存在感を露わにして、となりではストリングス隊がビートに合わせて体を左右に揺らす。ブレイクではまやまさんの「言いたい奴には、言わせとけ」がかっこよくキまる。コーラス隊のハモりも美しい。
ステージからフロアにかけて、会場全体でちゅうおんが出来上がっていることを実感。とても良い時間でした。
M09. お願いジーザス
ここでメンバーが着席。楽曲はお願いジーザス。
重く荘厳なイントロから、メロウな旋律と内省的な歌詞が切なげな世界観を作ってゆく。まやまさんが、桜木さんが、みれいちゃんが、安本さんが、みんながとても良い表情を見せて、一節一節を丁寧に歌い上げている。歌手でありつつ、女優でもありつつのステージング。
綺麗に世界を紡いでゆくストリングスの音が神秘的で、仰ぎ見た視線の先でいつのまにか真っ暗になっていた空に気付かされる。明るい暖色のステージから飛び出した伊平さんの泣きのギターソロが、その真っ暗な空に溶けてゆく。楽しい瞬間も、しっとりした瞬間も、全てが良い感じにこの会場・この空間に包まれている。
いいじゃん、夢みたいじゃん。フジファブリック好き。
■ミニMC
耳をすますと虫の声などが聴こえてくる会場。
雨の心配さえなければ最高のシチュエーション。しかしこの時点では、その雨の心配をしていたことすらも忘れているくらいステージに没頭していたのでした。
そして急に小林さんひとりに「よろしく」と伝えてステージを去ってゆくメンバー。「カンの良い人はお気付きだと思いますが」という小林さんの前振りから始まるメンバーソロコーナーへ。
■ソロカバーコーナー
さあ目玉の時間がやってきた!
M10. 真夏の夜の夢 (松任谷由実) / 小林歌穂ソロ
ひとりステージに残った小林さんを盛り立てるように、えびちゅうバンドが特徴的な前奏を奏で始める。すぐに松任谷だと認識、瞬時に「小林さんにジャストフィットじゃね?」という感覚に支配されました。
「ぐらり」で魅せる明菜感と同様の、独りで強く自分を持ち得るような大人の女性目線。この世界観が表現できるのは、小林さんならではだと思うのです。すばらしい選曲だ。
M11. スイミング (深田恭子) / 小久保柚乃
小林さんが歌い終わって拍手の中で下手にハケると、同時に上手から小久保さんが登場。メドレー的に次曲へつながってゆくやつだ。
楽曲は初めて聴くさわやかなアイドルソング。深田恭子さんのスイミングとのこと。にこやかに客席にハンドクラップを煽るきょうの小久保さんは、ナチュラルなストレート系のヘアスタイルで、ピンクの衣装にしっかり映えている。歌声も欲張った技術になんか頼ることなく、ストレートでまっすぐな心地よいもの。いろいろ総合して純正アイドルとしての可愛らしさに満ちていました。ですのでこの曲がとても明るく心地良く耳に入ってきまして。すばらしい選曲でした。
M12. すばらしい日々 (ユニコーン) / 中山莉子
続いてりったんさん。後期ユニコーンの名曲ですね。りったんさんは過去にも奥田民生の「愛のために」をカバーしていましたよね。
冒頭では低音部に力を入れてしっかり歌う、THE・中山莉子という感じの歌唱が見られました。懸命にしっかり歌おうとする姿、ずっと変わらなくて良いですね。そんな中山歌唱ですが、曲が進むにつれて音程も上がり、次第に歌いやすくなっていったように見受けられます。
奥田民生の紡ぐ少し気だるげに拓けてゆく明るさというものと、いろいろな物事をストレートにナチュラルに真正面から処理してゆく彼女。これらが良い感じにブレンドされていたような印象です。すばらしい選曲だった。
M13. 東京フラッシュ (Vaundy) / 桜井えま
4番バッターとして桜井さんが登場。
この曲は初めて聴いたものですが、所々にギミックの盛り込まれた面白いものでした。そしてVaundyはいかにも令和のミュージシャンって感じで、声をあまり張ったりせず、どこか平坦さを保ちながら楽曲を盛り上げてゆく作風のひと。一般人がカラオケで歌ったりなんかしたら大事故を起こすようなものだと思うのですが、桜井さんは声の力と培ってきたテクニックを活かして、かっこよく歌いこなしていました。コーラス隊とのコンビネーションもばっちり。うん。満点だ。
若き主砲の今後の活躍がとてもたのしみです。FA移籍なんてしないでね。すばらしい選曲です。
M14. 君に夢中 (宇多田ヒカル) / 星名美怜
お次はミュージカル女優として羽ばたきつつあるみれいちゃん。
ここ数年はSuperflyや中島美嘉などパーティ感あふれるにぎやかな曲をご披露されていたものですが、今年は静かにゆったりとした楽曲に挑戦。前の打者である桜井さんにも負けないような余韻を残していました。
左手で軽く音程の上下を捉えながら歌う様子が、とても堂に入っていてかっこいい。こんな曲もしっかりと歌えるんですね。ここにきて広がってゆく歌芸の幅が素敵だ。すばらしい選曲ですよ。
M15. 悲しみの果て (エレファントカシマシ) / 桜木心菜
次は桜木さん。
しっとり曲のアウトロが切れた途端に、力強いギターコードがジャジャッジャジャッと。エレファントカシマシだ。「なるほど!」という言葉しか出てこないやつだ。
…ココナさんが茨城県民だからエレファント鹿島市っていう選曲なのではないかという説なんて、まったく思いついてませんからね。ほんとですよ。
おいといて。一昨年の深夜高速のように、力で情熱を押し出す感じの楽曲が桜木さんにピッタリ。ほかのメンバーには出せない力強い色を、しっかりと放っていたように感じます。ロングトーンなども良く出ていましたよ。この声が絶対にえびちゅうさんに必要だと思うのです。
自信たっぷりな表情にも見えましたが、本当は緊張していたんだろうな。すばらしい選曲だぜ。
M16. 心を開いて (ZARD) / 風見和香
風見さんはZARD。
このチョイスにも「なるほど」という言葉しか出てきませんでした。
アタマにつけた大きな白いリボン。ミドルテンポのバラード。微笑みとともに正面を見据えた瞳。まじめでまっすぐで清潔感に溢れた完全無欠の清純派アイドル様が、ここに出現しましたよ。
ピッチを正確にとらえて、しっかりと歌っていた印象。楽曲後半で転調した先にちゃんと盛り上がりを作ることができるあたり、「上手になったなあ」と改めて気付かされた次第。すばらしい選曲でしたね。
M17. SUMMER SONG (YUI) / 仲村悠菜
続いて仲村さんが登場。このタイミングで舞台下手では、ギタリストさんがこっそりエレキからアコギに持ち替えてました。このアコギが良い仕事をしていたなー。
仲村さんはメロディーラインをハッキリ歌うことができる人。その上、この曲では地声と裏声の乗り換えがとてもナチュラルで、聴いていてとても心地良かった。
思い込みで書いてしまいますが、彼女はビジュアル面での評価がとても高いために、歌唱に関しては「歌もうまい」というサブスキル的なまとめ方をされがちだと感じるんですよね。ここで世界中の人々は落ち着いて、仲村さんのウタ自体の評価を正当にもっともっと上げるべきだと思うのです。うん。すばらしい選曲だったよ。
M18. アボカド (yonige) / 真山りか
続いてマイナーでアップテンポなナンバー。
上手ではビートを利かせて暴れる道太郎ベース。そこに現れたまやまさん。イントロの間、目の前のベースに合わせエアベースで踊りまくる姿が楽しそう。決めた。将来ぼくはベーシストになる。たくさん練習する。
さておき、しっかり太い声で歌うまやまさん。かつてのまやまにあで聴かせてくれた髭男のHELLOのように、突き放すような強く切ない歌声とその歌声が創る世界がぼくらの前に帰ってきた。
いや、いつだって最強最前の歌声と最上の笑顔でパフォーマンスし続けてきたのがまやまさんなので、帰ってきたという表現では語弊があるんです。それでも今年のこの公演では、ひときわその歌声に力と艶めきと麗しさが込もっていたように思うのです。ぼくの勘違いなのであればぼくはその勘違いの世界線の中で生きて行くので、何も問題なんかありゃしません。
はじめのMCでもあったように、前回のちゅうおんでは悔しく寂しい想いを味わって、歌うことすら辛く感じたこともあったとききました。そんな想いなんて、このアボカドのように握りつぶし投げ捨て力強くバイバイだ。ぼくらはきょうの歌声を待っていたんだ。
すばらしい選曲でしたよ。
M19. パラシューター (Folder) / 安本彩花
ソロメドレーのラストは安本さん。
きょうは久しぶりにこの人の真骨頂を見た気がします。
生誕のときの安本さんもすっごく安本さんだったので超安本さんだったわけなのですが(語彙力)、ちょっと気の利かない表現をすると、あのときはあくまでもソロライブのステージでしかなかったんですよね。
ぼくがきょう真骨頂だと感じた理由はその対岸にあって。
この曲はみんなのバトンを受け取ってから、真打ちとして最後に披露されたものなんです。だからこれはソロ歌唱でありながら、「みんなの真ん中で歌う安本さん」という画でもあるんです。そしてその姿が、ぼくが勝手に思い描くシンガー・安本さんのひとつの理想形なのです。
楽曲後半では実際に他のメンバーみんなも合流して、安本さんを真ん中にしてソロメドレーをみんなで完走した形になりました。そういった一連の流れにおいて、最後を〆るピースとして安本さんの歌がこの位置に配置されていること。──愛されながら愛したい、君の屋根に降りてゆくよ──という歌詞も相まって、ソロメドレーのコーナーとして最上級なフィナーレとなったのではないかと感じるのです。
うん。すばらしい選曲だというほかありません。
コーナー終了後のMCでは、このコーナーがなくなってしまう可能性があったとの衝撃の事実が明かされます。そんなことあっちゃいけないよ。
第一部ではツイッターの予想で小林さんの真夏の世の夢、第二部ではまやまさんのアボカドを言い当てた人がいて、賞品としてメンバー皆様に「おめでとー」と言ってもらえていました。
あと、えびちゅうさんThreadsによると、まやまさんの「アボカド」とえまちさんの「東京フラッシュ」は、マネおきのさんの選曲だったとのこと。とても良いチョイスをありがとうございました。ほかの選曲についてもだんだん明らかになってゆくのかな。
■後半戦
M20. フユコイ(1部)
後半戦1曲目はフユコイ。ハモりがなくひとりずつ歌い上げる楽曲。これも皆さんが歌い上げたあとの表情がステキ。双眼鏡を持って行ってよかったです。
・・・実はこのあたりはソロメドレーで胸いっぱいになってしまっていたのか、あまり覚えておりません。。
M20.さよならばいばいまたあした(2部)
第二部では選曲がさよばいに変わっていました。エビクラシーツアーで聴いていたころを思い出しつつも、ちゃんと10人での歌割りになっていて良い感じでした。桜井パートと仲村パートがよかったな。
M21. CRYSTAL DROP
ピアノアレンジされたイントロから。
しっとり歌い上げるパートは言わずもがなですが、ラップ調になる箇所もしっかりバンドアレンジされていて、良い感じにまとまっていました。思いのほかパーカッションなどが印象深く感じられたな。
ちなみにセトリ中でindigo hourからの選曲はこの曲だけ。よくできたアルバムだとは思うのですが、ちゅうおんを味わってしまうと、次作では生楽器感をもっと前面に出したアルバムにしてほっしーなと思ってしまうのです。
M22. シングルTONEでお願い(1部)
前奏で「どこかで聴いたことのあるやつっぽいのが来た・・・ああああ!」といった感覚。人前で披露したのって4回目くらいじゃない?
このちゅうおんでしか味わえない「何の曲だか少しずつわかってゆく数秒間の感覚」が大好きなのです。シングルTONEのイントロはまさにそれ。
舞台も終盤であろうことがうっすらと感じられる、ゆったり感に溢れた曲調。エミコ先生によるコーラスデュオの声もとても気持ちよくって。ポセイドン石川には本当に良い曲をもらったのだなあと。また楽曲の良さに気付かされました。
M22. 宇宙は砂時計(2部)
第二部ではシングルトーンはカットされ、かわりにこの曲になりました。
改めて空を見上げると本当に真っ暗で。雲があるため星は見えないのですが、宇宙の黒色が下りてくるのを感じるのには遜色のない環境。ステージには紫色の光が灯され、背面に星々をあしらった多数の光点が投影されて。
ピアノの音色が楽曲を優しく響かせ、音楽に重なり仄かに聴こえる虫の声が時の流れを狂わせて、やがて砂時計の中に、静かにゆっくりと世界が沈んでいったのです。
やっぱりちゅうおんっていうのはこの環境、秩父の山奥がピッタリだ。
■ミニMC
ここでえびちゅうからお知らせ。第一部ではファミえんブルーレイ発売について。第二部ではEverything Pointの劇場公開について。
M23. トキメキ的週末論
ここでにぎやかな楽曲へ。
前奏では原曲どおり、まやまさんが中心で踊ろうとしてストップがかかる茶番振付から。かわいい。麗しい。おもしろい。ノリノリのここみれがかわいい。ゆのぴさんの歌声もしっかり通って良い感じ。
ここでコール&レスポンス。やっと声を出せる客席。ステージからは「こちらが何を言っても『だ・い・す・き』と返してください」と強い指示あり。「ちゅ・う・お・ん」『だ・い・す・き』「コ・コ・ナ・が」『だ・い・す・き』「え・び・ちゅ・う」『だ・い・す・き』「ありがとうございましたー!」
2番が終わったと思いきや、そのままバンドメンバー紹介へ。歪みまくったギター、叩きまくるスラップ、もっと叩きまくるドラム、さらに叩きまくるパーカッション。渋く鳴り響くサックス、アダルティなトランペット。「大浦もえ〜」という紹介が聴けて安堵する小林推し、ボイジャーつながりでJupitorを奏でるストリングス。おしゃれなコーラスデュオ、全てを受けとめるリーダーしんさんのキーボード。たくさんの拍手に包まれて、週末論は終結するのでした。
M24. ヘロー(1部)
第一部ではここでヘロー。
週末論での賑やかさが嘘だったかのように穏やかで、穏やかな中にしっかりとしたビートがあって。そこに載せられたドラマがあって。しんみりとしつつも、ビートにあわせ会場のみんなでクラップを鳴らして。なんだろう。いろいろと心にクるものがあって。
なぜだか涙腺にクリティカルヒットする感情が生まれて。でも隣席の兄さんがぼくより先に泣き出していて。ギリギリのところで耐えたぼくは、この場所にいることができてよかったなあと、何度も思ったことをもう一度反芻することになりました。
M24. ポップコーントーン(2部)
第二部ではポップコーントーン。もういちどヘローを聴きたくもあったのだけれど、この曲もまた楽しくせつなげに響いていってくれました。真っ暗な夜の世界で、ステージだけがとても明るく輝いていて。この明るさっていうのはきっと彼女らの青春だとか夢だとか、そういったかけがえのないもののまぶしさなのだよな、とか。いろいろな感情にアてられて、わけのわからないセンチメンタリズムに支配されていました。たぶんそれが音楽の力であって、ちゅうおんというコンテンツの持つ力なんです。
ラストで響き渡っていた仲村さんによる「Yeah~」の声がとても印象的でした。この場所にいることができて、本当によかったなあ。
M25. 若者のすべて (フジファブリック)
そしてラスト。
ゆったりとしたドラムスティックのカウントから、しんさんのピアノが何度も何度も聴いたイントロを奏でて、バンドメンバーがゆっくりとしっかりと音を重ねていきます。
第一部のヘローをギリギリのところで耐えたぼくも、第二部でラストなんの曲がくるのかわかっていたはずだったぼくも、彼女らによって歌われるフジファブリックの若者のすべてによって、降ってこなかったはずの大粒の雨がほほに伝うのを感じることになるのでした。両部とも。
ステージで具体的に覚えていることといえば、ののかまるや桜井さんがもういちど本当に優しくそして強い声で、自分のパートを歌い上げていたこと。みんなの声の重なりとバンドアンサンブルが本当に美しく感じられたこと。あとは歌い終わったあとに、ココナさんのスカートに蜂がよりついてひと悶着あったこと。それすらも愛おしく感じてしまうぐらいに素敵な一曲でした。
エンディング
安本さんを中心に、最後の挨拶をするえびちゅうさん。
ありがとうございましたと全員で頭を下げて、ひとりだけちょっと早く頭をあげてしまうゆのぴさん。
たくさんの拍手を浴びつつ、バンドメンバーによるSHAKE!SHAKE!の演奏のなか、退場してゆくえびちゅうさん。ごきげんよう!
今年のちゅうおんも楽しかったよ。音楽ってやっぱり無敵だったよ!おつかれさまでした!
■まとめのようなもの
コロっとしたウイルスの禍だったころ。
エビ中さんとファミリーの両者の気持ちを助けてくれたのは、座って距離をとったまま楽しめる、ソーシャルディスタンスにしっかり対応出来るちゅうおんというコンテンツでした。
半年ぶりの公演となって、会場外周から「一曲入魂!」の生声が聴こえてきて、堰を切ったような拍手が大きく響いたのも、柏木さんが休業前の最後の日に迫真の歌声でking Gnuの白日を歌い上げたのも、そのちゅうおんの舞台でした。
ポリープの手術から帰って来たまやまさんが、3曲しか参加することが出来ず、それでもステージではそのときの最善の歌を歌いずっと笑顔を見せ続けてくれたのも、ちゅうおんのステージでした。
今年のちゅうおんのステージでは、10人のえびちゅうのリアルな音楽を楽しむことができました。更にいうならば、10人のえびちゅうメンバーと、13人のバンドメンバーと、たくさんのファミリーによる音楽を楽しむことができました。様々なミュージシャンによる楽曲の力との掛け算もあわせ、このステージの楽しさには、無限の広がりを感じることができました。
なんだか筆が止まらないので大げさな表現に行きついてしまっているけれど、ライブの終わった直後なのでこのテンションで感情の反芻をしないと止まることができないのです。
いつもの学芸会だとどうしてもカラダが動いてしまって、フリコピをしたりコールをしたりと忙しくなってしまう自分。こうして座って落ち着いて舞台を見ていると、いつもの楽曲の中にも新たな発見がいくつもいくつも存在していることに気付かされて。ステージの力、音楽の力ってすごいなあと、何度も繰り返しながら何度も何度も圧倒されてしまうのです。
全ての皆様、お疲れさまでした。
ことしのちゅうおんも楽しかった。とても楽しかった。
地道に積み重ねられてきた特別なステージというのは、様々な人にとって、特別な意味を帯びてくるもの。これからも大事に大事に、積み重ね積み上げていってほしいと思うのです。
それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。
衣装紹介のTiktokがUPされてたぁぁぁぁ!
はー。みなさんステキさん。
寝ますグー。